9月16日、ヴイエムウェアは8月30日~9月2日の4日間に渡って米サンフランシスコで開催された「VMworld 2010」の発表内容に関する説明会を開催し、同社のクラウドコンピューティングに向けた新戦略の概要を紹介した。
IT as a Serviceの実現する3分野
冒頭で挨拶を兼ねて今日の中核的なメッセージを紹介した同社代表取締役社長の三木 泰雄氏は、今年のVMworldで発表された同社の中核的なメッセージは「IT as a Serviceの実現」だと語り、ITの視点ではなく、ビジネスユーザーの視点で「ビジネスを加速するための柔軟なITインフラを実現する」とした。また同氏は、米国での基調講演で紹介されたデータとして、「物理サーバーの数とか総サーバーの数は、2009年の段階でほぼ拮抗していたが、今年はそれが逆転し、仮想サーバー数のほうが物理サーバー数よりも多くなっている」ことを紹介し、仮想化普及の道のりの上で重要な通過点をすでに超えていることを明らかにした。
続いて、米ヴイエムウェアのプロダクト マネジメント部門 担当副社長のパトリック・リン氏が登壇し、米国で開催されたVMworldの基調講演の内容をダイジェストする形で紹介した。
同氏はまず、仮想化の進捗の歩みを三段階に分けて見せた。まず、2000年頃から始まった最初の波は、ハードウェアの効率性に注目したもの。次に、2008年頃からビジネスの回復力に注目し、中核的なアプリケーションにまで仮想化が拡がったのが第2の波。そして、2010年から始まる第3の波は、IT-as-a-Serviceの実現を目指し、ビジネスの俊敏性が重要なテーマになるという。仮想化が十分に普及した現在では、「OSはすでにハードウェアを管理してはいない。ハードウェアを管理しているのは仮想化ソフトウェアであり、この新しいインフラが今後のイノベーションの焦点となる」という。
しかしながら、現状の仮想化の利用では、仮想化インフラの上に旧来のOSを稼働させ、その上に従来のままのアプリケーションを載せているだけだ。そのため、今後は仮想化インフラを前提として設計された「新しいアプリケーション」の登場が加速していくことになるはずだ。そこで同氏は、VMwareはこうした新しいアプリケーションの作成を支援するための取り組みとして、アプリケーションプラットフォームの整備に取り組むという。
さらに、こうしたアプリケーションを活用する「エンドユーザーコンピューティング」は、さまざまなデバイスを利用してさまざまな場所から自由にアプリケーションにアクセスする方向に進化していくことになるので、同社はこの分野にも力を入れていくことになる。こうして、同社の最新の事業戦略は、仮想化インフラストラクチャ、アプリケーションプラットフォーム、エンドユーザーコンピューティングの3つの柱で展開されていくことになる。
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