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HDDを無線化!! 新『AirMac Extreme』のディスク共有機能を試す

2007年02月08日 22時44分更新

文● 小口博朗、編集部

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アップルコンピュータ(株)から発売された、新しい『AirMac Extreme ベースステーション』には、USB 2.0で外付けHDDを接続して、ネットワーク上で共有するという機能がある。前回の通信速度(関連記事)に引き続き、今回はHDD共有機能の使い勝手についてレポートしたい。

AirMac Extremeベースステーション

『AirMac Extremeベースステーション』


HFS+とFAT16/32をサポート

まずは、仕様面から確認していこう。米アップルのサポートページ(http://docs.info.apple.com/...)によれば、ベースステーションが共有用HDDとしてサポートするディスクフォーマットは、HFS+、FAT16、FAT32のいずれか。光学式ドライブやフロッピーディスクドライブは非対応となっている。

また、アップルは別のサポートページ(http://docs.info.apple.com/...)にて、ファイル共有用のプロトコルが、ディスクフォーマットによって自動的に選ばれることも説明している。フォーマットがHFS+ならAFPかSMB/CIFS、FAT16/32ならSMB/CIFSといった具合だ。

AirMac Extreme ベースステーション自体は、1つのUSB 2.0ポートしか装備しないが、USBハブを利用して複数台のHDDを利用することも公式にサポートされている。ちなみに編集部で検証したところ、USBメモリーやiPodもマウントして、ファイルを転送できた。

ただし、ベースステーションにつないだFAT32フォーマットのUSBメモリーにMacからファイルを転送後、そのUSBメモリーを外し、直接別のMacに差してファイルを取り出そうとすると、ファイル名が文字化けしていた。

HFS+フォーマットのHDDに転送したファイルは、直接Macにマウントしても文字化けしなかったため、Macだけで使う分にはHFS+フォーマットの製品にしておいたほうが無難かもしれない。

また、iPodもデータを保存する領域しか見えず、iTunesと曲やビデオデータを同期できる訳ではないので、そこまで積極的に使う理由がないだろう。

文字化け

FAT32フォーマットのUSBメモリーにファイルを転送し、そのUSBメモリーを取り外してMacにつなぐと、左上のファイルのように名前が文字化けしてしまう


ディスクを接続したら認証方法を決めるだけ

さて、実際にこの機能を利用する手順を見ていこう。まずは、AirMac Extremeベースステーション本体にUSB2.0ケーブルでHDDを接続しよう。

次に、ベースステーションに接続するマシンで管理ソフトの『AirMac ユーティリティ』を起動して、ツールバーから“ディスク”を選ぶ。開いた画面で“ファイル共有”タブを開き、“共有ディスクのセキュリティ保護”メニューから認証の方式を選択する。

認証方式

メニューには3つの認証方式を用意

ユーザーアカウントを独自に作成してアクセス権限を与える“アカウント”、ファイル共有時に使うパスワードを設定する“ディスクパスワード”、AirMac Extreme ベースステーションの設定用パスワードを共有する“ベースステーションのパスワード”──3つから任意のものを選べばいい。このほかに、認証を必用としないゲストアクセスを許可するか否か、許可する場合はその権限も設定することが可能だ。

以上の設定が済んだら、AirMac Extremeベースステーションをアップデートして再起動。クライアント側で『AirMacディスクユーティリティ』を使えば共有ボリュームがマウントされる。


実はインターネット経由でのアクセスも可能

AirMac ユーティリティの“ディスク”→“ファイル共有”タブの設定には“Ethernet WANポート経由でディスクを共有”という設定項目が用意されている。これをオンにしておけば、LAN内だけでなく、インターネットを経由してファイルの共有が可能になる。

クライアントから接続する場合には、Finderの“移動”メニュー→“サーバへ接続”を選んで、“サーバへ接続”ダイアログの“サーバアドレス”欄にグローバルIPを直接入力すれば、共有サーバーをマウントできる。

LAN内のマシンをファイルサーバーにしていて、これをインターネットに公開するような場合には、ルーターでポートフォワードの設定が必用になり面倒だが、AirMac Extreme ベースステーションに直接接続されたボリュームならばその必用もなく簡単だ (もちろんセキュリティーに注意する必要はあるが)。

なお、LAN内にある特定のマシンのサービスをインターネットに向けて公開したい場合には、ポートマッピングの機能も用意されている。

ポートマッピング

ポートマッピングの設定は“詳細”→“ポートマッピング”から行なえる。“+”ボタンを押すと追加するサービスの選択画面が現われる


GB単位のやりとりにはやや時間がかかる

さて、実際にファイルサーバーとして使用する際のデータ転送速度に関しては、以前の記事(参考記事)でも紹介したが、今回は同じ外付けHDD(3.5インチ、7200回転/分)を使い、ネットワーク経由とマシンに直接接続した場合とを比較してみた。

テスト内容は前回と同様、サーバー上に置いた1GBのディスクイメージを、Mac OS X 10.4.8のFinderを使ってダウンロードするのにかかった時間を計るというもの。結果は以下の通り。

1GBのファイルをダウンロードするのにかかった時間

1GBのファイルをダウンロードするのにかかった時間

前回の検証のように、5GHz帯を使ったドラフトn専用モードは、802.11gに比べれば4倍程度速い。しかし、一方でFireWireで直接接続した場合と比べると約10倍の差となった。やはり無線で“GB”単位のファイルをやりとりするには、多少時間がかかることを覚悟する必用がありそうだ。

とはいえ、2〜3MB程度のファイルの転送であれば、コピーダイアログが表示されるやいなや終了する。時間にすれば1秒とかからない。

AACなどで数MBに圧縮されたiTunesの音楽ファイルであれば、まとめて共有サーバー上に保存しておき、ここから直接読み込んで再生しても、再生開始まで手間取ったり、再生中に音が途切れるといった問題は起こらないだろう。

つまり、最近、ネットワーク対応の外付けHDDでよく目にするようになったiTunesサーバー機能のように使えるわけだ。なお、このように利用したい場合には、iTunesの「環境設定」でローカルのライブラリーに参照元のファイルをコピーしないように設定しておく。

iTunesの設定

“環境設定”→“詳細”→“一般”タブで、“ライブラリへの追加時にファイルを“iTunes Music”フォルダにコピーする”のチェックを外す。あとは“ファイル”メニューの“ライブラリに追加”から、ネットワーク上に保存した音楽ファイルを指定すればいい

同様に日常的に参照する書類や資料も数百メガを超えることはそうそうない。インターネット経由で共有サーバーにアクセスすることも手軽だから、どこにいても気軽にアクセスできる個人用のサーバーとして利用するなら重宝するかもしれない。



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