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"自殺推奨サイト"が検索上位を独占 - 「自殺予防サイトのアクセシビリティ向上を」

2011年10月11日 10時10分更新

記事提供:SEMリサーチ

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Yahoo! JAPANで「自殺したい」や「死にたい」「硫化水素 自殺」といったキーワードで検索すると、検索結果の最上位に相談窓口のサイトとして自殺予防総合対策センターを紹介するリンクが表示されるのはご存じだろうか。これはYahoo! JAPANのCSRの一環として、2007年から行われている仕組みだ。検索エンジンで自殺関連のキーワードで検索すると、その方法や自殺を推奨するようなサイトが多数表示されてしまう状況を改善するための検索会社として行える試みの1つだ。

自殺を推奨するサイトが検索結果に表示されることは、日本に限ったお話ではない。ニュージーランドにあるオタゴ大学の社会精神医学・公衆メンタルヘルスのSunny Collings教授が最近、ニュージーランド及び世界の自殺関連ウェブサイトに関する調査を実施した。

同調査は、Google、Yahoo!、MSNとニュージーランド国内のAltavista、Google NZといった検索エンジンを使って自殺関連サイトを抽出、検索にヒットした2,160件、合計718サイトについてコンテンツや品質、リンクグラフなどを分析。この結果、72サイトが少なくとも1つの検索エンジンで最上位(1位)に掲載されているが、その1/3(33%)が自殺推奨サイトだった。一方の自殺予防サイトは18%だった。

また、Googleで最も検索にヒットする10サイトのうち、自殺推奨サイトは4件を占め、自殺予防サイトは1件のみだった。

Collings教授は「インターネットの大きな問題の1つは、人々が自殺について検索した時に最初に目にするサイトが自殺を勧めるサイトだということだ。自殺を思いとどまらせるサイトは全体のわずか9.3%しかヒットしないうえ、1つとして検索最上位に表示されない」と問題点を指摘する。

なぜ自殺推奨サイトが検索最上位を占める一方で、自殺予防サイトは検索ヒット率が悪いのか。この原因は、サイトのコンテンツや品質、リンクなど複合的な要因により検索エンジンからの評価が低くなっているためだ。Collings教授は調査レポートで、自殺推奨サイトは検索エンジン最適化(SEO)を通じてアクセシビリティを高めることを提案している。


cf.
Pro-suicide websites dominate search results - study
http://www.voxy.co.nz/health/pro-suicide-websites-dominate-search-results-study/5/103780

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解説。日本国内だと(SEOを勘違いしている人が大半ということもあり)事例を滅多に見かけませんが、CSR活動の一環として社会貢献、啓蒙・啓発につながるコンテンツやサイトの検索エンジンでの露出度を高めて(つまりSEOに取り組んで)、それを必要とする、できる限り多くの人々に、適切な情報を伝達しようと試みている企業や組織が欧米では少なからずあります。わかりやすい例でいうと、自然環境保護や人道支援関連の組織や、日常生活で役立つデータベース(たとえば医薬品情報)を提供しているケースですね。

で、本題の自殺推奨サイト/自殺予防サイトの問題ですが、自殺予防サイトは基本的に検索に引っかかりにくい。なぜなら、

  • 検索キーワードとコンテンツの適合度の問題。自殺予防サイトは決して自殺の方法には言及しない、つまり自殺の方法に関するキーワードがコンテンツに存在することは希であるため、「自殺 方法」など方法論の検索意図を持つキーワードに対してヒットすることは基本的にない。
  • サイトやページの重要度の低さ。自殺の方法論について説明しているサイトは、”仲間同士”でリンクを張りあうことがよくある他、掲示板など色々なところからリンクを通じて誘導するが、自殺予防サイトというのは基本的に相談窓口機関へのリンクは張るが関連サイト同士でリンクが張られることは希だし、通常、これらのサイトにリンクを張るサイトは限られるのでリンクの絶対量も足りない。
  • コンテンツ品質の問題。自殺予防サイトは大抵、相談窓口へのリンクに終始したりする一方、ユニークなコンテンツを用意していないために検索エンジンによるコンテンツ評価自体が低くなる。この点、自殺を推奨するサイトはコンテンツボリュームが豊富だったりする。

サイトの性格的に、検索エンジンからは評価されないのです。

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