マイクロソフト(株)は26日、都内にてIT管理者・開発者向けセミナー“Microsoft Windows Server“Longhorn”(ロングホーン)Beta3セミナー”を開催し、Longhorn Serverの概要を説明。同時に、Longhorn Server Beta3の日本語版の提供開始を発表した。
Longhorn Serverは現行のサーバー用OS『Windows Server 2003』の後継となるべく開発中のOSで、Windows Vistaの開発コード名と同じ“Longhorn”の名を冠している。セミナーの冒頭に開かれた基調講演では、米マイクロソフト社 Windows Server部門ジェネラルマネージャーのビル・レイン(Bill Laing)氏が登壇し、企業のIT部門が抱えるITコストの増大やセキュリティーといった問題に対する、Longhorn Serverの利点などが語られた。
レイン氏はLonghorn Serverの特徴を、3つの側面に分けて解説した。まず“システム基盤への投資”という面では、サーバーコアという新しい機能について説明した。レイン氏は顧客との対話を通じて、Windowsの多くの機能がすべての(サーバー)システム上で実行される必要はないことが分かったと述べ、サーバーコア機能を導入したとした。サーバーコアではグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を含めた多くの機能が削除されていて、システムの保守を最低限の手間で抑えられるようにしたという。「例えば、ファイルサーバーだけを実行する時は、グラフィックスやInternet Explorer、メディアプレーヤー機能はシステム上に存在しない。OSコアとファイルサーバーだけが動く」(レイン氏)。サーバーの用途に不必要な機能を削除することで、セキュリティーに対するリスクも軽減できるという。
そのほかにも、TCP/IPスタックの性能改善や、64bitプロセッシングへの対応により、メモリー空間が最大2TBまで拡大するなど、“パフォーマンス面での改良”も加えられている。管理者が設定したポリシー(例えば更新プログラムの適用など)にそぐわないクライアントが、誤ってネットワークに接続されてセキュリティーリスクをもたらすことを防ぐ、“ネットワークアクセスプロテクション”(NAP)という機能も搭載された。
また、米Softricity社から2006年に買収したアプリケーション仮想化ソフト“SoftGrid”(ソフトグリッド)の機能を備え、クライアントに対して実行時にアプリケーションを配信し、実行させられる。アプリケーションの実体はサーバー側で動くため、クライアントへのアプリケーションインストールやメンテナンスの手間が省けるほか、異なるバージョンの同じアプリケーションをクライアント環境上で並行して実行することもできる。SoftGrid以外にも、仮想化技術への対応はLonghorn Serverでは非常に重視されていて、レイン氏は他ベンダーとの相互運用性確保に向けた連携や、ソフトウェアライセンス形態を仮想化インスタンスや仮想プロセッサー単位に改善するなどを通じて、仮想化技術の活用を促進していく姿勢を示した。
Longhorn Serverは、本日公開されたBeta 3によって機能の実装を終え、今後は正式リリースに向けて安定化を進めていく。2007年後半にはRTM(リリース候補版)の完成を予定している。公開されたバージョンは、x86版(32bit)、x64版、IA64版(Itanium用)で、同社ウェブサイトからの無料ダウンロードのほか、有償のDVDキット(1260円、x86版とx64版のみ)の受付も開始されている。レイン氏は来場者に対して、Beta 3を入手・導入して、ぜひフィードバックを提供してほしいと呼びかけた。