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Airbnbから学ぶ! グローバル市場で圧倒的に成長するための4つの秘訣!

特集
ユニコーン企業に学ぶグロースハック

Reproが手がけるグロースハックジャーナルより、海外の著名ユニコーン企業が行なっているグロースハックの手法記事をまとめた集中連載をお届けします。

 Airbnbのようなグローバルで成功した企業はなかなかありません。7年前、サンフランシスコで空いてる寝室や家をバケーションレンタルとして使うことから始まりました。今日、Airbnbは190ヵ国、3万4000の都市に100万以上の物件リストを持っています。そして新たな海外市場に続々と進出し続けています。昨年の12月にキューバがアメリカとのビジネスをさらに受け入れるようになった時、そこにAirbnbはすぐに進出しました。すでに1000以上の物件リストがキューバにはあります。

 どのようにしてAirbnbはそんなに早く世界的に成功したのでしょうか? 1つに、素晴らしいプロダクトを提供しているからです。また、彼らのビジネスは競合や類似サービスを買収することで海外市場で成長しています。

 しかし、いくら素晴らしい企業でもグローバル展開というのは難しいものです。ましてや190ヵ国以上を含むグローバル展開であればなおさらです。

1.正しくローカライゼーションする

 ブランドとして、Airbnbはグローバル市民をうたっています。なのでほかのグローバル市民と同じように、新たな言語に手を広げていくことを優先してきました。「国際性と地域性を両方持つことが重要なのです」とAirbnbのエンジニアであるJason Katzは言っています。「そこでローカライゼーションのためのステップを多く踏んできたのですが、その1つが翻訳です」

 今日、Airbnbは26の言語で利用でき、世界中のユーザーにリーチすることができます。26の言語でダイナミックなウェブサイトを運用することは難しいですが、多くの優秀なエンジニアによってスムーズにローカライゼーションをしてきました。

 「”グローバルなスタートアップ”として、国際性と地域性を両方持つことが重要なのです」

ローカライゼーションのために設計されたプラットフォーム
 Airbnbのエンジニアはカスタマイズされ、非常に洗練された翻訳マネジメントツール(TMS)を作りました。それは新しい言語の追加と簡単に既存コンテンツのアップデートができる優れものです。

 そのツールにはいくつも優れた機能があります。新しい表現がサイトに追加されると、TMSが自動的にスクリーンショットを撮り、翻訳家に送ります。翻訳家はサイト上のどの表現も右クリックすることができ、文脈に合わせて翻訳を編集することができます。そして、翻訳の変更はほぼ直ちにサイト上に適用されます。

データドリブンな優先順位付け
 エンジニア的な感覚はAirbnbが新たなローカライゼーションへ挑戦する際の速やかな対応を可能にしています。例えば、会社のCEOが東京に訪れる1週間前に、Airbnbは日本のサイトをローカライズさせることに決めました。つまりそれはウェブサイトやモバイルアプリにまたがる40万以上の英字コンテンツを扱うということを意味していました。

 もちろんそんなに質の高い翻訳を直ちに用意する術などありませんでした。なのでAirbnbのエンジニアは、4日間に渡って任意のテキストを見たユーザーの数をカウントし、そして日本人ユーザーから一定以上の閲覧頻度を獲得したテキストすべてにフラグを立てるという独創的なシステムを作りました。

 その結果、翻訳家はサイトのもっとも閲覧されている部分を重点的に見ることによって効率的に働くことができました。そしてたった1週間で実行可能な翻訳を終わらせたのです。

 AirbnbのエンジニアチームはPolyglot.jsというJavascriotを国際化するオープンソースも開発しました。

言語の多様性に注意を払う
 言語は生き物であり、場所によって非常に多様性があります。例えば、中国本土で使われているマンダリン(簡略化された表記のマンダリン)と香港で使われているマンダリン(伝統的な表記の広東語)とは驚くほど違います。

 こういった区別を無視する企業もあります。しかしローカライゼーションを重視する会社であるAirbnbはこういった多様性に非常に重要視し、特定の言語様式にローカライズしたサイトを作りました。

 言語の多様性においてスペルはよく問題になりますが、Airbnbのエンジニアは国ごとにスペルを自動的に切り替えるアプリケーションを開発しました。例えば、アプリは自動的に英語をアメリカン、ブリティッシュ、カナディアンのサイトに合わせてスペルや(「colour」から「color」など)、特定の使用法(「vacation」から「holiday」など)を変えます。Airbnbのサイトではドイツ語からスイスドイツ語に変換する際にはs(エスツェット)をちゃんと「ss(シャーフ・エス)」に交換して表記します。その結果非常にローカルユーザーに違和感のないサイトになります。

