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アクセス解析と外部データ連携の可能性

2011年07月19日 11時00分更新

文●江尻俊章/環

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 アクセス解析を一歩進めて、Webサイトのアクセスログと、企業が保有している顧客情報や購買履歴などを連携させる事例が増えています。

 インターネットとリアルのビジネスが密接に結びついている今日では、Webサイトでの効果だけを測っても不十分というケースが増えているためです。アクセスログを購買履歴などの統計データと組み合わせることで、Webサイトの効果をより正確に把握でき、ネットにとどまらないビジネス全般に有用なデータを得られます。その結果、真の優良顧客を発見できたり、精度の高いプロモーションを実施できたりするのです。

アクセスログと顧客情報や購買履歴との連携

 見込み客の獲得を目的とするようなサイトでは、まず資料請求の数を増やすことが重要です。しかし、収益に結び付けるためには、その後で資料請求をした顧客との商談や受注活動まで進展させる必要があります。

 アクセスログと、CRM(Customer relationship management)やSFA(Sales force automation)などの顧客管理ソフトを連携させると、単なるコンバージョン(資料請求数)だけではなく、その後の商談率や受注率、再販率を結び付けて考察できます。WebサイトやWebプロモーションが実際にどれぐらいビジネスに貢献したのか、把握できるわけです。

 また、売上が成果となるネットショップでは、購買履歴とアクセスログを連携させれば、業績に直接関わるデータを取得できます。こうした連携は、Google Analyticsやシビラなどいくつかのアクセス解析ツールで可能です。

 実際に、ダイレクトメール(DM)とネットショップの購買履歴、アクセスログデータを紐づけることでDMのコストを10分の1に下げ、売上がほとんど下がらない優良顧客リストを作ったという事例もあります。

その他の連携例

 業種やビジネスモデルによっては、統計データとの連携から一定の法則が見出せることがあります。

 たとえば、福島県いわき市の地元コミュニティサイトでは、エリア別のアクセス解析を活用しています。具体的には、都道府県ごとのユニークユーザー数と人口統計を組み合わせ、さらに都道府県別の検索ワードの利用頻度を関連づけました。これにより、いわき市を訪れる岩手県からの観光客は海水浴など家族旅行目的が多いことや、同じく栃木県からの観光客は魚介類の購入や飲食を目的とする人が多いことなどが分かり、シティセールスに有用なデータを得ることができました。

 一見すると特に意味が見出せない日時のアクセス数の変化も、ビジネスに関連の深いデータと紐づけると、法則やヒントが見えることがあるのです。

著者:株式会社 環

Web解析を軸に2000年創業。「誰もがチャンスをつかめる社会を創る」を理念に地方中小企業に対しアクセス解析ツール「シビラ」とWeb解析コンサルティング、Webサイトの改善やリスティングの最適化を提案している。楽天ビジネスアワードを4回受賞。JWDAウェブ解析&リサーチ委員会委員長。最近は「JWDAウェブ解析士」の運営支援も行なっている。現在Web解析に関心がある人材を募集中!

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