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業界人の《ことば》から 第175回

経営トップ自らが、クラウドを活用した働き方を実践

すべての企業は、ビジネスモデルを再構築しなくてはならない

2015年12月22日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「インターネットやクラウドのパワーを使えば、東京に限定することなく、どこでも仕事ができるようになると信じている」(米セールスフォース・ドットコムのパーカー・ハリス共同創業者)

東京以上のパフォーマンスを発揮できる町づくりへ

 総務省による地方創生に向けた「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」が全国15ヵ所で展開されている。

 そのなかのひとつに、「白浜町におけるクラウドサービスを利活用した先進的テレワークおよび生活直結サービス構築・検証事業」がある。

 地域密着の生活直結サービスをクラウドで開発、地域のイノベーションを促進することを目的としており、白浜町における地域特性や地域ニーズを鑑み、移住者・地域住民および観光客が必要とする「観光サービス」、災害時などに対応するための「防災サービス」、子育て関連などの「行政情報提供サービス」、地域課題解決とボランティアの「マッチングサービス」の4つのサービスを整備し、有効性と効果検証を行なうことになる。

 ここに中核企業として参加しているのが、セールスフォース・ドットコムである。

 2015年12月3日、4日に開催された同社年次イベント「Salesforce World Tour Tokyo 2015」の基調講演においても、米セールスフォース・ドットコムのパーカー・ハリス共同創業者自らが、この話題に触れ、和歌山県白浜町の井澗誠町長とともに、実証実験の取り組みについて説明してみせた。

和歌山県白浜町に設置したテレワーク拠点には、パートナー4社からも、社員が移住や長期滞在している。

 セールスフォース・ドットコムでは、クラウドサービスを有効活用した戦略的テレワーク拠点「Salesforce Village」を和歌山県白浜町に設置。本社機能の一部を移転して業務を遂行する新しいテレワークモデルの効果検証を行なっている。

 Salesforce Villageには、セールスフォース・ドットコムのパートナー4社からも、社員が移住や長期滞在して、この実証実験に参画している。

 ここで生まれた生活直結サービスをテンプレート化して、他自治体への横展開をしていくことを検討するという。生活直結サービスには、同社のパブリッククラウドサービスを活用しているため、自治体固有の要件が存在する場合においても、簡易にカスタマイズでき、迅速なサービスの導入が可能になるとしている。

 和歌山県白浜町の井澗誠町長は、「白浜町は、国内外から年間300万人以上の観光客が訪れる国内屈指の温泉リゾート。だが、その一方で、少子高齢化、人口流出、人口減少という課題を持っている。白浜町ITオフィスの実証実験には、セールスフォース・ドットコムのほかにも、ウフル、エスアールアイ、サンブリッジ、日本技芸、ブイキューブ、ブレインハーツの合計7社が参加している。仕事の効率化という観点からみて、東京以上のパフォーマンスを発揮できるようにしたいと考えている」と述べ、「ITと観光を融合することで、イノベーションを起こせるような町づくりを行なうことで、雇用を増やし、若者を増やすことができる。白浜町を地方都市の先進モデルにしていきたい」などと述べた。

 これに対して、ハリス共同創業者は、「インターネットやクラウドのパワーを使えば、東京に限定することなく、どこでも仕事ができるようになると信じている。今回のパートナーシップは非常に有効である」と語った。

経営トップ自らが、「どこでも働ける空間」を実践

 テレワークの実現には、クラウドサービスの活用は不可欠だといえる。実際、セールスフォース・ドットコムでも、自らが提供するインフラを活用して、どこでも働ける空間の実現に積極的に取り組んでいる。

 すでに2010年の時点で、米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEOは、日本に2週間滞在して、日本からグローバル経営の指揮を執った経験を持つ。また、ハリス共同創業者も、今回の来日では2週間に渡り、日本に滞在し、滞りなく仕事をこなしてみせた。

 経営トップ自らが、クラウドを活用した新たな働き方を実践しているのが、セールスフォース・ドットコムの特徴だといえるだろう。

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