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事例でみる大規模サイトの運用ディレクション

2011年01月17日 11時00分更新

文●アンティー・ファクトリー

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 大規模サイトでは、ページ数もさることながら、関係者も多く、運用ディレクションの手腕が問われます。当社が担当しているA社の事例を紹介します。

 A社はいわゆる大企業のメーカーで、そのWebサイトは数万ページにおよびます。A社は複数の事業部に分かれ、数多くの製品ブランドを保有しています。そのため、一貫したブランド訴求やサイト品質の均質化、CMSによるインフラコストの効率化などを目的としたサイトガバナンスを施行して統括、運用しています。

 さらに、サイト運営の中で生じる課題や改善点は、PDCAサイクルによる継続的な取り組みによって、サイト全体の品質を維持し改善に努めています。

運用ガイドラインの重要性

 膨大なページ数を保有する大規模サイトの運用にはガイドラインの存在が欠かせません。ガイドラインには、「デザインガイドライン」「ユーザビリティガイドライン」「コーディングガイドライン」など、さまざまな種類があります。また、ガイドラインではサイトの制作や運用に関するさまざまなルールを設定しています。これらのガイドラインを関係者全員が共有する仕組みを作り、遵守することで、ブランド訴求やサイト品質の一貫性が保たれています。

 またコミュニケーション管理として体制図や承認フローといった項目をとりまとめ、人為的トラブルを未然に防ぐ運用体制を実現しています。

 サイト全体の品質を中長期的に維持するため、さまざまな業務内容やノウハウがあります。それらを文書化、図表化することによって「形式知」として蓄積し、突発的事象に対するリスクも回避できる管理体制を整えています。

PDCAサイクルの取り組み

 大規模Webサイトには、数多くのマイクロサイトも存在します。各サイトの目的やユーザー層も多岐にわたるため、日常的、中長期的に、多くの課題やユーザーニーズが抽出されます。

 それぞれの課題の改善やユーザーニーズを集約しながらも、サイト全体の一貫した品質を保たなければなりません。そのためには、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)のPDCAサイクルを継続的に効率よく回していかなければなりません。

 PDCAサイクルを実施し、サイト改善に取り組む中で、サイト全体を統括するルールの変更が必要になる場合があります。運用ガイドラインはあくまでも作成時点の想定に基づくルールですから、必要に応じて改訂します。随時アップデートできるようにガイドラインは柔軟性を持って作成しておき、改訂時にはすぐにオンラインで共有して、周知徹底を図るようにしています。

著者:アンティー・ファクトリー

アンティー・ファクトリーはWeb戦略だけでなく、タッチパネルやスマートフォンなどの各種インターフェイス・アプリケーション開発、次世代広告コミュニケーションの設計や開発を行っています。ワールドワイドなクリエイティブを展開し、発展しつづける会社です。。

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