ハート系なら「脈アリ」、クローバーなら「可能性なし」!?
女子大生は「送る相手」によって、使う絵文字を変えている。
例えば「普通のハート」は女性の友人に送るメールに多用されるが、自分の彼氏や好きな男子に対しては、同じハート系でも「目がハートの顔文字」や「ハートにきらりとした飾りがついたもの」など、ひとひねりある絵文字を使っている。もし女子大生からそんなメールをもらったら、期待しても良さそうだ。
一方、単なる男ともだちにはハートは決して使わない。「笑顔」「きらきら」「手」「クローバー」などを使う。
杉山 クローバーを使われたら脈なしですね(笑)。男ともだちにハートを使わないのは「勘違いさせてはいけない」と思っているからでしょう。彼女たちにとってパソコンのメールは半ば仕事で使うもの──レポートとか就職活動とか。一方ケータイはよりパーソナルなツールだから、自分の感情をダイレクトに表現します。だから好意を持ってない人にハートの付いたメールを出す人はいません。
ただし女性から「ハートメール」をもらった場合でも手放しに喜んではいけない。脈ありかどうかを見極めるためには、相手の年齢も確かめる必要がありそうだ。
杉山 でも26~7歳の女性をリサーチすると、特別な感情を持っていない人に対してもハートを使う人が出てきます。その場合はテクニックのひとつとしてハート付きのメールを送っているんですね。
感情が読み取れないから怖い!? 「黒メール」
絵文字がひとつも使われていないメールを女子大生は「黒メール」と呼んで忌み嫌う。実際、女子大生がケータイで、プライベートなメールを送る場合、絵文字が入っていないことはまずない。そのようなメールは「怒っている」という意味になり、エチケット的にNG。単に「愛想がない」というだけではなく、相手に「怖い」という感情も与えてしまうという。
杉山 私も仕事がらみで彼女たちにメールを送ることがあるのですが、女の子相手に絵文字を入れるのはどうしても抵抗感があるんです(苦笑)。でも、絵文字がひとつも入っていないメールが届くと、驚いてしまう女の子もいるようです。
あとで『私、何かしましたか?』と聞き返されたり、『絵文字使わないんですね(涙)』とメールが帰ってきたり。しょうがないので、無難にクローバーなどをつけて送っていますが(笑)
大学生の中には平成生まれも増えている。
ものごころ付くころには「ケータイ」や「メール」が身近なツールになっていた世代だ。それだけに「文字を使ったコミュニケーションの怖さ」を身をもって知っているのではないかと、杉山氏は話す。
杉山 僕たちの世代(30代前半)は、メールのコミュニケーションで失敗しがちです。思った以上に硬い表現になってしまうとか、些細なことでボタンのかけちがいが生じるとか。でも彼女たちは、そういうものを完全に体得している感じがあります。絵文字は感情を伝えるツールとして役立っている。相手を傷つけたり、勘違いさせたり、怖いと思わせたり……。そんなことがないように、絵文字を使うのが当然になっているのだと思います。