痴漢は犯罪です。私は泣き寝入りしません――。
痴漢被害に悩む女子高生が考案した「痴漢抑止バッジ」の正式デザインが決定した。
通学電車内で痴漢被害にあっていた都内在住の高校2年生の女子が、2015年4月に母親と一緒に考案した「痴漢抑止バッジ」。身に着けるようになってから、毎日のように受けていた痴漢被害はなくなった。
このバッジを社会に普及しようと、2015年11月から始まったのが「Stop痴漢バッジの製作プロジェクト」。クラウドソーシングサービスの「クラウドワークス」でデザイン案を公募し、地域特化型クラウドファンディング「FAAVO」で制作資金や普及活動における支援者を募った。
一人の女子高生のアイデアがクラウドを通じて形にする取り組みがインターネット上で話題となり、多くのマスコミが取り上げたことで、全国の警察機関や教育関係者からの問い合わせにつながり、社会を動かした先進的な事例といえる。
公募の結果、全国から443作品のデザイン案が集まり、クラウドファンディングの支援者は179人、支援金は100万円(目標達成率223%)を突破(2016年1月現在)。
選考・投票の結果、最終的に5種類のデザインが決定した。女子中高生が身に着けるため、身に着けること自体が心理的負担とならないような柔らかい雰囲気と、それでも体を密着してくる痴漢にははっきりと「NO!」と伝わるようなデザインが考慮された。
特別賞には考案者の女子高生である殿岡たか子さん(仮名)が選んだ「たかこ賞」も。「見た目が可愛くて、一見では痴漢抑止バッジと分からないので女の子が付けやすいデザインです。けれど、痴漢に近づくとメッセージが読めて、行為を思いとどまると思いました」と述べている。
反響の大きさや社会的意義を考慮し、2016年1月15日には一般社団法人痴漢抑止活動センターも設立。痴漢抑止グッズの企画・製造・販売のほか、自治体や警察との連携、学生とのタイアップなどを行っていく。
具体的には、3月からクラウドファンディング支援者にバッジ送付を開始。その後、痴漢抑止のためのセミナー開催、学校配布などを行っていく。また、2月1日のクラウドファンディング締切までに、支援金が150万円を超えた場合、東京・大阪で各494個(=「抑止」を意味する)の無料配布イベントを開催する予定。達成まで残り40万円ほどだ。
また、支援金はバッジ製作費にあてるほか、公式サイトに掲載する痴漢被害の対処法を紹介するコンテンツ制作や、痴漢被害者の悩みが相談できるオンラインコミュニティの立ち上げに活用するとしている。