オゾン発生機というのをご存知でしょうか?除菌や消臭に効果のあるオゾンを電気的に作り出す装置で、かなり古くから世界中で使われています…。と、偉そうに語っていますが、筆者がオゾン発生機を知ったのは2年前。ヨドバシで、チラリと見かけて「この匂いは…!」と即購入して知った製品です。
というのも、いままでプラズマとかイオンとか、いろんな製品を試しました。どれも、効果がいまひとつ、実感しずらかったり、定期的な部品の交換が高価で面倒だったりと、一長一短です。
外国のホテルの匂い
オゾン発生機に大きな期待をかけたのは、店頭で商品から出ているオゾンの匂いを嗅いだとき。オゾンは独特な匂いなので、人によって表現はいろいろです。おそらく一般的には「酸素系の漂白剤の匂い」が一番近い気がしますが、筆者にとっては「外国のホテルの匂い」がドンピシャな表現。といっても、よい香りというよりも、日差しの強い海岸みたいな匂いです。匂いに過敏な人は、好き嫌いがあるかもしれません。
それもそのはず、オゾンは大気中に自然に存在していますが、特に高原や海岸、森林でも微量のオゾンガスが存在しています。人工的には、1857年にドイツのSiemens社が放電式オゾン発生機を作って以来、ホテルの客室の消臭や除菌、水道水の殺菌などにも利用されているからです。
オゾンは有害?
こんなふうに、オゾンは広く使われているにもかかわらず、軽くググってみると否定的な意見も存在します。たしかに高濃度なオゾンでは健康に影響が現れるといわれていますが、家庭用オゾン発生器で消臭や除菌に利用される濃度は0.05ppm(ほぼ森林と同じ)以下がほとんど。否定派は少し過激です。例えるなら、塩を30g~300gを一度に摂取すれば致死量にもなりますが、僕ら成人は1日平均10g前後を毎日摂取しています。それと、同じでは…!?
オゾン消臭、殺菌の原理
話を戻すと、オゾンは不安定な性質で、発生器から室内に放出されるとアンモニアやカビ臭、様々な物と結合して酸素に戻ろうとします。つまり、残存性がないことも特徴です。
最近では、SANYOの洗濯機「アクアウォッシュシリーズ」やTOSHIBAの冷蔵庫「鮮度名人」など、オゾンの除菌脱臭効果を利用した家電も販売されているほど。
オゾンによる脱臭や殺菌は古くから知られていて、下の図のような原理です。上でも触れたように、高度浄水処理として世界中で使われるなど、信頼性と安全性の高い技術として活用されています。日本では、東京都水道局、大阪市水道局などでも使われています。
オゾン消臭、除菌は上級者向け?
そんなふうに、効果抜群のオゾンによる消臭殺菌ですが、使い方にはポイントがいくつかあります。
【オゾン脱臭/除菌のポイント1】オゾン濃度をコントロールする
濃度が低ければ効果が薄くなり、濃度が濃いとオゾンの匂いが気になるかもしれません。そこで、筆者は完全に脱臭したい場合は、比較的オゾン濃度が強くなるように工夫をしています。
たとえば、自動車の車内を消臭したい場合、夜間など、車を利用しない時間にオゾン発生機を車内置き、5~6時間ほど稼働させます。翌日、車に乗る時にオゾンの匂いが気になるなら、車内を換気すればいいかもしれませんが、筆者はそのまま乗っています。オゾンの匂い、結構好き。
すぐにクリーニングに出せないスーツなどは、ナイロンのガーメントバックにスーツとオゾン発生機を入れハンガーにかけておけば、1~2時間ほどでほぼ無臭になります。クローゼットルーム全体を3ヶ月に1度ほどオゾン脱臭することもあります。
何れにしても、人やペットなどが入らないようにして、集中して脱臭すると効果が確実に実感できます。
【オゾン脱臭/除菌のポイント2】メンテナンス
筆者が購入した製品は、オゾンが放電により発生する金属電極がガラスで覆われているタイプ。フィルターやユニットなどの部品交換が不要です。オゾンが発生しにくくなったら、ブラシと綿棒でオゾン発生部を水拭きしています。ちなみに筆者が現在愛用しているのは、オーニット株式会社の「爽やかイオンプラス CS-4」です。
じつは、最初に購入したオゾン発生機はメンテナンスのときに力を入れすぎて電極のガラスを壊してしまい、現在は2台目。壊したほうは、販売店経由で修理を見積もりしてもらったら本体価格の7割くらい。そんな理由で1台目を修理しようか思案中です。
【オゾン脱臭/除菌のポイント3】特性を知っておく
強力脱臭/殺菌のオゾンですが、苦手なこともあります。たとえば、オゾンはゴム製品を劣化させることがあるので、ゴム底の革靴などを除菌するときはあまり長い時間、密閉してオゾンにさらさないようにしています。
これから湿度の高くなるシーズン、スーツや革靴、住宅などにカビや匂いは大敵です。もし、匂いやカビの効果的な対策にお悩みなら、少し慣れが必要ですが、オゾン発生機は是非オススメです。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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