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マカフィー、サイバー防衛報告書の日本語版概要を発表

日本のサイバー攻撃耐性は5段階評価で3.5

2012年04月27日 21時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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サイバー防衛報告書から「各国の防衛状況の評価」

サイバー空間でも軍拡競争が起きている!?

 マカフィーは4月26日、世界初のサイバー防衛報告書「サイバーセキュリティ:世界ルールの主たる争点」の日本語版概要を発表した。

 これはマカフィーがベルギーのシンクタンクSDA(Security&Defence Agenda)とともに、日本を含む27ヵ国の政策立案者や政府、企業、学界におけるサイバーセキュリティの専門家約80人をインタビューし、また35ヵ国の世界的なリーダー250人の匿名調査により、サイバー防衛に関する識者の意識調査をまとめたもの。

 サイバー防衛の場合、一般的な軍事報告書のように数で客観視することが難しいため、各国の専門家によるインタビューおよびアンケートで構成したという。

 それによると回答者の57%はサイバー空間で軍拡競争が起きていると考えている。また、回答者の45%はサイバーセキュリティを国境警備と同様に重要だとし、さらに回答者の36%はサイバーセキュリティをミサイル防衛よりも重要だと考えている。

日本のサイバー攻撃耐性は5段階評価で3.5

サイバー防衛報告書の日本語版概要はマカフィーのサイトからダウンロード可能

 報告書には国別の評価表(サイバーセキュリティ成熟度モデル)も記載されている。これは、元アメリカ国防次官補代理サイバー情報保障担当のRobert Lentz氏が作成したモデルに沿って評価したもので、サイバー攻撃からの耐性を5段階で表わしている。

 それによると日本のサイバー防衛状況は5段階評価で3.5

 日本の場合、東日本大震災からの復興が最重要課題であり、「現在は自然災害対策に多くの資金が必要とされている。防衛予算は削減され、サイバーセキュリティも防衛力強化の5ヵ年計画でも最優先事項から外れている」(元内閣官房情報セキュリティ対策推進室情報セキュリティ補佐官の山口英氏)。また、サイバー防衛予算は米国と比べ、GDP比で11倍の開きがあるという。

 そのアメリカも、サイバー攻撃において真っ先に狙われる主要インフラ施設が非常に多く(電力に限っても約3000社存在する)、また民間に委ねられている割合が高いため、セキュリティの徹底が難しいなどの理由で、5段階評価で4に留まっている。

 一方、現時点で最高評価の4.5をマークした国は、国防意識の高さで知られるイスラエルのほか、スウェーデン、フィンランドの3ヵ国。スウェーデンとフィンランドは冷戦時代から防衛意識が高く、政府によるプライバシー侵害もあまり問題視されないという。フィンランドは昨年、サイバー兵器の作成を発表した。

 マカフィー社 サイバー戦略室の本橋裕次氏は、「ミサイルのような(高い効果を発揮する一方で)高コスト兵器を作れない小国にとって、サイバー兵器は(ミサイル並みの効果を期待できる)低コスト兵器と化すだろう」と述べた。

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