無線の快適さと音質はトレードオフ!?
さて、ワイヤレスがいかに快適といえど、PTM-BHP4が非の打ちどころがない製品というわけではない。例えば、音質面は気になる人が多いのではないだろうか。
Bluetoothのワイヤレスヘッドホンといえば、一般的に同価格帯の有線式ヘッドホンに比べて音質が劣ってしまうことが多い。実際、同じ密閉型のヘッドホンを、iPodに直結、PTM-BHP4経由という2パターンで試聴してみると、後者の方がシンバルやハイハットの音が歪むような印象を受けた。
また、周囲のノイズにも影響を受けるようだ。PTM-BHP4を使いながら町中を歩いてみると、時折、データ転送に遅延が起こって、曲のテンポが遅くなったり、早まったり、再生が途切れるということが起こった。今後の高速化や通信性能の改良が望まれるところだろう。
とはいえ遅延が起こったのは歩いているときだけで、電車の中や屋内で聴く際は特に問題がなかった。また、特に地下鉄などでは電車の走行音が大きくて、iPod純正のヘッドホンで聴いているぶんには音質の劣化もほとんど気にならない。
Macでも使える……はずだったのだが
また、ちょっと残念だったのがMacとペアリングできなかったということ。
パソコンでの利用は製品紹介のウェブページには明記されていない。しかし、マニュアルを見ると“パソコンなどの機器と接続する”という設定方法が紹介されている。筆者としては、オーディオアダプターにはマイクが内蔵されているのだから、Macと同期すればiChatやSkypeのボイスチャットに使えるのではと目論んだわけだ。
しかしPTM-BHP4はMacとペアリングできるものの、実際に『システム環境設定』の“サウンド”項目で入力/出力デバイスとして選ぼうとすると、アラートが出て接続が途切れてしまう。
プリンストンによれば、Mac OS X側が“A2DP”(AVオーディオ用プロファイル)と“AVRCP”(AV機器の操作用プロファイル)という、PTM-BHP4との通信に必要なBluetoothのプロファイルをサポートしてないことが原因とのこと。このあたりは、今後のMac OS Xのアップデートに期待したい。
Mac OS Xでペアリングし、通信しようとするとアラートが現れる。念のためBluetooth 1.2モジュール内蔵Macと、Bluetooth 2.0+EDR内蔵Macの両方で試してみたが両方ダメだった |
PTM-BHP4の販売価格は1万4800円で、例えばヘッドホン型の競合製品である『FreePulse Wireless Headphones』と比べると、2000円ほど高くなる。「軽くてクリップスタイルを求めるなら、9800円の第2世代iPod shuffleのほうが安いのでは?」と考える人もいるかもしれないが、新しく買ったiPod shuffleに曲を転送するのも面倒くさいし、音楽ライブラリを一括で持ち出したいから大容量のiPodやiPod nanoを選んだという意見もあるだろう。
何度も繰り返すが、PTM-BHP4を使うメリットは、やはり使い慣れたヘッドホンをワイヤレス化できる点にある。ケーブルが気になるという人は、ぜひ試してみてはいかがだろう。