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Opera Softwareの標準技術担当者に聞く

いい標準化と悪い標準化

2007年07月24日 00時00分更新

文● 編集部

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 (株)スイッチが主催するセミナー“The Days of Web Standards 2007 [Web標準の日々]”(開催は7月15日と16日)に伴って、Opera SoftwareのCSO、チャールズ・マクシネビル氏が来日した。

 CSOとは“Chief Standard Officer”(最高標準技術責任者)の略。ウェブ標準に積極的に取り組んでいるOperaが考える、理想的なウェブ標準のあり方とは何か? 講演と編集部のインタビューに応えてくれた同氏の発言から、探っていこう。

マクシネビル氏

Opera SoftwareのCSO、チャールズ・マクシネビル氏



標準技術には2面性がある


 講演の中で印象的だったのは、マクシネビル氏が、標準技術の二面性に関して言及した部分だ。標準技術をうまく利用すれば、相互運用性が生まれ、開発ツールの選択肢が増え、開発者のコミュニティーが発展する。しかしその一方で“邪悪な使い方”(同氏は講演でEvilという言葉を使っていた)をすれば、逆に開発者に制約が生じ、よくない状況が生まれるというものである。

 ここで言う開発者の制約とは、標準技術を実装する際に多大なコストが必要とされる状況を指す。同氏が一例として挙げたのは、標準化に関連した企業が知的財産権を利用して、ライセンス料でもうける状況だ。これ以外にも、1社が提供している開発ツールしか利用できない状況が生まれたり、コミュニティーそのものの発展性が阻害されるといったものも制約に含まれる。

 「法律家のために、やっているのではない」というのは、同氏がしばしば口にしていた言葉だ。

 Operaは“IETF”“OMA”“ECMA”“WHAT-WG”“W3C”など、複数の標準化団体の活動に積極的にかかわっている。同社として特に力を入れているのがHTMLの次期バージョンである“HTML 5”の標準化である。



HTML 5がもたらすもの


 HTML 5に関しては、以前Opera Softwareの担当者をインタビューした記事でも紹介したが、主な目標としては、DOM(Document Object Model)の構文解析(パージング)の明確化、<video>や<canvas>といったHTMLエレメントを追加することで、マルチメディアコンテンツへの対応を強化すること、カレンダー入力やドラッグ&ドロップなどの操作を複雑なJavaScriptを書かずに利用できるようにする“Webform 2”の採用などが挙げられる。

 HTML 4の登場以来、約10年の時を経た新バージョンとなるが、HTML 5の必要性に関して、マクシネビル氏は「なぜなら、みんなが使っているからです」と話す。

(HTMLには)現実性がある。ツールも広範に用意されているし、ソースを参照して、それが実際にどのように動作するかも確認できる。これはきわめて重要なことです。しかし、HTML 4の仕様そのものは10年前に策定されたもので、悪い形で実装されているものも多い。いくつかの仕様は不明確な状態になっていて、異なる実装の方法が採用されている場合もある。

 特に上に挙げたDOMのパージングの問題は、HTMLのドキュメントを適切に取り扱っていく上で、非常に重要なものだという。

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