本連載では、11月18日から開催された「Dreamforce '09」の発表を元にセールスフォースを紹介している。第2回は、同社のクラウドサービスであるService Cloud 2とSales Cloud 2を見てみよう。
Service Cloud 2は、TwitterやFacebookをサポートに利用
サンフランシスコのモスコーニ・コンベンション・センター(Moscone Convention Center)で開催されたDreamforce '09の基調講演で1番目に取り挙げられたクラウドサービスが、Service Cloud 2だ。もともとは2009年1月15日に「Service Cloud」として開始したサービスで、大幅な機能強化に伴い名称に「2」が加わることが9月9日に発表されていた。
Service Cloud 2は、前回紹介したセールスフォースのクラウド基盤「Force.com」上で動作するカスタマサポートアプリケーションである。「Force.com Sites」や「Force.com AppExchange」、「Force.com CRM Ideas」といったForce.comの技術を活用しており、クラウドアプリケーションのため、ユーザー企業側でのサーバの用意やインストール作業なしに利用できる。
基本機能は、電話やメール、チャットによるサポートの支援、カスタマーの管理、CRM(Sales Cloud 2)との連携など。加えて、ユーザー同士のコミュニケーションも可能なコミュニティの開設、パートナー企業とのナレッジベースの共有、TwitterやFacebookといったソーシャルアプリケーションとの連携機能を搭載する点が大きな特徴だ。
Dreamforce '09の基調講演では、マーク・ベニオフCEOが自らの体験を元に、ソーシャルアプリケーションとの連携が必要な理由について語った。
ブラックベリーを愛用しているベニオフ氏が、ヘッドセットをつなげようとしたところ正しい方法がわからず、上手くいかないことがあった。その時に行なったのがGoogleを使った検索で、接続に成功したというブログや手順を解説するビデオを発見。よくできたビデオであり、おかげで接続に成功した。使えるまで2時間かかったが、メーカーのサポートにはアクセスしなかったという。
このように、製品やサービスのトラブル解決にメーカーのサポートを利用せず、インターネット(クラウド)上の情報を探すことは多くのユーザーが体験していることだろう。しかし、本来ユーザーに解決策を発信すべき企業のカスタマーサポート部門は、こうした情報源と断絶してしまっている。
そこで役に立つのが、クラウドの情報とカスタマーサービスを連携させるService Cloud 2というわけだ。
Service Cloud 2ではたとえば、Twitterの書き込み(Tweet)をリアルタイムに検索し、自社製品に関連する会話を検出。カスタマーサービスをこの会話に参加させることができる。先の例でいえば、「ブラックベリーがヘッドセットを認識しなくて困っている」とTwitterに書き込むと、カスタマーサービスが接続方法をTwitter上で教えてくれるといった形だ。
また基調講演では、Facebookとの連携に機能についても紹介された。FacebookにはDELLのコミュニティーサイトがあり、この中でトラブル解決などのQ&Aが行なわれているという。ここで、ノートPCをハイビジョンディスプレイに接続する方法を尋ねると、「このケーブルを使えばいいよ」とか「ほかにも、いいケーブルがあるよ」といった回答が寄せられる。この回答に対しては他のユーザーが投票を行なえ、多くユーザーが優れていると思う回答がランキングされる。Service Cloud 2では、こうしたFacebook内でのやり取りに対しアクセスが可能になるのだ。
Facebookで質問にメーカーのサポートから回答が付けば、ユーザーにとっては助かる話であるし、正しい情報を必要とするユーザーに届けられることはメーカーにもメリットは大きい。
会場では、米国のオンライン証券会社「TD AMERITRADE(アメリトレード)」の導入事例が紹介された。同社は、Service Cloudを使い、1日あたり2万5000件もの問い合わせに対応しているという。
(次ページ、「Sales Cloud 2も他のアプリケーションとの連携を重視」に続く)
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