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まかふぃーぶはじめました 第27回

電脳系物理排除型魔法少女「マカルージュ!」

第6話:情報漏洩アプリを作ってもお咎めなし!?

2013年07月02日 09時00分更新

文● 藤春都 イラスト●もち夫

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登場人物紹介

イチト

謎の組織「HENTAIクラスタ」のリーダー。そのほか一切の素性は不明だが、組織名から類推できる系のあれな人。ある意味、俺たちの味方。そして受け。


蓮(レン)

ショタ。以上。


ジルベール

金髪フランス人。「あ、竹宮先生の……」とか言ってはいけない。


如月

無口な二枚目。一見常識人っぽいが、常識人はいい歳して眼帯はしないので、静かに厨二病をこじらせているのだろう。


マリア

本部から派遣されてきたニューフェイス。登場人物紹介コーナーで使えるマトモな顔を発注しなかった担当編集のミスを一身に背負わされている。

女子高生たちにの被害いろいろ

 淑女の蕾の園・白薔薇女学院は、今や少女たちの悲鳴がこだまする場所と化していた。

「ねえねえ聞いてよ、一昨日から私の携帯に変な電話がしょっちゅうかかってくるの!」

「そんなの着信拒否しちゃえばいいじゃん」

「それが、いつもいつも違う番号なの。かけてくるのも別の男みたいだし……」

「えー、気味が悪いねー」

「聞いてちょうだいな、昨日、我が家は泥棒に入られたのよ」

「まあ、それはお気の毒に。被害は……大切なものは大丈夫でしたの?」

「それが……その、泥棒はわたくしの下着を盗んで逃げたようで」

「下着ドロ!?」

「しっ、声が大きいですわ。……ああ、なんということでしょう、これではわたくし、もうお嫁に行けませんわ……」

「ああもう腹立つ!」

「いったい何があったのです」

「私のお祖母さんのところに、うちのお父さんの騙った電話が来たらしいの!」

「まあ! それでは……」

「お祖母さんは賢い方だから、すぐに嘘だと気づいたそうだけど。でも犯人はまだ見つかっていないのよ」

「まあ……。お父様やお祖母さまの個人情報を、いったい犯人はどこから入手したのでしょうね」

個人情報流出の恐怖/マカフィー・ヴィオラ登場!

「ふははははは、女子高生たちよ、不用意に自分の持つ個人情報を外部にアップロードしてしまった自分を嘆くがいい!」

「『お父さん』とはっきり書いてあるんだもん、そりゃオレオレ詐欺に使われるよねー」

「SNSに登録してあった他人の情報までまとめて公開してしまうんだもの。迷惑を被るのが本人だけじゃないっていうのがミソよねぇ」

 こそこそ会話しながら高笑いをするという小器用な芸をこなしながら、イチトたちは白薔薇女学院の塀近くに身を潜めていた。

 時刻は既に夜遅く、生徒たちはみな帰宅してしまっている頃合いである。

「ふふふふ、今日こそ我々は桃源郷に足を踏み入れるのだ……!」

如月「やはりいつもの展開か……」

マリア「あら、戦闘美少女モノの定石通り、マカなんとかが全色揃うまでは毎度こんな按配の“お披露目回”が続くわよ?」

如月「妙なところで基本に忠実だな……」

「ところでよく侵入経路がわかったね? この学校、すごく警備が厳しいのに」

「蛇の道は蛇と言うではないか。入手した生徒同士のメールに抜け道が書かれていた」

「あ、なるほど」

「では、早速……」

「──そこまでなの!」

 イチトたちが塀を乗り越えようとしたまさにそのとき、可愛らしくも強い意志を秘めた声が響いた。

「マカフィー・セキュリティ・パワー・メイクアップ!」

「くっ、出たなマカキュア! どうあっても我々の覇業を邪魔する気か!」

 ぴろぴろと出所不明の音楽が鳴り出し、神秘的な紫の光が少女のほっそりとした身体を包み込んでいく。そろそろ肌色が見えてもいいではないかと期待してみたが、真っ暗な中でいきあんり変身シーンが始まったものだから、眩しくて正直それどころではなかった。

 やがて現れたのは紫がメインのふわふわした衣装に身を包んだ、目がくりくりとしたロリっ娘だった。柔らかそうな髪は肩の上で切り揃え、ファンシーな蝶々の髪飾りを付けている。

 魔法少女にあるまじきことに、スカートの下にはスパッツを穿いていた。このご時世、ロリキャラを出すには安全策が必要なようだ。

「マカフィー・ヴィオラ参上! この世のバイキンを消毒するの!」

 ポップな音楽とともに、少女ことマカフィー・ヴィオラ(以下ヴィオラ)は宣言した。

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