モバイルと組み込みがOperaの世界を広げる
一方、軽量コンパクト、マルチプラットフォームというOperaブラウザーの特徴は、画面サイズやパフォーマンスに制限のあるモバイルや組み込み機器の分野で花開きつつある。特に注目したいのが、Operaにとって第3のカテゴリーと言える“組み込み機器向けブラウザー”だ。
OperaはすでにニンテンドーDSやWiiのようなゲーム機、Nokia 800やmyloのようなPDA、ヨーロッパ市場で広く販売されているSTBなど十数種類のデバイスで採用されている。
組み込み機器向けブラウザーの責任者であるScott Hedrick氏は「まだ、公開できる段階にないが、いずれ日本の大手メーカーから、さらにもう1機種Opera採用のアナウンスがある」と話す。
組み込み機器向けのOperaは、パソコン用のOperaとソースコードが共有されており、顧客のニーズに合わせて、短期間でカスタマイズした製品を投入できるのも特徴だ。Windows CEやLinuxといった主要なプラットフォーム向けには、評価キット『Opera 9 SDK for Devices』も用意されており、1~2ヵ月で製品を投入できるのも特徴だという。
また、モバイル向けでも近い将来『Opera 9』の提供が予定されているという。モバイル版のOpera 9ではパソコンと同じWidgetの実行が可能なほか、インテリジェントズームなども搭載することができる。インテリジェントズームでは、縮小版の状態から一部分だけを携帯電話で見るのに最適なサイズに拡大することが可能。ワンタッチで動作させられるほか、拡大縮小時はぐいっと動くアニメーションで楽しませてくれる。
フリー提供が当たり前のパソコン用ブラウザーの分野で、さまざまな収益モデルを模索してきたOpera Softwareだが、組み込み向けのライセンスビジネスは、売り上げ全体の8割強を占める重要なビジネスへと成長した。
Hedrick氏は、かつて働いていたサン・マイクロシステムズで、ビル・ジョイの法則と呼ばれていた格言を引用しながら以下のように語った。
「世界中にいる優秀な人材のほとんどは、僕らの会社に勤めていない。だから、社外からの意見も含めたいいアイデアを集約し、オープンなプラットフォームの上でイノベーションを起こすべき。もし新しい機能の考えがあったら、ぜひOperaに教えてください。10年以上ある、Operaのブラウザー開発のノウハウを、たくさんの企業との協業の中で生かしながら、魅力的なエクスペリエンスを作っていきたいと思いますね」