翻訳家のコミュニティーを確立させる
 Airbnbのような若く、成長型のスタートアップにとってそんなに多くのコンテンツをすぐに翻訳するのは難しいことです。翻訳のスピードを上げるために、Airbnbはクラウドソースと社内翻訳業務を合わせて使いました。ローカライズ過程の初期では、会社はクラウドから翻訳家を雇い、そして世界中のホストとゲストのコミュニティーに翻訳と添削の両方を支援してもらいました。クラウドソースの翻訳は安く、早く、そしてコミュニティーのセンスを確立するのに長けていました。しかし、それは正確さと一貫性に欠けていました。そのためにAirbnbの社内のプロの翻訳家とローカライゼーションマネージャーが参画し、翻訳をチェックしすべてがブランドのトーンに合うようにしました。

2. グローバルなコンテンツマーケティング

 素晴らしいマーケティングは成長を後押ししました。しかし、ある一国で通用していたストーリー展開やキャンペーン、グラフィックがほかでは効果がないかもしれません(無礼になる場合さえあるかもしれません)。そこでAirbnbはトップダウンとボトムアップ戦略を組み合わせることでマーケティングのローカライゼーションへの挑戦に挑みました。

トップダウン式のアプローチ
 Airbnbは彼らの巨大なユーザーベースからデータを活用し、ターゲットが明確なキャンペーンを作りました。例えば、Airbnbは東アジアに対し新たにマーケティングビデオを作ろうとしました。彼らはその地域で最も頻繁にされる質問は何か知っていました:リスティングの検索方法、部屋の予約の仕方、ウィッシュリストの作り方、そしてホストやAirbnbとの連絡の取り方でした。そこで彼らは若いアジア人女性が旅行を計画しているビデオを作り、その中でこれらの質問を盛り込みました。

 このビデオはマーケティング戦略でもあり、ユーザーを教育することでカスタマーサービスの負担を減らす手段でもあります。それは東アジアのオーディエンスに合うように作られ、その国の特定のAirbnbサイトを見ている人に合わせてローカライズされたナレーターを使っています。Airbnbのソーシャルメディア部長のJasmine Malekniaはナレーターはローカライゼーション戦略の一部であり、「文化的なニュアンスは字幕の翻訳では損なわれてしまいます」と説明している。

ボトムアップ式のアプローチ
 「グローバル戦略の本当の挑戦はどれだけ大きく獲得できるかではなく、どれだけ小さく獲得できるかです」Dennis Goedegebuure、Airbnbの元グローバルにおけるSEO担当

 グローバルマーケティングのキャンペーンを運用する方法は1つだけではありません。Airbnbはボトムアップのマーケティングにも長けていました。結局、会社はコミュニティードリブンであり、自国へのマーケティングを手伝ってくれるユーザーとのつながりを持っていました。

 例えば、サイトの近隣セクションはおよそ580ページに渡り、全世界で20都市以上、30以上のAirbnbのローカルサイトにローカライズされています。Airbnbはそれぞれの近隣サイトを開設し、コアコンテンツ作りのために何千ものローカルのフォトグラファーやビデオグラファーと契約を結びました。このフリーランサーの広いネットワークのおかげで、それぞれの近隣ページは特徴的でローカルらしい仕上がりになりました。

 「グローバル戦略の本当の挑戦はどれだけ大きく獲得できるかではなく、どれだけ小さく獲得できるかです」とAirbnbの元グローバルにおけるSEO担当のDennis Goedegebuureは言っています。大事なことは次のことです:グローバル戦略を実行する時、多くの開発者はすべてを自分たち中心で進めていきます。しかし、一番ローカライズされたコンテンツというのはいつもローカルの人から生まれるものなのです。

3.口コミを活用する

 「ユーザーは私たちより伝えるのがうまいです」-Gustaf Alstomer、Airbnbのグロースプロダクトマネジャー

 Airbnbにとって、口コミは成長に不可欠でした。そこで会社はリファラルプログラムというものを作り、口コミをする人と、それを受けた人の両方にトラベルクレジットを提供することによって旅行者にAirbnbを宣伝するように促しました。

 グローバル戦略の一部として、Airbnbはこのリファラルシステムをある特定の市場、特にアジアに合わせて作りこみました。東アジアの人たちはスマホからのネット利用が多いので、Airbnbはスマホユーザーがそのリファラルプログラムを使えるようにしました。また、メッセージアプリも統合させました-Whatsapp、Wechat、そしてWeiboonといったその地域で人気のあるものです。

 Airbnbはアジアで大きな影響を与えるであろう重要なインフルエンサーを見つけました。1人はAnthonyというオンライン上のセレブリティーで、Weiboに2百万人のフォロワーがいます。彼がAirbnbのリファラルコードを投稿した時は、彼1人で何千ものサインアップをもたらしました。


