人にとって重要な3つは、関心・感動・感謝
北原氏は現在、全国に7カ所の博物館を抱え、海外での展示会のほかに、執筆活動や講演会、テレビ・ラジオ出演など多方面で活躍している。
北原 僕、頑張ってるんだよ。60歳を過ぎて本も2冊出したし、今年の4月には和歌山に新博物館ができる。今までサンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨーク、フロリダでコレクションを展示してきたけど、3月末には香港でも初開催の予定だし、色々やるよ。不況をものともしない!
若い頃からあれやる、これやると言ってきたから、周囲にはほら吹きになるんじゃないかと心配されたけど、今を見て。ぜーんぶ実現した。凄いでしょう? コレクターとして成功する保証なんてなかったし、今住んでいる家だって、当時は(貧乏だったから)とんでもない夢だったんだ。
まるで絵に描いたようなサクセスストーリーである。北原氏は挫折を味わったことがないのだろうか。
北原 何回もあるよ! 僕がそう見えないのはそう見せないから、というだけ。桜子ちゃん、みんなさ、人生には辛いことはいっぱいあるんだ。でも100の辛いことがあったら、101の喜びがある。1つでも喜びが勝っていると思ったら人は乗り越えられる。僕は大変な局面に立つ度にプラスに考えるトレーニングをしてきた。これはチャンスなんだ! と自己暗示をかけてきたんだよ。
プラス思考を持ち続ける鍵は何かと尋ねたら、“3カン王”の話をしてくれた。
北原 “3カン王”って僕が作った言葉なんだけど、関心・感動・感謝の3つのこと。何にでも興味を抱く。良いと思ったらその喜びを素直に声に出して感謝する。それをするとね、幸運が舞い込んでくるんだよ。
たとえば古いおもちゃの収集だってさ、実際にはお金を払えば何でも手に入るというわけじゃない。だから僕はおもしろいおもちゃを見つけたときは大喜びして骨董屋さんにありがとう! と言ってお金を払う。そうすると、次に骨董屋さんが何か見つけたとき、僕に声をかけてくれる。この“3カン王”は人にとって重要だよ。
北原氏は61年間の歩みを通して独自のツキを呼ぶ10カ条や人生哲学がある。読者向けに3つの心得指南をお願いしたら、「3つかー。難しいなー」と仰りつつも即答された。
北原 まず、やってみろよ! だね。石橋を叩く位ならやってみろ、と。あと若い人にはやっぱり親孝行しろと言いたい。自分の誕生日になったら母親に感謝の気持ちを込めてプレゼントする。絶対いいよ! ってね。あとは、物事はプラスに考えなくちゃいけないね。
本当はもっとあるよ、と地団駄を踏んでおられたので、続きは北原氏の著書「ぼく流ツキの10箇条」を読んでいただくこととして、最後にこのご時世における生き方を聞いた。
北原 こんな今こそチャップリンが言った「(人生に必要なものは)夢と希望とサムマネー(いくらかのお金)」だね。僕は100年に1度の不況というあの言葉、大嫌い。お前、100年生きたのかよ!? と言いたい。日本は関東大震災や第二次世界大戦の敗北、オイルショック、バブルの崩壊、神戸大震災と危機に見舞われながら人間の叡智で立ち上がってきたじゃない?
メディアが不況を連呼するからいけない。口から出た言葉は言霊となってみんなの気持ちを萎縮させ、悪いスパイラルに入っちゃう。だから100年に1度の不況というのはね、実はそうでもない。100年に1度のチャンスと考えて、ピンチはチャンス! ありがとう!! と言えばいいんだよ。
北原照久(きたはらてるひさ/Teruhisa Kitahara)氏のプロフィール
1948年東京生まれ。青山学院大学経済学部卒。(株)トーイズ代表取締役、横浜ブリキのおもちゃ博物館館長。2006年4月より「横浜人形の家」プロデュース。2007年度横浜文化賞受賞
桜子(Sakurako/Cherry)のプロフィール
Interviewer&blogger 広告代理店・IT系企業を経て通信会社に勤務。5年前に「桜子の部屋・お友達の輪」というビジネスリーダーズインタビューを単独で開始。2007年シリコンバレーで活躍する日本人を取材に行く。日本人・外国人を含めた約50名ほどのインタビューを過去に実施(http://sakurako.cc/)
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