シャープが自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」新製品を発表。調理履歴や利用者情報を分析し、約250メニューの中から「潜在的に食べたいメニュー」をおすすめします。「今日のラッキーメニュー」を占ってくれる機能もついています。シャープよ。
ヘルシオ ホットクック
KN-HW24C-R
容量2.4L
10月26日発売
市場想定価格7万5000円
http://www.sharp.co.jp/hotcook/index.html
ヘルシオ ホットクックは、材料と調味料を入れてボタンを押すだけでおかずを作れる便利家電。自動調理鍋の先がけは象印の自動圧力鍋「煮込み自慢」ですが、シャープ ホットクック、ティファールの「Cook 4 Me」が、三つ巴の競争をしている状態です。
発表会ではホットクックで作った「ナポリタン風パスタ」「秋野菜のビーフシチュー」「ぶどうのコンポート」の3品を試食しました。火の番が面倒なシチューもほったらかしで完成します。野菜・お肉がほろっとやわらかく仕上がり、おいしかったです。
ヘルシオ ホットクックの特長は「自動調理」「無水調理」の2つです。
●自動調理
内ぶたについた「まぜ技ユニット」が、お鍋の中を自動的にかきまぜてくれるので、焦げつかず、味もきっちりなじみます。食材の硬さによって回転速度を変えているそうです。硬いものはより強く、柔らかいものはよりやさしく、モーターのトルク(回転力)は30段階で制御するとのこと。
たとえば「食材をセットしてボタンを押せば子供と公園に行っているあいだに料理を作ってくれているので帰ってすぐにごはんが食べられて天国!」という使い方を想定しています。想定利用者はわたしのような共働き家庭で子供を育てており、家事の時間がまじで足りない多忙世帯です。
●無水調理
内ぶたについた突起「うまみドリップ加工」が、食材から蒸発した水を、鍾乳洞の石筍のようにぽたぽたとたらし、食材の上に降らせることで、素材の味を活かしたおいしい無水調理ができます。突起の数は81個。「クック(9×9=)81とおぼえてください」とシャープの方は言っていました。
ついでに言うと設定温度35~90℃内の温度調整ができるのも利点で、昆布・かつおの混合だしをとるのもかんたんです。60℃で1時間ほどかけて昆布だしをとったあと、85℃でかつおだしをとるメニューがあります。ふつうの鍋できちんとおだしをとろうとすると案外厄介なので、とても便利です。
●おすすめ料理を紹介
新製品のメイン機能はネット機能「COCORO KITCHEN」です。
COCORO KITCHENはシャープが開発しているAIoTサービスです。AIoTというのはAIとIoTをかけあわせたシャープの造語で、おしゃべりしたり、歌をうたったり、愛嬌のあるIoT機能のことをさしています。実際、シャープのロボット掃除機は歌うものもあります。
まず、新製品はWi-Fiでインターネットに接続できます(無線LANルーターと接続するときはプッシュボタン方式)。ネットにつないで、サーバーからメニューをダウンロードすることで内蔵メニューを増やせるのが利点なのですが、メニューがたくさんあっても結局いいメニューを探せず、いつも同じ料理ばっかり作ってしまうということになりがちです。
そこでホットクックくんが、調理履歴や利用者情報をもとに「ユーザーが潜在的に食べたいメニュー」をおすすめしてくれるというのが今回の新機能です。天面についている「聞いてボタン」を押すと、ネットにあるメニューをふくめた約250品の中から、ホットクックくんが「ぴったりおすすめ」の料理を紹介してくれます。
「ぴったりおすすめ」の中には、
・調理ランキング
・高評価メニュー
・今月のおすすめ
・作ったことがないメニュー
といった表示内容があり、いちばん上にあるのが、
・メニュー占い
です。
3つの質問に答えることでホットクックくんが「今日のラッキーメニュー」を教えてくれます。
シャープがついに占いに頼るようになったのかと不安になりましたが、占いは質問を通じて利用者の属性情報を学習していくためのUIなのだという旨の説明を聞き、やや安堵しました。
学習が進んでいくと、たとえば年配の方なら和食をすすめるなど、利用者像や季節感に適したメニューを提案してくれるようになるとのことです。
質問例:
「住んでいる地域は?」
