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他製品の「MCFrameブランド」統合も発表、製造業のビジネス変革を支援する基盤

B-EN-G、製造業向け生産管理システム新版「MCFrame 7」発表

2016年12月19日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)は、製造業向け生産管理パッケージの最新版となる「MCFrame 7」を2017年2月より販売開始する。1996年の初版リリースから20年が経過し、製造業を取り巻く環境も大きく変化していることから、MCFrame 7では業務機能の「ゼロベースでの見直し」を行った。それにあわせ、他の製品群も「MCFrameブランド」に統合していく計画を示している。

今回発表された「MCFrame 7」と、今後「MCFrameブランド」に統合される各製品の位置付け

(左から)発表会に出席した、東洋ビジネスエンジニアリング 常務取締役 CMO/CTOの羽田雅一氏、同 商品開発本部 副本部長の川村将夫氏、同 新商品開発本部 部長の伊与田克宏氏

「ゼロベース」で見直し、これからの10年に耐えうる基盤づくりを目指した

 MCFrameは製造業向けの生産/販売/在庫管理パッケージで、これまで中~大規模企業向けの「MCFrame XA」と、小規模企業/海外拠点向けの「MCFrame CS」を提供してきた。今回発表されたMCFrame 7は、中~大規模向けXAの後継バージョンとなる(MCFrame CSは今後も継続して販売する)。

 MCFrame 7では、20年間でB-EN-Gが蓄積してきた製造業基幹システムのノウハウに加え、MCFrameのユーザー会会員企業やパートナー企業からこれまでに寄せられた意見にも基づいて、「ゼロベースでの業務機能見直し」を経た再設計/再実装が行われているという。

 具体的には現在、そしてこれからの製造業で求められる「複雑化するバリューチェーン軸での運用と、バリューチェーン環境変化への柔軟な対応」「プロダクトライフサイクル/サプライチェーン/工場内情報ネットワーク間の連携」「『情報活用基盤』としての有用性」といった要件に対応するため、アーキテクチャの見直しや機能強化が行われている。

 「この3つの底上げを図ることで、“モノづくりデジタル化”の基盤となる部分を作っていく、というのがMCFrame 7のコンセプト」(B-EN-G 商品開発本部 副本部長の川村将夫氏)

MCFrame 7における「狙い」と「強化ポイント」

 たとえばエンドユーザー向けの新機能としては、製造現場で利用が活発化するスマートデバイス(iOS/Android)に対応したほか、各種指標を自由に選択してプログラミングレスでグラフィカルに表示可能な「KPIガジェット」、ユーザー指定の判定基準で画面表示や通知を行う「サジェスチョン機能」などがある。

 「KPIの可視化は従来、主にBIとして実装されていた。だがBIではどうしても『事後処理』になる。現場が状況をリアルタイムに把握するために、開発レスで利用できる機能として実装した。すぐに利用可能な50シナリオ強をあらかじめバンドルしており、KPIガジェットをダッシュボードに貼り付けて情報共有に役立てることもできる」(川村氏)

現場データをリアルタイムに生かすKPIガジェット、次のアクションを促すプッシュ通知機能などを実装

 また開発者/運用担当者向けには、わかりやすいモジュール構成やサービス機能強化による開発生産性の向上、グループ企業などで扱いやすいマスタ構造などを実装している。

 「MCFrame 7では統合(共通)マスタという概念を持っており、これによって、製造/販売形態の異なるグループ企業に展開していくのも容易になっている。また、製品のライフサイクル全体を通して管理できる構造も持っている」(川村氏)

グループ内で共通マスタと個別マスタの両方を持てるようにすることで、グループ全社への展開をしやすくする

 川村氏は、MCFrame 7では、これからの製造業が「モノづくりのデジタル化」を促進していくための基盤となる柔軟さとポテンシャルを実現していることを強調した。

 「MC Frame 7では、マスタ、トランザクション、モジュール構造など、すべてをゼロベースで見直し、これから5年後、10年後にも耐えうるような構造を手に入れ、基本構造としてのポテンシャルをアップさせた。加えて“軽快さ”を提供するために、開発レスのKPIガジェット、タイムラインでの情報共有などの周辺機能もリリースしている」(B-EN-G)

情報共有で設計と生産の間の“溝”を埋める「EM-Bridge」もリリース

 さらに今回、MCFrame 7とPLM(製品ライフサイクル管理)ツールとの間の情報連携を実現する「MCFrame PLM EM-Bridge」も発表している。この製品はB-EN-Gと図研の合弁会社であるダイバーシンクが開発しており、B-EN-Gと図研プリサイトから発売される。販売開始は2017年2月より。

 「従来、企画開発や設計を行うエンジニアリングチェーンと、調達や生産、セールスを行うサプライチェーンの間には、人(組織)、システムの両面で少し“溝”があった。両者の情報をシームレスに双方向連携していくのが、EM-Bridge」(B-EN-G 新商品開発本部 部長の伊与田克宏氏)

EM-Bridgeは、設計(PLM)と生産(MCFrame)の間で双方向の情報共有を実現する

 設計情報と生産情報の連携のほか、統合マスタデータ管理による設計から多拠点での生産までの情報一元管理も実現し、製品横断的なコストダウン検討や製品付加価値向上につなげていくとしている。なおEM-Bridgeは、MCFrame 7や「MCFrame PLM visual BOM」とは標準で接続できるが、他社PLMツールや独自開発ツールなどとのインテグレーションも可能だ。

EM-Bridgeの具体的な機能イメージ

3年前から進めてきた「MCFrameシリーズ」への統合を来年に実施

 B-EN-G 常務取締役 CMO/CTOの羽田雅一氏は、MCFrameはスクラッチ開発でもERPパッケージでもない、柔軟かつ効率的な「日本の製造業向けフレームワーク」として誕生し、20年間をかけて機能追加やシリーズラインアップ拡充を果たしてきたことを説明した。

MCFrameの20年

 そのなかで、海外拠点用ERPパッケージ「A.S.I.A.」や、モーションセンサなどを活用した製造現場の業務改善ツール「RAKU-Motion」「RAKU-Pad」、製造現場向けIoT「MCFrame SIGNAL CHAIN」などをリリースしてきたが、3年前からMCFrameへの統合に向けた取り組みを進めてきた。2017年4月以降、その他の製品も順次、バージョンアップのタイミングなどで「MCFrameブランド」に統合していく。

 こうした統合を進める背景について、B-EN-G マーケティング企画本部 部長の山下武志氏は、市場の“超コモディティ化”が進むなかで、製造業がこれから成長していくためには、生産性向上やグローバルバリューチェーン全体を見通した全体最適化、製造ビジネスの付加価値を高めるイノベーションなどが求められると指摘。そのために、まずコアとなる生産管理システムをMCFrame 7として世代交代したうえで、シリーズ製品でIoT活用による現場の生産性向上、グローバルな生産情報の共有などを進めていくと説明した。

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