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顔認証/AI技術とパートナー製品を掛け合わせた「AI・IoTビジネス共創コミュニティ」の成果を披露

NEC、パートナー19社出展の「顔認証ソリューション展示会」開催

2018年02月20日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 NECは2018年2月15日、東京都内で「顔認証共創ソリューション展示会」を開催した。NECの顔認証技術を組み込んだビジネスソリューションを開発するコミュニティパートナー19社が出展。防犯/入退出監視だけでなく、小売業のサービス向上から医療現場の「見守り」まで、NECの顔認証技術が幅広いビジネス領域で活用できる技術であることを具体的に示す展示会となった。

東京・三田で開催されたNEC「顔認証共創ソリューション展示会」。会場は多数の来場者であふれた

接客支援から働き方改革、患者の見守りまで、活用領域を広げる顔認証

 今回の展示会は、NECが昨年春から展開を始めている「AI・IoTビジネス共創コミュニティ」(詳しくは後述)のイベントとして開催されたもの。NECの顔認証技術を組み込んだパートナーソリューション群が一堂に会するのは今回が初めてで、NECの販売パートナーを中心とする来場者は各ブースで熱心に説明を聞いていた。

「AI・IoTビジネス共創コミュニティ」パートナー19社が顔認証ソリューションを展示

 顔認証技術と聞くと、どうしても「防犯」「入退出管理」といった適用先をイメージしがちだ。ただし、今回展示されたソリューション群を見渡すと、そうしたセキュリティ系ソリューション群ばかりではなく、マーケティングや接客支援、「働き方改革」支援といったソリューションも多く見られた。顔認証技術が、アイデア次第で幅広く有効活用できるものだということがわかる。

 たとえば出展パートナーの1社、サイボウズが展示していたのは、多店舗展開する小売業向けの「来客層&売上可視化ソリューション」だ。

サイボウズブースでは、kintone連携による「小売業向け来客層&売上可視化ソリューション」を展示していた

 このソリューションは、店舗のカメラ映像から性別や年齢を自動推定するNECの「FieldAnalyst」を活用して、各店舗における来店者の属性情報をサイボウズの「kintone」に取り込み、グラフとして可視化するというもの。販売管理システムから取得した売上情報と共に来客情報を可視化することで、経営者やエリアマネージャーは、各店舗の状況をタイムリーかつより具体的に知ることができるようになる。

 「kintoneと基幹システムを連携させ、売上情報などを可視化するという導入ケースはすでに多くあります。今回のソリューションは、そこに顔認証を追加して、来客情報も一緒に可視化するという“プラスα”の提案をしています」(サイボウズ担当者)

 また、NECディスプレイソリューションズのブースでは、ディスプレイの前に立つ人の性別や年齢に応じたターゲット広告を表示するデジタルサイネージを展示していた。単に表示内容を切り替えるだけでなく、属性ごとの表示回数(=属性ごとの集客人数)も蓄積/集計できるため、集客効果を測るマーケティングデータの収集にも活用できるという。

 「デジタルサイネージが広く普及した結果、単に広告を表示するだけではお客様に振り向いてもらえなくなっています。そこで、集客効果を高めるための付加価値として顔認証技術を用い、『個に合わせたおもてなし』を実現するソリューションを開発しました。今回はFieldAnalystを使っていますが、登録済みの個人を認識するNECの『KAOATO』と連携させれば、個々のお得意様に合わせたメッセージを表示させるような使い方もできます」(NECディスプレイソリューションズ担当者)

NECディスプレイソリューションズ「ターゲット広告サイネージ」。前に立つ客の性別/年齢に応じてコンテンツ表示を切り替える

 そのほかにも今回の展示会では、従業員や来店客の個人単位での動線計測、お得意様接客支援、病院や老人ホームにおける入院患者の「見守り」、マンションの玄関ドアや宅配ロッカーなどでの入居者認証、正確な勤怠管理による長時間労働の是正など、顔認証技術をうまく生かし、業種ごとの課題を解決するソリューション群が紹介されていた。

パートナーの持つ強みとNECの技術を掛け合わせ、新ビジネスに切り込む

 NECが展開するAI・IoTビジネス共創コミュニティは、まさに上述した例のようなソリューション、つまり各パートナー(ISVやSIベンダーなど)が持つ独自のノウハウや強みと、NECが持つAIやIoTの最新技術とを掛け合わせ、新たなビジネスを“共創”していくことを狙いとしている。

 中でも顔認証技術を核としたIoTの共創プログラムは、参加社数19社からスタートし、およそ10カ月が経過した現在、80社を超える規模にまで成長した。開発パートナーに対し、NECからは技術支援やトレーニング、さらに販売/マーケティング支援などのプログラムを提供している。今回の展示会もこのプログラムの一環で、販売パートナーやNEC社内の営業担当者に対し、すぐに顧客提案できる商材として顔認証ソリューションをアピールするもの。今後は開発パートナーと販売パートナー、NECが三位一体となって、AI・IoT関連のビジネスマーケットを盛り上げていく方針だ。

 同コミュニティプログラムを統括するNEC パートナーズプラットフォーム事業部 パートナーズISVビジネスセンター センター長の青野雅明氏は、業種ごとの専門ノウハウを持つ開発パートナーとのコラボレーションによって、新たなビジネスチャンスが生まれてきていると語る。

 「パートナーの皆さんから、われわれNECだけでは絶対に見つけられなかったような業種ごとのニーズやビジネスヒントを教えていただくことが多く、コミュニティを立ち上げて良かったと実感しています。NECが新たなマーケットに切り込むきっかけを作っていると思います」(青野氏)

NEC パートナーズプラットフォーム事業部 パートナーズISVビジネスセンター センター長の青野雅明氏(右)、同 パートナーズISVビジネスセンターの白崎真理子氏

 さらに青野氏は、パートナーとNECというつながりだけでなく、パートナーとパートナーが「横でつながる」ことで、さらに面白いソリューションが生まれてくるだろうと語った。実際にコミュニティの中では、パートナーどうしが協業について話し合う場面もすでに出てきているという。

 また、今回の展示会運営を担当したパートナーズISVビジネスセンターの白崎真理子氏は、展示会の開催告知を始めた直後から大きな反響があり、当初目標の2倍にあたる約800名の参加申込みがあったことを明かした。「まだ1回目なのですが、北は仙台から南は沖縄までたくさんのお申し込みをいただき、顔認証ソリューションへの関心の高さに驚きました」(白崎氏)。

 今回の展示会は顔認証(IoT)コミュニティを中心に開催されたものだが、同じ枠組みでAIコミュニティのソリューション展示会も早期に開催したいと、青野氏は語った。「もちろん顔認証ソリューションの展示会も、2回目、3回目と、さらに盛り上げていきたいですね」(青野氏)。

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