「食事のとき飲むなら?」
「運動はする?」
●スマホ操作できる
ネットにつながるよさはもう1つあります。スマホ操作です。
アプリから作りたいメニューを選び、ホットクックに送信できます。ホットクックでメニューを探さなくてもいいので、面倒がありません。
一番良いのは、予約時間をあとから変えられることです。
朝に食材をセット、予約して出かけたあと、専用のスマホアプリから完成時間を変えられます。たとえば18時完成とセットして出かけたあと、仕事が長引いてちょっと帰りが遅くなりそうだというとき、20時に予約時間を変えられます。新製品は予約可能時間も12時間から15時間に延びており、予約調理はとても便利になりました。
ちなみに外から調理を開始することはできません。
●日本語使える
操作画面は2.1型→3.0型に大きくなり、便利になりました。いままでは付属品のメニュー集から作りたいメニューを探し、該当するメニュー番号を入力する、やや面倒な形でしたが、ふつうに日本語で検索できるようになっています。
メニューを検索するときは、
・カテゴリー
・食材(肉・魚・野菜など)
という形でDIGっていきます。鳥肉を使ったメニューを作りたいと思ったら、
「肉→鳥肉→COCORO KITCHENから探す→鶏のふっくらつや煮」
という順番で選んでいきます。
・材料
・つくりかた
2つを画面に表示するので、メニュー集を見なくても調理ができて便利です。むしろ、なぜ最初からこうしなかったのかという気持ちもややあります。自動メニューだけでなく、料理工程だけを指定する手動メニューもわかりやすくなっています。
手動メニュー(15種):
煮物を作る(まぜる)
煮物を作る(まぜない)
スープを作る(まぜる)
スープを作る(まぜない)
炒める
無水でゆでる
蒸し板を使って蒸す
めんをゆでる
発酵・低温調理をする
ケーキを焼く
ごはんを炊く
●使いつづけると便利そう
今回の新機能は、利用者からの声を反映したものだそうです。購入者の約8割が週2回以上使っているため、メニューを増やしてほしいという声があったとのこと。ただ増やすだけだと検索性が落ちるため、提案をかませたという方針のようです。
ホットクックは海外でも売っているため現地メニューがたくさんあり、今後は現地メニューを日本仕様にアレンジして追加していくなどもしていきたいと話していました。アジア系が中心になるのですが、うまそうなので、すぐにも追加してほしいです。
海外メニュー例:
・グリーンカレー
・キーマカレー
・チキンと野菜のカレー
・トムヤムクン
・酢辣湯
・チリコンカン
個人的には手動メニューの自由度を高めてもらえると、より楽しそうだと感じます。「火加減・時間・まぜる力」をアプリで設定できるようにしてもらえると、ふだん自分が作っているレシピをホットクックで再現できます。せっかくネットにつながるわけだし、ユーザーのレシピを投稿・共有できたほうがおもしろいです。そのためには、プリセットメニューの応用だけでは限界があると思いますので、「今度のホットクックはプログラムできる」くらいのことをやってくれると楽しそうです。
ともあれ、ホットクックが声を出して「ナポリタン風パスタはどうでしょう」などと言ってくるのはかわいくておもしろいです。必要かといわれるとよくわからないのですが、「たまにはいつもの料理じゃなくて、ホットクックおすすめのラッキーメニューでも作ってみるか~」くらいの余裕が生活に出てくると楽しそうです。そもそも占いなんかにつきあうような余裕がないからホットクックを使っているんじゃないのかという気持ちもありますが、学習系機能なので、使っているうちに便利さが実感できるところもありそうですね。長期間試してみたいです。
主な仕様
KN-HW24C-R
消費電力 800W
容量 2.4L
設定温度 35~90℃
予約 15時間
サイズ 幅395×奥行き305×高さ249mm
重量 約6.5kg
コード長 約1.8m
メニュー 自動130種、手動25種
付属品 蒸し板、保存専用ふた、メニューブック、取扱説明書
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、家事が趣味のカジメン。今年パパに進化する予定です。Facebookでおたより募集中。
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