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元テレビマンが考える、TVCMと成功するデジタル動画広告の違い

2018年02月28日 07時44分更新

文●D2Cスマイル

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動画広告が当たり前になる中で、以前のようにTVCMを流用するのではなく、低コストで大量の動画を制作することも増えました。ゲームアプリでの実例データを踏まえて、TVCMとの違いや成功のポイントを解説します。

私は動画専門のチームで、メディアのプランニングから動画の制作ディレクションなど、動画周りを幅広く担当しています。前職ではTVCMの制作進行をしていたのですが、今はデジタル領域の動画がメインとなります。

こういった経歴を通して感じたTVCMとデジタル動画広告の違いから、動画制作に求められる変化などをご紹介できればと思います。

動画のアトリビューションについて、こちらもご一読頂ければと思います。
知っているようで意外と知らない動画広告のビュースルーコンバージョンとは?
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TVCMとデジタル動画広告の違い

TVCMとデジタル動画広告、どちらも経験して思うのは、動画の制作に求められているものが全く違うこと。結論から言えば、TVCMはいかなる場合も動画の質に100%力をかけるのに対し、デジタル動画広告は状況に応じて、動画の質と量のバランスを考えて力配分することが重要になります。

先にTVCMの話をすると、TVCMを構成する要素は広告出稿量と動画の質の大きく2つしかないと思っています。構成する要素が少ないからこそ、動画の質は大変重要になりますし、実際TVCMに関わる人はとにかく良い作品・広告にすることだけを考えていたように思います。

一方、デジタル動画の領域では動画の質だけでなく量(制作本数)も求められます。デジタルでは正確な広告効果が分かるからこそ、その効果をもとにPDCAを回すことが前提となっているため、どんどん次の動画を制作・配信していくことが重要とされます。

そしてここ最近、デジタル動画広告の領域で急速に需要が高まっているのが、大量の動画を短期間で制作して配信する方法です。これはつまり、動画の質を上げることよりも大量の動画を使って短期間でPDCAを回し、効果を良くしていくということです。実際、動画の本数が多ければ多いほど効果の良い動画を見つけられる可能性は高まりますし、クリエイティブの摩耗を防ぐこともできるので、安定して高いパフォーマンスを発揮できるのは間違いないと思います。今後もデジタル動画市場の成長に伴い、このニーズは高くなっていくでしょう。

デジタル動画広告で質も量も広告効果も実現できるか?

ここで知って頂きたいのは上記のような方法が正ではなく、数ある方法のうちの一つでしかないということです。たしかに量重視で動画を大量生産することは大変魅力的ですが、実際には実現可能な範囲で質と量のバランスを考えて制作することが大事なのです。

そこで私たちが考えるのは、簡単な動画を多く制作することと、大きな広告効果を生む質の高い動画を平行して制作をすることです。ここまでの要素と併せて、目標とするところを図に示すとこのような感じになります。

次に紹介するのは、実際に上記の方法で制作した動画の広告配信結果です。

実施したのはゲームアプリ案件で、制作した動画は全部で4本。
「ゲーム独自訴求」の動画をナレーションも入れるなどしっかりと作り込み、質を上げて制作。その他の3本は効率的に制作できる方法で制作をしました。

その結果が下図なのですが、結論から言えば想定した通り質の高い動画で効率的に獲得が進み、クリエイティブ全体でみても目標CPI以内に収めることに成功しました。

  • 案件:ゲームアプリ
  • 目標CPI:560円

一番のポイントは、質を重視した「ゲーム独自訴求」の動画が3か月連続で低いCPIを維持しながら獲得できているということです。これから、質も広告効果も高い動画は獲得効率が鈍化しづらいということがわかります。この結果はこの案件に限ったことではないので、質の高い動画を制作して獲得効率を高めるというのは効果的な施策であると考えています。

最後に

実例を用いて制作の方法について紹介致しましたが、この方法も前述した通り、目標達成のための一つの手段でしかありません。さらに言うと他の方法であれば、もっと良い効果を出せたかもしれませんし、手段に正解はありません。

ただ、闇雲に大量の動画を制作することに重きを置くのではなく、こうした、「動画をどういう風に何本制作する」といった今までになかったディレクション能力が、今後のデジタル動画広告の成長に併せてますます求められていくでしょう。

(記事提供:D2Cスマイル

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