シャープは2日、専用眼鏡を使わずに立体表示が可能なタッチパネル付き3D液晶ディスプレーの開発を発表。東京都内で開いた記者説明会で、その実物を披露した。
シャープは2002年11月発売の携帯電話機に搭載されたものを皮切りに、専用眼鏡を使わず立体表示できる光学視差バリア方式の液晶ディスプレー(3D液晶)の開発と製品への応用に取り組んできた。しかし、これを搭載する製品が普及したとは言えない。同社ではその問題点として、3D表示時の表示品位の低さを挙げ、その改善に取り組んだ。その成果が今回発表された3D液晶ディスプレーである。
今回発表された3D液晶ディスプレーの特徴は主に3点。
- 表示品質の改善 高輝度化と高精細化
- 低クロストーク くっきりした立体表示
- タッチパネル搭載モジュールの薄型化
表示品質の改善は、同社のシステム液晶技術(CGシリコン技術)の進化により実現。配線幅を微細化することで、従来比2倍の500cd/mm2(2D表示時)の高輝度を実現したという。また、左右の目に別々の光を届ける視差バリアの最適化により、鮮明な立体表示を可能にした。
モジュールの薄型化は、従来液晶パネルを表面側にあったタッチパネルと、液晶パネルの裏にあった視差バリアを実現する「3D液晶スイッチパネル」を、1枚のパネルで実現可能にしたことで実現された。これにより、従来型のタッチパネル付き液晶モジュールと変わらない厚さとなった。ちなみにタッチパネルは静電容量式で、2点のマルチタッチ検出が可能。
また、従来品が1方向のみでの立体表示しかできなかったが、昨今の携帯電話機やスマートフォンでは、縦横どちらでも立体表示できる必要がある。そのため新しい3D液晶ディスプレーでも、縦横問わない立体表示が可能となっている。
開発された液晶ディスプレーは、画面サイズが3.4型、解像度は480×854ドットと、携帯電話機に適したサイズとなっている。輝度は2D表示時で500cd/mm2。コントラストは1000:1で、こちらは従来品の10倍になっている。3D表示時は輝度や解像度はほぼ半減するという。