グローバル化とクラウドの時代に再評価!リバーベッドのWAN最適化 第2回
既存ストレージと相性の良さと切り札「Whitewater」の威力
リバーベッドが取り組むとDRとクラウド対応はこうなる
2011年11月24日 06時00分更新
WAN最適化を極めるべく技術革新にいそしんできたリバーベッドの最新ソリューションを解説する本特集。2回目は、DRとクラウドなどのIT業界の大きな潮流に対して、リバーベッドがどのような製品やソリューションを展開しているか見ていきたい。
遠隔バックアップの切り札にもなるSteelhead
WAN最適化はWAN経由でのアプリケーションの利用を快適にすべく、帯域を有効活用し、遅延を抑えるというソリューションだ。リバーベッドのWAN最適化ソリューションも、登場当初はデータセンターのアプリケーションやファイルサーバーを営業所や支店などの拠点から利用するというのがメインであった。実際、事例も各拠点からデータセンターへのファイルサーバー統合や海外拠点からのアプリケーション利用の高速化などの導入事例が多かったという。また、モバイルPCや遠隔拠点でWAN高速化のメリットを享受できるSteelhead Mobileというソリューションも国内では人気がある。
そして、WAN最適化の用途としてもう1つ有効なのが、Steelheadアプライアンスを用いたDisaster Recovery(DR)のソリューションである。ご存じのとおり、日本では3・11の東日本大震災以降、DR再構築の動きが一気に加速した。本社やメインデータセンターのストレージに格納されている業務データを遠隔地にバックアップしたり、システム自体を二重化する。これにより、ダウンタイムを最低限に抑え、広域災害に備えようというものだ。ベンダー側もこれに対応し、首都圏以外のデータセンターを用意したり、リモートバックアップ用の製品やサービスを次々とリリースし、こうしたニーズに応えようとしている。
しかし、遠隔のデータセンターにデータを送信するために高価な専用線を導入するのは、大きなコストがかかる。もちろん、帯域を共用するベストエフォート回線は安価だが、伝送品質が安定しない。昨今は企業の抱える業務データはどんどん肥大化する傾向にあり、場合によっては想定した時間内にバックアップが終わらない可能性すらある。かといって、ミッションクリティカルなデータのみを選別していては、大きな管理負荷がかかる。最新のDRソリューションでも、こうしたWAN回線でのバックアップの負荷を想定していないことは意外と多い。
こうしたジレンマから解放されるためにもSteelheadアプライアンスが役に立つ。具体的には、メインサイトとバックアップサイトにSteelheadを設置し、スループットを向上させるのだ。データの圧縮、重複排除、プロトコル最適化などのリバーベッドの技術で送受信するデータ量を徹底的に絞り込み、高価で大容量の回線を用いずとも、効率的なリモートバックアップが実現できる。また、QoS(Quality of Service)の機能を活用し、DRと通常のアプリケーションのトラフィックをきちんと優先制御し、双方が影響しないようにコントロールすることが可能だ。
もちろん、ユーザー拠点のストレージで使えなかったら困る。その点、リバーベッド製品はEMC、ネットアップ、ヒューレット・パッカード、日立製作所(HDS)、IBM、デルなどほとんどのストレージベンダーの製品と組み合わせが可能になっている。ベンダーの認定も取得しているため、安心して導入できる。たとえば、EMCのレプリケーションソフトであるSRDF、Recovery Point、SAN CopyなどでE-Lab認証されており、FCIP(Fibre Channel over IP)のプロトコル最適化のほか、自動設定まで実現されている。
実際、ある製造業のメーカーが10Mbps(遅延20ms)のWAN回線を使って、EMC Celerraのデータをレプリケーションした場合、110GBの転送に25時間(1日を越える)かかっていた。これをSteelheadの導入で、2時間にまで短縮した。各社のラボでこうしたデータ削減効果も実証されており、Steelheadと各社のストレージを組み合わた事例も数多い。
クラウドへのバックアップを効率化する「Whitewater」
前述したようなDRの場合、ユーザーはメインサイトとは別にDRサイトを用意しなければならない。しかし、最近ではこうしたDRサイトとして、サービスプロバイダーのクラウドサービスを活用するクラウドバックアップのソリューションも現実的になっている。DRサイト自体やサーバーや回線調達などが不要なので迅速に導入でき、コスト面でも使った分だけの月額課金になるため、無駄がない。こうしたクラウドバックアップ向けの専用WAN最適化製品としてリバーベッドが国内に投入したのが、「Whitewater」というアプライアンス製品だ。
Whitewaterでは、WAN最適化に加え、RESTなどのAPIを介して、クラウドストレージに対してデータを送ることが可能になっている。LAN内からファイルサーバーとして見えるため、通常のバックアップソフトでデータはWhitewaterに保存しておけば、自動的にクラウドバックアップを実行する。最新のバックアップデータはLAN内に置いておき、古いデータはクラウドストレージに送っておく。必要なときにクラウドストレージからリストアをかければよいわけだ。データは、256ビットの強度な暗号化が施されるので、セキュリティ面でも安心だ。
現在、対応しているクラウドストレージはWindows Azure、AWS(Amazon Web Services)、AT&T、ニルバニックス、ラックスペース、EMCのAtmos、OpenStack(Swift)などがあるが、将来的には、国内のクラウドストレージにも対応する予定。 Whitewater自体は、5TBモデル、10TBモデル、15TBモデルのほか、仮想アプライアンスも用意されている。
さて、次回はリバーベッドが最近力を入れるCascadeによる可視化の分野、そして新たに買収したzeusやaptimizeなどの最新ソリューションを紹介する。
「Riverbed Performance Forum 2011」が開催!
リバーベッドテクノロジーの最新ソリューションを解説する「Riverbed Performance Forum 2011」が東京(12月9日)、大阪(12月13日)の2ヶ所で開催決定! 詳細および登録は「Riverbed Performance Forum 2011 -Tokyo-」(東京会場)と「Riverbed Performance Forum 2011 -Osaka-」(大阪会場)を参照のこと。
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