関数とフィルターにする
コマンドが少し長いので、必要な機能を関数とフィルターで定義して、PowerShellが起動時に読み込むプロファイルに登録しておくと、実行が簡単になる。それが以下のリストだ。これをそのままプロファイルにコピーしておく。
リスト4
function Get-WUUpdates(){
$WindowsUpdateSearch=(New-Object -ComObject Microsoft.Update.Session).CreateUpdateSearcher()
return $WindowsUpdateSearch.Search("IsInstalled=0 OR IsInstalled=1").updates
}
filter Select-WUProcessing{
if ( $_.isinstalled -eq $false -and $_.isdownloaded -eq $true -and $_.rebootrequired -eq $false -and $_.isPresent -eq $false) {return $_ } else { return $null }
}
filter Select-WUWaitReboot{
if ( $_.rebootrequired -eq $true) {return $_ } else { return $null }
}
プロファイルは、PowerShell内で「$PROFILE」に記録されているので、たとえば、「notepad.exe $profile」などとして開くことができる。編集したあと、プロファイルを強制的に読み込ませる。それには「. $profile」を実行する。

PowerShellが起動時に読み込むプロファイルのパスは、$PROFILE変数に保持されている。これを使えば、プロファイルをメモ帳で編集させることもPowerShell内から指示できる。プロファイルが変更されたらソースコマンド(ピリオド)で、これを再読み込み可能だ
簡単に関数とフィルターを説明しておく。Get-WUUpdates関数はリスト1を関数化しただけだ。「$Update=Get-WUUpdates」などとすれば、変数$Updateに現在のアップデート記録される。
Select-WUProcessingとSelect-WUWaitRebootは、リスト2とリスト3の部分をFilterとして定義したもの。Filterは、PowerShellの関数の一種で、パイプラインの途中に置くことを想定したもの。注意するのは、フィルターはパイプラインを流れるオブジェクトひとつひとつに対して個別に呼び出しがなされるため、Where-Objectコマンドが使えない点だ。
これを定義しておとく、PowerShellから
Get-WUUpdates | Select-WUProcessing | select-Object title
とすれば、現在処理中のアップデートの名称(title)が表示される。中間部分を「Select-WUWaitReboot」に置き換えれば、再起動待ちのアップデートが表示される。
もし、再起動が必要という要求があったとき、上記のコマンドを実行して、何か表示されれば、別のアップデートが進行している可能性がある。設定ページを開いて確認してみるべきだ。何か別のアップデートが進行中か保留になっているはずだ。
Windows Updateは、アップデートのダウンロードやインストールでは、何も通知してくれない。しかし、アップデートが1つでも再起動を要求すると、他のアップデートのインストールやダウンロード中でも再起動をユーザーに通知してしまう。本来なら、すべてのアップデートが完了してから再起動を要求してほしいのだが、半日待ったら別のアップデートが来てしまうこともあり、コンピューターのアルゴリズムとしては「すべてのアップデートが完了」という判定は難しい。
というわけで、筆者は自衛的にアップデートの処理が進行中かどうかを確認できるようにした。今回は動作原理にとどめたが、PowerShellでスクリプトを記述できるなら、前記のコマンドを以前紹介したトースト通知などと組み合わせ、タスクスケジューラーで30分から1、2時間程度の周期で実行させれば、設定ページを開くきっかけになる。
●Windows PowerShellからスクリプトの完了をトースト通知で知らせる
https://ascii.jp/elem/000/004/059/4059715/
Windows Update Agent APIは、以前からあるのだが、Windows Update自体が変化してきているため、改良が重なり、かなり大きな機能である。このため全体像を理解するのに少し手間取った。一応、Windows 11やWindows Insider Programプレビューのマシンでもチェックしてたところ、ちゃんと動くようだは、Windows Updateの振る舞いとプロパティの関係は、筆者の観察による推測でしかない(ドキュメントにはプロパティの値についての記述しかない)。
ほとんどの場合で、RebootRequiredプロパティはインストール前でfalse、インストール後にtrueになり、再起動を行うとfalseに戻るのだが、筆者の環境では1つだけfalseに戻らないアップデートがあった。しかし、他のマシンでは同じアップデートはfalseに戻っているので、なんらかの不具合の結果だと判定している。とはいえ、あくまでも筆者の観察からの推測であるため、正しくない場合があるかもしれないことをあらかじめお断りしておく。

この連載の記事
-
第488回
PC
Windowsのサウンド設定をコマンドラインで調べる -
第487回
PC
気づけば随分数が増えているWindowsのファイル属性 -
第486回
PC
Excelがあればなんでもできる -
第485回
PC
Windows Subsystem for Linux(WSL)のソースコードが公開された -
第484回
PC
WindowsのコマンドラインでGrapheme Clusterを正しく扱うには -
第483回
PC
Microsoftが作るコンソールエディタがこの時代に復活 -
第482回
PC
WSL(Windows Subsystem for Linux)向けにFedoraディストリビューション登場 -
第481回
PC
Windows 11にそろそろ聞こえる25H2の声 -
第480回
PC
PowerShellが使う色を変更する -
第479回
PC
Copilot+ PCで利用できる「Windows Copilot Runtime」を試す ローカル推論用モデル「Phi Silica」とは? -
第478回
PC
Copilot+ PCでNPUを使ってローカル推論 「Windows Copilot Runtime」を試す - この連載の一覧へ