特許訴訟係争を繰り広げていたAppleとNokiaが和解を発表した。提訴から約6ヵ月で対立関係に終止符を打ち、今後はデジタルヘルスケア製品の販売など協業関係を構築するという。
昨年12月に勃発したAppleとNokiaの特許訴訟
半年経たずにライセンス締結での合意を発表
まずはこれまでの経緯を辿ってみよう。AppleとNokiaは2011年に特許合意を結んでいたが、有効期限が切れた後も合意に至らなかった。
まずAppleが12月20日、Nokiaと同社から特許を取得しているAcacia Researchを相手取り、9件の特許について米国で特許侵害訴訟を起こした。これに対し、Nokiaも数日後にドイツと米国でAppleを特許侵害で提訴した。Nokiaは当時、「AppleはNokiaの特許技術を使用しているにもかかわらず、ライセンスを拒否している」と主張。その後、当初32件だった特許を40件、40ヵ国に拡大した。
Nokiaは先進技術の開発とIP(知的所有権)ライセンスを事業とするNokia Technologiesを有する。Nokiaの行為に対し、パテントトロール(主な事業を持たず、特許権を主張することで高額の賠償金やライセンス料金を得るビジネス)呼ばわりする向きもあった。
5月23日の合意の内容としては特許ライセンスの合意、そしてAppleがNokiaに契約金を払うことが明らかになっている。また、NokiaがAppleにネットワークインフラ製品やサービスを提供すること、Nokiaのデジタルヘルスケア製品の販売をAppleが再開することなども発表されている。金額やNokiaが提供するネットワークインフラ製品・サービスの種類など、詳細については非公開。契約は複数年となる。
これを受けてNokiaの株価は7%上昇し、16ヵ月ぶりに高値更新となった。モバイル業界で存在感が薄れつつあるNokiaだが、培ってきた特許は今でも利益を生んでいるようだ。
Nokiaのコンシューマー戦略の一端を担う
デジタルヘルスケア
今回の合意で気になるのが、「デジタルヘルスケア製品」の部分だ。
Nokiaは2016年春に買収したフランスのWithingsを基に、体温計、体重計、それに心拍数などを測定したり睡眠やアクティビティーを追跡するリストバンドや時計型デバイスなどのデジタルヘルスケア製品ポートフォリオを構築している。
Withingsの製品は以前はAppleのオンラインストアで購入できたが、特許訴訟に入った2016年12月末になってAppleは取り扱いを中止していた。和解により、再びAppleからも購入できるようになった。
だが合意はそれにとどまらない。2社によると「デジタルヘルスイニシアティブで今後協業の可能性を探る」としている。
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