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石井裕の“デジタルの感触” 第24回

石井裕の“デジタルの感触”

多重マシン生活者の環境シンクロ技法

2007年12月29日 21時10分更新

文● 石井裕(MITメディア・ラボ教授)

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スクリーン裏側のデバイスは何か


 前回も紹介したとおり、2007年1月18日に渋谷のNHKスタジオで「プロフェッショナル 仕事の流儀」の収録をし(参考記事)た。そのとき、キャスターの住吉美紀さんのリクエストで仕事道具をカバンから取り出し、テーブルに並べて説明するというシーンがあった。最初に取り出したのは、もちろんPowerBook G4である。

 2月8日の番組放映後、日本の視聴者からたくさんの反響が電子メールで寄せられたが、その中の数通は、このカバンの中身に関する質問だった。PowerBook G4のスクリーン裏側に装着されている「デバイス」は何か、また「そろばん」のように見えたものは何だったのか。どちらも放送時には説明が省かれていたため、こうした質問が届いたのだろう。

 後者は、そろばんそのものだ。本連載の読者であればご存じのとおり、タンジブルビットの原点を説明する際の講演用小道具である。

 一方、スクリーンの裏に装着したデバイスは、コンピューター好きの視聴者の間でも数々の憶測を生んだようだ。ある視聴者は「あれはきっと補助バッテリーだ」という意見を寄せ、また別の想像力豊かな視聴者は「あれは、討論をデジタル録音しながら音声認識するための、特殊変換装置ではないのか」という極めて独創的な考えを聞かせてくれた。MITメディア・ラボに所属するコンピューター科学者なのだから、きっと見たこともないプロトタイプを想像していたのかもしれない。


(次ページに続く)

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