5月20日、クラウド型ビッグデータプラットフォームを展開する米トレジャーデータは日本法人の設立を発表した。ビッグデータ界隈で有名な日本人3人が設立した米国ベンチャー企業として注目を集める同社が、いよいよ国内でも本格的にサービスを展開する。
ビッグデータ界隈で有名な日本人設立の米ベンチャー
米トレジャーデータはクラウド型ビッグデータプラットフォーム「Treasure Data Platform」を展開するシリコンバレーのベンチャー企業。レッドハットや三井ベンチャーズでの勤務経験を持つCEOの芳川裕誠氏、Hadoopコミュニティの中心メンバーであるCTOの太田一樹氏、そして分散インフラ基盤の「MessagePack」、ログコレクターの「Fluentd」を開発したソフトウェアアーキテクトの古橋貞之氏の3名によって2011年12月に設立された。米ヤフー共同創業者のジェリー・ヤン氏などの“大物”から出資を受けた日本人ベンチャーということで話題となった。
Treasure Data Platformの特徴は、ビッグデータで必要なデータ収集用のエージェント、分散処理基盤、データベースなどをすべて月額課金のクラウド型で提供できるという点だ。データ収集を行なう「td-agent」はFluentdの商用版で、列指向型データベース「Plazma」も自社開発。HiVEやJDBCなどを経由して可視化やBIツールとの連携が行なえる。Treasure Data Platformの導入により、数時間かけていたバッチ処理を数分で完了できるほか、1日レポートを複数回更新できる。現在の経営スピードにあったサイクルでデータを活用することが可能になるという。
発表会に登壇した米トレジャーデータ CEOの芳川裕誠氏は、「従来は別々の要素技術を1つのシステムに作り上げなければならなかった。トレジャーデータでは下から上までフルスタックで提供することで、お客様はビジネスバリューを生み出すためのデータ解析そのものに100%集中してもらえる」とアピールした。
同日付けで日本法人の設立が発表された。国内では、トレジャーデータのほか、販売代理店契約を結んだ1stホールディングスとサイオステクノロジーを通じてTreasure Data Platformの販売が行なわれる。芳川氏は、クックパッドやマネックス証券、博報堂、カヤックなどの国内ユーザーがすでに存在するほか、引き合いも増えているといった現状を説明。創業者たちの出身地という地縁や開発拠点としての役割も持つという。「日本のエンジニアは本当に優秀だということを強く感じている。われわれとしては事業だけではなく、開発の拠点としても重視している」(芳川氏)と述べた。
さらに芳川氏は、シリコンバレーにおける日本製品の普及度を引き合いに出し、特に製造業でのものづくりを応援する意図もあると説明した。「もともと製造業はビッグデータを持っており、それらを活用できるITの環境をがむしろ後から追いついてきたくらい。非常に面白い活用事例が期待できる」と抱負を語った。