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EX90の上位版となるカナル型

【レビュー】 3万円のイヤホン、ソニー「MDR-EX700」を聴く

2007年09月18日 22時00分更新

文● 高橋敦

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ジャズ、メタル、女性ボーカルはどれも良好


 続いては、普段から聴き込んでいる曲から、ジャズ、メタル、女性ボーカルを選んで試聴した。以下はそのファーストインプレッションだ。

 テストに使った楽曲ファイルはすべて、非圧縮と同等の音質である「Appleロスレス形式」。MacBook上の「iTunes 7.4.1」で再生し、無線LANで「AirMac Express」に配信。そのAirMacに光デジタル接続したDAC/ヘッドホンアンプ(izo「R.spec iHA-1」)のヘッドホン出力にEX700をつないで、試聴している。

 

ジャズ
Don Friedman VIP Trio「Timeless」はジャズピアノトリオの名盤にして名録音。収録曲からリズムの強力な「Alone Together」を聴いてみたが、そのドライブ感を見事に引き出してくれた。

ウッドベースは低い音程でも輪郭がはっきりしており、力感も強く、厚みや重みも十二分。細かなシンバルワークも曇らず埋もれずに届き、スネアやタムの抜けもいい。まとめれば「エネルギッシュかつ明瞭な音像」である。

 

メタル
プログレッシブメタルの雄、Dream Theater「Octavarium」からは「Panic Attack」を聴いたが、これとは特に相性がいいようだ。音を水平にも垂直にも「これでもか」と詰め込んだアレンジだが、そのすべての音を認識できるだけの解像感がある。

音像の強さが分離の良さにもつながっているようだ。ディストーションギターの音色も粒が粗く強靭で、まさにメタルギター。ザクザクと刻まれるリズムが心地いい

 

女性ボーカル
女性ボーカルとナイロン弦ギターのロックデュオ、FAKiE「To The Limit」からはソロギター曲の「Glow」と山下達郎のカバー「Ride On TIme」をチェック。

ギターのアタックの立ち上がりの速さ、弾け方は文句なし。ボーカルも艶やかで伸びやか。抜くところは抜きながらも力強く歌い上げてくれる



EX90を上回る遮音性


メッシュ部分

EX700はハウジング上部に音質調整ポートらしきメッシュ部分があるが、ここからの音漏れはそれほど大きくない

 カナル型は屋外で使うケースが多いため、遮音性を気にする人も多いだろう。そこで、ファーストフード店に移動し、iPodと組み合わせて外界の音がどのくらい聴こえるか試してみた。

 検証した場所は、話し声やざわめき、空調の低い唸りなどで騒々しかったが、両方のイヤーピースを押し込み終えた瞬間に明らかに一段階静かになった。さらに音楽再生を始めると、さほど音量を上げなくとも周囲の音は気にならなくなる。

 EX90も持ち込んで試してみたが、そちらだと付けても付けなくても周囲のうるささはそれほど変わらない。遮音性に関してはEX90から明確に向上したと言っていいだろう。

 しかし、そもそもEX90は遮音性よりも開放的な音場を重視した製品。それと比較して遮音性が高いと言っても、一般的なカナル型と比べて特に遮音性に優れるわけではない。「カナル型に期待される最低限の遮音性は確保されている」程度に受け取ってほしい。


 (次ページに続く)

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