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「世の中をSQL一色にしたい」マイクロソフト、SQL Serverの新戦略発表

2007年09月04日 19時36分更新

文● アスキービジネス編集部

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4日、マイクロソフトは「Microsoft SQL Server」の日本市場向け戦略を発表した。今年度は「エンタープライズ市場への取組み強化」「BI市場への取組み強化」「次世代業務プラットフォームの獲得」の3分野に特化した戦略で3年以内に売上倍増を目指す。


3年以内にSQL Serverの売上倍増を目指す


 4日、マイクロソフトは、データベース製品「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」について、日本市場向けの戦略を発表した。SQL Serverは、1999年に「SQL Server 7.0」をリリースして以降、日本市場における出荷数は平均成長率20%で推移しており、「2008年にリリース予定のSQL Server 2008を含め、一層の製品拡販によって、3年以内に売上倍増を狙う」(サーバプラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長 五十嵐光喜氏)。

 今年度のSQL Serverは「エンタープライズ市場への取り組み強化」「BI(Business Intelligence)市場への取り組み強化」「次世代業務プラットフォームの獲得」の3分野を重点戦略としている。


好調な推移を見せるエンタープライズ市場への取り組みを強化


「過去2年間に外部機関に発見された脆弱性はゼロというセキュリティが評価されており、Enterprise Editionは年平均成長率46%とSQL Server全体の中でも特に好調に推移している。今後はもっと競合他社のデータベースからの移行を支援したい」(五十嵐氏)。

 マイクロソフトは、競合他社データベースおよび他社BIプラットフォームからの移行を支援するディスカウントキャンペーンを実施する。これにはSQL Server 2008へのアップグレード権利を含むソフトウェアアシュアランス付きで最大50%の割引価格で購入することが可能。2008年6月30日までの期間限定となっている。

 また、Oracle Database からのSQL Serverへの移行プロセスを自動化するツール 「SSMA (SQL Server Migration Assistant )for Oracle V3.1 」の提供により、WindowsのみならずUnix/Linuxのプラットフォームにも対応できるようにしていく。

 さらに技術者の育成にも力を入れていく。ORACLE MASTER資格取得者を対象とした無料のトレーニングの提供を行なったり、SQL Serverを中心とするアプリケーションプラットフォームエンジニアを現在の60名から120名に増強する。また、SQL Server 2005ベースのシステム設計/構築ノウハウをガイド化し、そのガイドを活用したワークショップをパートナー企業に提供していく。


BI市場での飛躍を狙う


「日本のIT投資はセキュアな環境作りと生産性向上が中心となっている」(五十嵐氏)が、そのコアになる部分がBIだとマイクロソフトは考えている。五十嵐氏は「より多くの社員にBI機能を提供することでえ、会社全体で生産性を高めることができる」と言う。そこで、4日から「Data Mining Add-ins for Office system」の機能を体験できるサイトを開設した。これは、「SQL Server 2005」 が標準で提供するデータマイニング機能を「Excel 2007」および「Visio 2007」から連携可能にするツール。1週間と期間は限定されているが、ユーザーのデスクトップ上にあるエクセルデータをデータマイニングエンジンで入れることで、売上げの予測をたてたり、工場の歩留まりに関するデータを解析することができる。

 また、他社BI製品からの移行を狙うため、潜在ユーザーへの啓発活動から商談成立までの取り組みを強化する。専門の外部BIコンサルタントを講師に招き、企業ユーザー向けのBIの活用事例を紹介する「BIラウンドテーブル」を年60回以上実施する予定となっている。また、BI構築に必要な技術内容の習得を目的とする無償トレーニングの実施も行なう。


次世代業務プラットフォームにも対応していく


 五十嵐氏は今後10年を見据えたプラットフォームということで考えれば、「仮想化とSaaSは外すことはできない」とその重要性を指摘する。

 現在、SQL Server 2005のEnterprise Editionを利用するユーザーは、物理OS上でソフトウェアを実行するのに必要なライセンスを購入することによって、追加のライセンスを購入せずに無制限に仮想化OS上で SQL Serverを実行することが可能となっている。このライセンスポリシーはSQL Server 2008にも継承されていく。また、今回SQL ServerのBI機能を期間限定で無料で使用できるようにしているが、「今後有料でこういった形で提供すればSaaSと言えるし、そういった対応も状況によってはありえる」と五十嵐氏は述べる。

 また、アプリケーションパッケージにおける次世代業務プラットフォームを推進するため、ソフトウェア開発パートナー企業に対しては、「マイクロソフト イノベート オン プログラム」を通じて、技術支援やトレーニング活動などを行なっていく。

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