(株)トーワジャパンと日立ソフトウェアエンジニアリング(株)は共同で、全身の写真が撮影できる写真シール自販機『ストリート・スナップ』を開発、記者発表を行なった。撮影した写真データをマシン内部に保存でき、雑誌にその写真を投稿するなど、メディアミックス展開を考えているという。3月20日に東京、中京、大阪の5ヵ所にテスト設置、4月から販売を開始する。価格は188万円。
記者発表の席で販売目標について訊かれたトーワジャパン社長、正岡力氏は「月10億円弱、上半期で2500台販売したい」と、ニュースリリースに明記していた初年度目標の2倍の数を述べ、自信のほどを見せていた。最近は最盛期に比べ、写真シール自販機の需要が落ち着いてはいるが、全身が写ること、高画質であること、写真を雑誌に投稿できる機能を持っていることから新たな需要を見込んでいるという。
富士写真フイルム製の新開発のワイドコンバーター付き高性能レンズにより、近接撮影でも全身を撮影できるようになったという。広角レンズで撮影すると、画像にひずみが出るが、日立ソフトの開発した画像処理ソフトウェアにより、ひずみをなくすことが可能になったという。「このひずみを補正する技術の開発に一番時間がかかった」(担当者談)そうだ。
撮影は同機専用に開発された、140万画素のデジタルカメラで行なわれる。撮影した画像は、ユーザーの希望により、名前、ニックネーム、年齢、電話番号を入力し、内部のPDディスクに保存できる(2000人ぶんまで)。この機能を使い、同機から直接雑誌に投稿することが可能だという。現在まだ名前は出せないそうだが、雑誌3誌と6ヵ月契約を結んでおり、5月発売の6月号に掲載される予定。今後、撮影したデータをオンラインで転送し、雑誌のみならずテレビとのメディアミックスも考えているという。
プリントは、富士写真フイルム開発の新方式が採用されている。あらかじめ染料を含んだ専用紙が、熱により発色するという“TA(サーモ・オートクローム)方式”で、インクリボンが不要なほか、従来の昇華型方式によるプリントより、褪色が少なく、耐久性も高いという。
内部のコンピューターは日立ソフトウェアエンジニアリング製のパソコンを使用、CPUは、画像処理ソフトと周辺機器とのバランスを考えてインテル製のMMX
Pentium-200MHzを選んだという。
1回の撮影料は300円。多人数の全身、ひとりの全身、ひとりの上半身と3つのパターンから選ぶことができる。フレームは各アングルに対し、20パターン用意されているほか、色はカラー、モノクロ、セピアから選べる。3回撮影したうちから一番気に入ったショットをプリントする方式。ひとり用全身が2分割、4分割、6分割、8分割から、ひとり用上半身と多人数用は4分割、6分割、8分割から選択できる。
実際に記者発表の場で展示されていたデモ機で撮影してみたが、操作がすべてタッチパネルでできるので、従来のレバーとボタンで行なうものより操作しやすい。撮影したものを見てみたが、確かに広角レンズ特有のひずみがうまく補正されている。“高画質”を売りにしているだけあって、写真は従来機のものより鮮明。これからもっと速くなるとは言っていたが、プリント速度が若干遅いのが難点といえば難点。ただ、選択画面で、“yes”を選ぶだけで手軽に雑誌投稿ができるなど、話題を呼びそうな商品だ。(報道局 酒寄公子)
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