10月に入って携帯電話の契約に取り巻く状況が一変。格安SIMでも同様に変化した。前回では、ソフトバンクとauでは解約しやすくなったことを試してみて、格安SIMへの乗り換えがしやすくなったことを実感したが(「大手キャリアは本当に違約金なし or 1000円で解約できるのか」)、転出先である格安SIMの販売状況はどう変わっているのだろうか。
特価やキャンペーンは完全になくなった?
9月までは、3大キャリアやサブブランドでは「一括0円」、もしくは非常に大きな特典や端末の特価販売を実施。MVNOの格安SIMの一部でも、音声通話が可能な回線の契約においてスマートフォンを大幅な割引販売を実施する例が見られた。
これらはすべて一定期間の回線の“縛り”があって成立していたはずで、長期に渡って契約してもらえれば端末割引分のマイナスを回収する仕組みになっていたと想像できる。MVNOの格安SIMであっても、短期の解約では違約金がかかるのも仕方なく思える状況だった。
ところが10月からは、主要キャリアのみならず、サブブランドや大手のMVNOも、長期契約における違約金の上限(1000円まで)、回線契約とセットでの端末の値引き(2万円まで)、ともに大幅に制限が加えられることになった。
高額な違約金による縛りがなければ、スマートフォンを割引販売した分が回収できず、赤字になってしまうリスクが高まるように思える。しかし、10月以降もそのような割引やキャンペーンは実際には残っている。
意外にも端末割引などの特典は
今も継続して提供されているMVNOの格安SIM
そもそもMVNOの格安SIMでは、10万円のスマートフォンを一括0円で提供するようなことはしていない。一部の例を除けば3~4万円程度のスマートフォンを、数千円から1万円の値引きをして提供することが一般的だった。
目立っていたところでは、OCN モバイル ONEを提供するNTTコミュニケーションズの子会社、NTTレゾナントが運営する「goo Simseller」があり、音声SIM契約を前提に端末購入時に大きな割引が発生していた。また家電量販店でも回線申し込みと同時購入で割引があった。たとえば一部の店舗限定で、IIJmioによる端末費用を大幅に割り引く代わりに、通常の契約とは別の違約金を課す「アシストオプション」なるものも存在していた。
9月の段階では、これらの割引やキャンペーンは「9月30日まで」といった感じでアピールされていたが、10月になってからも形こそ変化しているものの、音声SIM契約を前提に特典を付けるという販売施策は残っている。リアルな店舗で見かけたなかで最も大きなものでは1万1000円引きで、前述のgoo Simsellerでは2万円程度の値引きは10月になっても健在だ。
回線契約と同時に値引きなどの特典があることの多い格安SIMは、OCNモバイルONE、BIGLOBE、IIJmioで、顔ぶれは9月までとあまり変わらない。そのほかLINEモバイル、mineoなども特典は見られるが、総額は前述の3社にくらべるとやや弱い。

この連載の記事
-
第279回
スマホ
月119円~で話題の日本通信の新データSIM メリットは? 本当にオトク? -
第278回
スマホ
大容量モバイル回線があれば固定回線の導入は不要なのか、コスト面から考えた -
第277回
スマホ
店頭で「1円」と大きく書かれるiPhone 16eは買いか? iPhone 15や16の価格からも考える -
第276回
スマホ
総務省が携帯料金見直しの解説サイトを構築 一般の人はこれを見れば、見直しや乗り換えは簡単にできるのか? -
第275回
スマホ
IIJmio&mineoで20GBが月1000円以下で半年使える! 新プラン発表より注目すべきはキャンペーン内容 -
第274回
スマホ
最新のGalaxy S25がソフトバンクで「月3円」! 本当に安く買えるのか、実際にかかる金額を計算する -
第273回
スマホ
約3万円でFeliCa対応のOPPOの新エントリー機「OPPO A3 5G」はメイン機として使え、回線マニアも納得の格安機種 -
第272回
スマホ
2025年のモバイル業界や格安SIMはSIMだけ乗り換えがさらに広がる? 値下げよりサービス内容や通信品質が問われる時代に -
第271回
スマホ
2022年12月に買ったauで「月1円×24回」のPixelスマホを返却した タイミングを逃すと高額支払い -
第270回
スマホ
今、1万円台~5万円で買えるスマホはどれを選ぶ?【2024年末版】 -
第269回
スマホ
今の楽天モバイルってどうなってる? メイン回線で使える? 速度低下はどう? - この連載の一覧へ