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便利なはずの「ウェアラブル」飽きる理由は1つだけ

2015年10月11日 12時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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Withings Lucie BROTO(左)、Antoine Robiliard(右)

「あれ? スマホにつながる腕輪みたいなやつ、あれどうしたの」「あ~、あれ……人にあげちゃった」「えーっもったいない! 買ってまだ半年も経ってないでしょ」「だってもう全然使ってないんだもん」──。

 恥ずかしながら、わが家でこんな会話をしたのは数か月前。買ったばかりのときは喜んで身につけているのだが、1回着けるのを忘れたある日から、机のすみで埃をかぶりはじめた。これじゃ流行遅れのアクセサリーとおんなじだ。

 これも健康機器の宿命かと思っていたところ、「長く使える健康機器をつくること」に注力しているWithingsというフランス企業があると話を聞いた。

 WithingsブランドマーケティングマネージャーのLucie BROTO、セールスマネージャーのAntoine Robiliardによれば、2009年発売のWi-Fi体重計『Wi-Fi Body Scale』は、いまも使い続けている熱心な客もいるという。いったい、何がちがうのか。

Wi-Fi Body Scale

見慣れていない形だから、飽きる

 日本では活動量計つき腕時計『Withings Activité』で有名になったWithingsだが、創業は2008年と古い。

 体重計、iPhoneにつながる血圧計、ベビーモニター、さらに睡眠の深さが測れるめざまし時計『Withings Aura』なんかも出している(ただし体重計と腕時計以外は、日本未発売)。ヘルスケアから医療用まで、製品のジャンルはかなり広い。

 共通点は、すべて日常的に使う道具であること。

 製品はわたしたちがふだん目にしている形をそのまま使う。Withings Activitéなら「あまり使われないガジェットを作ってしまうのではなく、アナログ時計にトラッキングの要素をくわえよう」(リュシー・ブロト)と考えた。

Withings Activité

 Withings Activitéのデザインはとてもシンプルで、ショップで売っていそうなファッションウォッチの格好をしている。実はこのデザインが“ヘルスケアデバイス”をつくる上でもっとも大事なことだった。

「まず自分たちが“長く着けたくなる”ところに集中したんです。健康に効果が出るまで続けてくれないといけない。だから“見た目”を重視した。デザインとともに、使いやすさにもフォーカスしました」(同)

 おかげでいわゆるアーリーアダプター、新しいもの好きな層だけでなく、ウェアラブルデバイスを見た目で敬遠していた層にもリーチができたそうだ。バッテリーも1年ほどは持つため、普通に腕時計として使っていられる。

 流行のウェラブルデバイスは未来的なデザインが多い。たしかにかっこいいのだが、なじみの薄いアクセサリーを身につける生活習慣はつけづらい。しかし、それでは生活を記録するライフログの理念とはまったく逆だ。

 使わなければデータがたまらず、データがたまらなければ面白みもなく、面白くなければすぐ飽きてしまう。悪循環のサイクルは、デザインと使い勝手、インターフェースから始まっているというわけ。習慣というのは本当に難しい。

 もう1つWithingsがユニークなのは、コンセプトをプロダクトに落としこむのが早いこと。Wi-Fi体重計も、Withings Auraも世界初の製品だ。これはフランス企業の特徴かもしれないと思い当たるところがあった。


メーカーがフランスに学ぶべきこと

 いまフランスでは、Withingsをはじめ、Parrot、Netatomo、Sen.seなどのスタートアップから、インターネットにつながるプロダクトが次々に生まれている。彼らは総じて、トレンドをとらえ、形にするのがきわめて早いのだ。

 フランスはシリコンバレーのように精密部品でずばぬけていたり、イスラエルのようにソフトウェア技術を研ぎ澄ませているようなイメージがない。

 しかしその反面、彼らは最新のテクノロジーを1つのトレンドととらえ、使いたくなる形に落としこむ能力に秀でているのだ。まるでファッションブランドのように“魅せる”製品をつくる力があるのだろう。

 日本企業の製品でも、デザインは正直……と思うことはよくある。モデルチェンジを前提にした商品設計なのかもしれないが、製品として完成度の高いデザインになっていてほしい、普遍性を持ち、末長く使わせてほしいと思うものである。

 デザインを研ぎ澄ませながら、革新をとりいれる。長く愛されるブランドをつくる。それこそフランスのお家芸で、飽きられない製品づくりの真髄なのかも。


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