4.オフラインの供給に対するゲリラ戦術

 「我々はすぐれたグロースハックを実現してきましたが、オフライン戦略も重要です」-Rebecca Rosenfelt、Airbnbのグロースプロダクトマネジャー

 どこかの国で新しいホストを獲得した時、Airbnbはオンライン戦略だけには頼れないことを学んでいました。ときには人と直接話すことも必要です。そしてこういったニーズは文化によって異なります。

 例えば、AirbnbはフランスにおいてFacebook広告は意味がないと気づきました。そこで2、3人のチームをフランスに送り、ホストの候補に会い、情報交換の場をもうけ、ローカルイベントでブースを用意し、フライヤーを投函したりと、単なる戦術を超えたことをしました。

 直近では、Airbnbが新たに進出したキューバで似たよう取り組みが成功しました。

 ローカライゼーションやグローバル展開をする時によくあるように、キューバでも独特なチャレンジがありました。クレジットカードはなく、島ではインターネット接続に制限がありました。Airbnbはキューバでの地盤作りのためにカサ・パルティクラル(小規模の旅行者にやさしい宿泊施設)とパートナーになることができました。カサ・パルティクラルはインターネットアクセスを持ったブローカーたちのことで、彼らがAirbnbが抱える予約の課題を解決するのに一役買いました。またAirbnbは、マイアミで送金会社と一緒に支払いの問題も解決しました。ほんのすこしの柔軟性を作ることで、Airbnbは成長する新たな海外市場で急速に足場を確立することができました。


今後起こりうる潜在的な課題

 急速な展開とともに、Airbnbにとって将来的に解決していかなければならない課題もあります。

シェア業界をめぐる法的問題
 規制者側はAirbnbが提供するセミフォーマルなシェアリングエコノミーの取引きに以前よりも注意を払うようになりました。すべての国の政府が彼らが追求しているものを歓迎しているわけではありません。例えば、パリでは急速なローカルホストの増加に伴ってAirbnbのリストを検討する動きが高まっています。

保守的な文化とさらに関わっていくこと
 Airbnbはオープンな文化に価値を見出しており、それはつまり自分の家で知らない外国人と問題なく関われることをホストに求めています。しかしこういった価値はすべての場所で浸透しているわけではありません。例えば、日本では集団主義や知らない人を避けることに価値が置かれており、Aibnbが商売するのには大きな壁があるでしょう。

優良ユーザーを維持する
 ユーザーを増やすことはいいことですが、同時に彼らを維持する必要があります。会社がグローバルで力を持つに連れて、ユーザーをどう維持するか新たに考える必要があります。最近では、Airbnbは国際的なオペレーションの拡大を緩やかにし、Chip ConleyをAirbnbのグローバルホスピタリティー部のリーダーに任命しました。また、カスタマーサービスとホスピタビリティーをより向上させるためにダブリンにあるオペレーションハブの大きさを2倍にしました。会社にとって、Airbnbが21世紀のホスピタリティーを代表する存在になれるかどうかは最も大きなチャレンジとなるでしょう。

マーケターにとっての重要ポイント

 過去数年間にAirbnbのように急速に拡大していった企業はほとんどありません。その国際戦略はきっとあなたのグロース計画に役立つでしょう。さあ、グロースマーケターのみなさんメモをとりましょう。

ローカライズしたユーザー体験は必須
 もちろん、あなたのアプリは英語仕様だと思いますが、地球上の大部分の人を相手にするなら、つまり理想的なユーザー経験はローカライズされたユーザー体験です。英語は世界共通語になりつつありますが、多くの人は英語を話しません。そしてそういう人たちはどちらにせよ母国語を好みます。

スケールしないことをしよう
 技術者は計測が難しいオフラインマーケティングを嫌がります。しかし、重要なのは次のことです:みんなが技術に精通しているわけではありません。そして会社のサービスに対する質問はオンライン広告では解決できないことかもしれません(特にAirbnbのような見知らぬ人を自宅へ入れるようなサービスの場合)。

 Paul Grahamの有名な言葉に、「スケールしないことをしよう」というものがあります、これはオフラインマーケティングにも通じます。多様性を持つこと、オフラインマーケティングの戦術、特定の地域に適合することで、市場の反応がイマイチなもので終わるのか急速に成長するかの分かれ道になりえます。どんなマーケットにおいてもあなたの知っている戦術を試すために実験的なアプローチを取ることによって、成功することはよくあります。

まとめ

 グローバル展開は難しいものです。しかし、最初から国際的な成長に重点を起き、新たなマーケットの需要に合わせることによって、世界で成功することは可能になります。


 この記事は、OneSky上の記事 “How to Grow a Business in 190 Markets: 4 Lessons from Airbnb” を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。

※本記事は「グロースハックジャーナル」からの転載です。転載元はこちら

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