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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第45回

360°カメラRICOH THETA SCを買ってみた

2017年06月13日 17時00分更新

文● 前田知洋

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 前回のコラム「ツァイス社のVRゴーグル、VR ONEレビュー」でも紹介したゴーグルと合わせて購入したのが、RICOH THETA SCです。これは「360°カメラ」や「全天球カメラ」と呼ばれる製品。シャッターボタンを押すだけで、その場にいるような没入感のあるVR映像を撮影できるのがその特徴です。

 本体は、100円ライターの4倍くらいのサイズ。手に取ってみると、その小ささに驚きます。上位機種の「THETA S」との違いは、ライブストリーミングの対応の可否とHDMI端子の有無。筆者は、VR動画やライブストリーミングに興味がなかったので、リーズナブルな「THETA SC」を購入しました。

ゲーム?動画?VRの利点は没入感

 こうした製品をご存知の方は「360°カメラって、何に使うの?」の疑問がまず浮かび上がるかもしれません。筆者もそうでした。今までにない製品なので、撮影すると、とりあえず楽しい。しかし、「特徴は?」「用途は?」と考察するか否かが、物欲が「無駄遣い」になるのか「アーリーアダプター」に昇華するかの運命の分かれ道です(笑)。

 世の中をみまわすと「VRならゲームでしょ」なんていう人もいますが、筆者は閉塞感とかVR酔いに弱いタイプ。そんなこともあり、VRはゲームや映画などのエンターテイメントには向いていないと個人的には判断しています。

 筆者が考えるVRの利点は、画像や動画への没入感。具体的に説明するなら、被写体への「距離感」や「サイズ感」が写真(画像)よりも実感しやすいのがその利点です。

 例を挙げるなら、テレビ番組で「お宅訪問」の取材を筆者も何度か受けましたが、カメラのレンズの種類や撮影アングルで部屋が広く見えたり、狭く見えたりします。番組としては「広く見える」ようなケースが多めだと思いますが、そんなに豪邸ではありません。部屋の広さやインテリア、置いてある家具のサイズ感、距離感がわかりやすいのがVR画像/映像の特徴です。

屋外なら空気感を切り取るのが得意

 屋外での撮影なら、360°カメラは、雰囲気や空気感をうまく切り取るのが得意。その場所がどんな雰囲気で、どれくらい気持ちのいい空間なのか。いままでのカメラが苦手だった空気感が撮影出来ます。

 逆に言えば、360°カメラは空気感を誤魔化すのが苦手かもしれません。普通のカメラならレンズを向けた先だけをとりつくろえば、とりあえずキレイな写真が撮れます。ところが、360°カメラの場合は空間全体がキレイでないとアラが見えてしまいます。たとえば、足元に小さなゴミがあっても、結構気になる。

 現状の360°カメラは、被写体の質感(テクスチャー)を捉えるのは不得意です。これは、すべてにフォーカスがあう魚眼レンズが使われていることがおそらく原因。さらにVR映像は通常のカメラであれば見えていない部分も記録していますから、かなりな解像度やレンズ性能が必要になります。こうした弱点は、今後の性能の向上に期待したいところ。そんな弱点も360°カメラが撮影空間の空気感を捉える特徴を強調させます。

スタイリッシュなデザインの箱も製品の気合を感じます(笑)ソフトケースが付属

完全な記録性

 ここまでお読みになって、なんとなく予想がつくかもしれませんが、360°カメラの隠れた特性はその記録性にあります。一台のワンシャッターで空間の全てが切り取りれることから、セキュリティなど記録カメラとしてかなり有用です。

 当初、Googleストリートビューで歩行者の顔から駐車/走行している車のナンバープレートや家の表札までが公開されて問題になったことを思い出せば、VR画像の記録の優位性をご理解いただけるかもしれません。

スタンドポッドもあわせて購入すべし

 360°カメラは普通のカメラと違い、撮影者が写り込んでしまうのが難点です。空間や風景を人を入れずに撮影するならスタンドポッドと呼ばれる、小さな三脚が下部についた一脚があると便利です。注意点は、ハンドルが付属していないタイプ、もしくは取り外しできる製品を選ぶこと。撮影された画像をグリグリ回すと、スタンドのアームがかなり目立ちます。

 筆者はVelbonのPole Pod EXを合わせて購入しました。横浜駅近くのヨドバシで360°カメラ本体を購入したら、キャンペーン中でさらに専用自撮り棒が付属していて、ラッキーでした。

下の三脚部分を外すと自撮り棒にもなるハイブリッドタイプ

 THETAの場合、iPhoneやAndroidで動作するアプリケーションも用意されているのも便利です。リモートでシャッターを切ったり、その場で携帯端末に画像を保存/確認はもちろんのこと、ISO設定、露出補正、ホワイトバランス、シャッタースピードなども調整できるのはカメラメーカーの製品らしいつくりです。

iOS/Android対応のアプリも便利

 そんな360°カメラ、筆者にとって「無駄遣い」になるか「アーリーアダプター」になれるかは、今のところ不明ですが、前回紹介したVRゴーグルとあわせて活用するのが筆者のオススメ。ぜひとも、皆様の「物欲のリスト」に加えていただければ幸いです。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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