このページの本文へ

鍵はやっぱり時間管理?先達たちの便利なツールも登場した濃厚イベント

パラレルキャリアの先達に学ぶマルチタスクな仕事術と便利なツール

2017年11月06日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

11月2日、渋谷ギークスの21cafeにおいてパラレルキャリア実践者が仕事術やツールを語るイベントが開催された。4人の登壇者は自身のパラレルキャリアと、複数の仕事を同時にこなすためのコツやツールの使いこなしを存分に語った。

飲み会やる感覚で会社を作る守屋さんはテキスト派

 「マルチタスク万歳!パラキャリのためのライフハックテク&ツール大公開 スマホホーム画面チラ見せナイト」というタイトルで開催された今回のイベントに登壇したのは、複数の名刺を持ち、数多くのプロジェクトに携わるパラレルキャリアの実践者4人。「どうやって仕事を回しているのか?」と聞かれる4人が仕事術とツールを語るというのが、今回のイベントの趣旨だ。

 守屋実事務所の守屋実さんは1990年代に入社したミスミでの社内起業を17回経験した後、独立後にラクスルやケアプロなど18社の起業に携わってきた。週末起業を含めると携わってきた会社や事業は歳の数と同じ48にのぼり、それぞれ取締役や顧問、理事などを兼任している。「飲み会やバーベキューをやる感覚で会社を作っている(笑)」とは、同じく登壇者である日比谷尚武さんのコメントだ。

守屋実事務所の守屋実さん

 守屋さんはとにかくテキストメモ魔で、1社1つのフォルダーにテキストファイルがいっぱい詰まっているという。イベントでなにを話すか、講演で感銘を受けたところ、立ち読みで得た気づき、起業での失敗なども、ひたすらメモ。しかも自分の中での表現に置き換える。「整理を考えると続かないし、テキストで書き込んでいけば検索できる。本の代わりにメモを読んでいる」(守屋さん)。サラリーマン生活を卒業してから作り始めたという起業に関するプレゼンも「秘伝のたれ」のように8年間ずっと更新し続けており、講演もこのプレゼン内容であれば引き受けるというスタンスだ。ツールに関しては、「基本的には道具なので、どう生きたいかの方が重要。僕のやり方を真似してもあまり意味はない」(守屋さん)と持論を展開する。

Eightの効率的な活用を披露した日比谷さん

 一方、Sansanのエバンジェリスト・コネクタとして外部への情報発信や対外交渉をやってきた日比谷尚武さんは、PRTable 社外取締役や公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会の広報委員、新しい働き方を考えるat will workの理事も務める。そのほか、広報関係コミュニティやビジネスセミナー、ベンチャー支援、社会貢献などの活動のほか、アナログレコードや江戸吉原文化の発信など個人活動も多岐に渡る。

日比谷 尚武さんはSansanのコネクタやat will workの理事を務める

 そんな日比谷さんは、ツールという観点から個人向け名刺管理サービスである「Eight」の使いこなしを披露した。友達の数がFacebookの上限である5000に達してしまった日比谷さんだが、Eightであればこうした上限を気にしなくても済むとアピール。「Eightしか使っていないおじさん、Facebookに疲れた人にも会える」(日比谷さん)とのことで、既存のSNSと異なるビジネスユーザー層とコンタクトできるという。

 その上で、ビジネスSNS機能も取り込んだEightの使いこなしについて、「初級は軽重判断せずとにかくデータ化」「中級はプロフィールを充実」「上級はいいねやコメントを使ってつながろう」など、わかりやすく伝授。「メッセージを添えて名刺交換できるので、誠実に依頼すればきちんと反応が得られる」といったメリットがある一方、「営業メッセージなどを大量にばらまく不正ユーザーは厳しくチェックしている」というサービス運用の裏側も披露した。

 日比谷さん個人としては、それほど珍しいサービスやツールは使っていないが、TV番組を全録するサービス「ガラポンTV」は広報として重宝しているという。また、タスク管理はいろいろ試した結果、PCに付箋を貼り付けるというアナログなやり方に回帰している。さらに、プロジェクトごとに異なるGoogleアカウントを使う必要があるため、複数アカウントを切り替えられるGoogle専用Webブラウザ「Shift」を利用していると説明した。

時間管理ツールを開発する西小倉さんの便利ツール

 時間管理ツール「TimeCrowd」を提供するタイムクラウド代表の西小倉宏信さんは、kintoneやチャットワークを活用した受託開発を展開するラフノートの代表も務めている。自宅は大阪、会社は東京なので、月に何度も行ったり来たりしつつ、リモートワークも取り入れ、家庭と仕事をなんとか両立しているという。

タイムクラウドやラフワークの代表を務める西小倉宏信さん

 TimeCrowdはチームの活動を見える化する時間管理ツール。リアルタイムにチームの活動内容がわかるので、西小倉さんはまずこちらをオススメ。また、最近は短時間の集中時間を繰り返すことで、生産性を高める「ポモドーロ・テクニック」を実践すべく、25分間のタイマーアプリを作っているという。25分間はスマホを一切いじることができないが、25分が経つとアイテムがもらえるというゲーミフィケーション要素を取り入れたアプリだ。近日中に公開されるとのことで楽しみだ。

 西小倉さんは、Googleアカウントと連携して外部の関係者に空き時間を公開する「YouCanBook.me」やプロジェクトごとにデスクトップ自体を変えられる「ToTal Space」、チーム開発を効率的に行なえる「Cloud9」、軽量で階層単位でドキュメントを共有できる「Quip」などを紹介した。

結局、個人として課題となるのは「時間管理」

 イベントの後半で議論が集中したのは、パラレルキャリアでもっとも重要な時間の使い方だ。守屋さんは「午前、午後、夕方、夜の4つのスロットを設け、予定を入れるので基本的にバッティングはない。自分でコントロールしている」とコメント。日比谷さんも「午前中は基本的に用事を入れず、事務処理とメールに集中する。午後から対外活動をスタートする」とコメントしており、相手の都合にあわせるのではなく、自身で能動的に時間の管理をしているのが印象的だった。

 イベントのモデレートを務めた一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事の平田 麻莉さんは、仕事も家族の予定をGoogleカレンダーに30分単位で押し込み、関係者にシェアしている。詳細はともかく予定が入っていることをきちんと別のクライアントに公開することで、複数のプロジェクトを同時に回しているわけだ。「予定が入っているのが別のクライアントに見えて、気まずくならないですか?」という日比谷さんの質問に対しては、「公明正大にやっているので、気まずい関係にはならない。もし、『パーティに参加していましたね』と言われたら、『パーティで忙しかったです』と言う(笑)」と語った。

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事 平田 麻莉さん

 働き方改革の取材をしていくと、結局のところ組織は「成果の評価」、個人は「時間の管理」というところに課題が落ち着く。今後、生産性を向上するための時間管理は、パラレルキャリアだけではなく、働き方改革を求められる普通のサラリーマンにも必須のスキルセットになってくるだろう。その点、今回のイベントでは、働き方の先達でもあるパラレルキャリアの実践者から時間を効率的に使うための仕事術やツールを聞くことができ、非常に有意義に感じられた。

カテゴリートップへ

ピックアップ