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米レッドハットが10月4日にスケールアウトストレージの米グラスターを買収

IAサーバーで分散FS、レッドハット買収のGlusterとは?

2011年10月07日 06時00分更新

文● 渡邉利和

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10月5日、レッドハットは同社のクラウド製品に関する説明会を開催した。話題の中心になったのは、米国で10月4日付けで発表された米グラスター(Gluster)の買収だ。同社はこの買収で安価なクラウドストレージの実装手段を獲得したことになる。

IAサーバーをスケールアウトストレージに

 説明を行なったのは、米 レッドハットのプロダクトマネージメント&マーケティング シニアディレクターであるブライアン・チェ氏だ。同氏は、クラウド関連の製品である「Red Hat CloudForms」、「OpenShift」の責任者を務めており、当初の予定で両製品の説明を行なうはずだったと思われる。だが、日本時間で5日の朝にグラスターの買収が発表されたことを受け、急遽説明を切り替えたようだ。

米レッドハットが買収したばかりのGlusterFSを解説するブライアン・チェ(Bryan Che)氏

 グラスターは、スケールアウト型ストレージプールを構築する「GlusterFS」を開発する企業で、2005年に設立されたという。本社は米国シリコンバレーのサニーベールに置くが、開発拠点はインド版シリコンバレーとして知られるバンガロールにあるという。あまり耳慣れないが、同社はすでにグローバルで150社以上のユーザー企業を獲得しており、その中にはNTTPCコミュニケーションズやAT&T Interactive、サムスンといった著名企業も含まれている。

 GlusterFSは、ソフトウェアベースのスケールアウト型分散ファイルシステムをIAサーバーで実現する。Red Hat Enterprise Linuxが稼働するIAサーバー(IntelまたはAMDプロセッサ)のローカルファイルシステムが最終的なデータの格納先となるが、GlusterFSでは複数台のIAサーバーを仮想的に統合した巨大なストレージプールとして見え、NFSまたはCIFSによってアクセス可能な仮想的なNASを構築することになる。

GlusterFSの位置づけ

 スケールアウト型NASとしては、EMCに買収されたアイシロン(Isilon)が著名な存在。GlusterFSは、いわばIsilonのソフトウェアの機能と同等のものを実装した形に見える。Isilonはハードウェア製品であり、ハイパフォーマンスを実現するためのハードウェア面での工夫等も見られる。一方、純ソフトウェア製品であるGlusterFSでは、コモディティ化して低コストで調達可能なIAサーバーをストレージノードとして活用。これにより、低コストなストレージプールを実現できる点がメリットとなる。パブリッククラウド事業者が安価なストレージサービスを提供する際などには、有力な選択肢となるだろう。

 なお、レッドハットの説明会では恒例となっている同社の代表取締役社長の廣川 裕司氏による事業状況の説明では、レッドハットのグローバルでの売上高は今年第2四半期で前年同期比28%増を記録したという。日本国内は震災の影響が懸念される時期であるにもかかわらず、グローバルの成績とほぼ同等の成長率を達成したことになる。

レッドハット社長の廣川裕司氏

 同氏はまた、同社のクラウドビジネスに対する取り組みについて「Red Hatが直接クラウドサービスを提供することはないが、クラウドサービスプロバイダに対してベストなクラウドソリューションを提供していく」としている。グラスターの買収も、従来のカバー範囲からもれていたストレージ分野に対する取り組みであると同時に、同社のクラウドサービスプロバイダ向けの製品ラインナップを補完する存在と位置づけられるだろう。

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