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可用性だけでなくパフォーマンスも保証、基幹システムのクラウド移行促す

基幹系に特化したIaaS「CUVICmc2」、CTCとSAPら3社が提供

2015年10月13日 06時00分更新

文● 大河原克行 編集●大塚/TECH.ASCII.jp

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 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)とSAPジャパン、クラウドソリューションプロバイダーの米バーチャストリーム(Virtustream)の3社が、2016年4月から基幹系特化型クラウドサービス「CUVICmc2(キュービックエムシーツー)」の提供を開始する。

 これはバーチャストリームのIaaS技術をベースに、SAP ERPなどの基幹系システムを、CTCのデータセンター(神奈川県横浜市)から提供するもの。同時に、SAP ERPを国内で導入している企業に対して、クラウド環境への移行サービスも提供する。

(左から)バーチャストリームのロドニー・ロジャース(Rodney Rogers)会長兼CEO、伊藤忠テクノソリューションズの菊地哲社長、SAPジャパン 福田譲社長、伊藤忠テクノソリューションズの大久保忠崇CTO
「CUVICmc2」は基幹系特化型のクラウドサービス同サービスにおける3社の役割

バーチャストリームの独自技術で性能監視、リソースを自動管理

 CUVICmc2は、基幹システムのクラウド移行を検討するユーザーを対象に、移行に関する投資効果を4~6週間で査定する「Advisory Service」、既存環境からの移行を行う「構築・移行サービス」、IaaS環境のクラウドサービスである「Cloud Platform Service」、OSおよびミドルウェアの24時間365日の運用監視サービスである「Cloud Cover Service」で構成される。

 Cloud Platform Serviceでは、ストレージ応答時間やディザスタリカバリに関する性能保証を行うほか、SAPソリューションを利用するユーザーに対しては、SAP HANAを仮想マシンとして提供する。また、Cloud Cover Serviceでは、Standerd、Business、Enterpriseの3つの運用レベルを用意。SAPユーザーに対しては、SAP BASICの運用サービスも提供する。

 バーチャストリームでは、CPUやメモリ、ネットワーク、ストレージを複合的に計測して、効率的な使用を可能にする独自技術「μVM」を開発。同技術に基づくリソース管理機能「xStream」が、IaaS上で稼働するアプリケーションの負荷に応じて、リソースを自動的に管理する。SAPのソフトウェア製品との親和性が高いことから、ミッションクリティカル環境において、アプリケーションレベルでも、SLAに基づいたパフォーマンスを提供できるのが特徴だ。現在、バーチャストリームが提供している約400社のうち、6割のIaaSにおいてSAP製品が稼働しているという。今回の提携においても、xStreamが活用されることになる。

 また、セキュリティについては、CPUレベルでの暗号化技術である「Intel TXT」やポータルの2要素認証などを採用。金融機関やライフサイエンス分野、政府機関などで要求されるセキュリティ規格にも対応できるとしている。

CUVICmc2は、基幹系に特化したクラウドサービスとして3つの特徴を備えている

「3社が一体となって基幹系システムのクラウド移行を促進していく」

 CTCの大久保忠崇CTOは、「CTCでは、よりミッションクリティカルなシステムをクラウド環境に移行させることができるかを模索してきた。そのために、技術だけでなく、その周りのガバナンスをどう利かせるかという仕組みも検討を行った」と語る。今回の提携は、単にバーチャストリームの技術を日本市場に提供するというものではなく、自社(CTC)のデータセンターからサービス提供することで、アプリケーションレイヤーまでを保証するものだと述べた。

 「バーチャストリームの特許技術により、コンピューティングリソースの実使用量をベースとした従量課金を実現する。可用性保証に留まらず、パフォーマンスまで性能を保証できるのが特徴。またセキュリティにおいては、世界ナンバーワンの評価を持つ仕組みを踏襲。新たにPCI-DSS、JASAクラウドセキュリティを取得予定である。こうした3つのサービスを提供するサービスは日本にはない」(大久保氏)

 なお、CTCは今年2月、基幹系システム用にIaaS型クラウドサービスを拡充することを目的に、米バーチャストリームと業務提携。また、SAPジャパンが提供するSAP HANAの取り扱いを4月から開始。社内の次期基幹システムに、SAP HANA上のERPソリューションである「SAP Business Suite powered by SAP HANA」と、会計ソリューション「SAP Simple Finance」を採用することを発表している。なおバーチャストリームは、今年4月にEMCに買収されている。

 またCTCの菊地哲社長は、「日本ではまだ基幹系システムはオンプレミス導入が中心だが、クラウドに対するユーザーの期待も高まっている」として、3社が一体となって、SAP HANAの普及とともに基幹系システムのクラウド移行促進に取り組んで行く姿勢を強調した。

 「検証を開始してからすでに1年を経過しており、本来ならばもう少し早く提供を開始したかった。2008年から当社が提供しているIaaS型クラウドサービスのTechnoCUVIC(テクノキュービック)のブランドを継承し、日本の基幹系システムを変えていく」(菊地氏)

 SAPジャパンの福田譲社長は、「(現在は)ERPとビッグデータが別々のシステムとして構成されているが、インメモリコンピューティング技術を活用したSAP HANAのプラットフォームを活用し、2つのシステムを共存させることで、ITがビジネスを革新させることができる。また、クラウドを活用することで、情報システム部門の業務の高度化を図ることもできる」と語り、今回の取り組みは日本のIT産業にとっても意義のあることだとした。

CUVICmc2は幅広いシステムの基盤となる。SAP製品の場合はSAP HANAクラウドとして利用できる

 バーチャストリームのロドニー・ロジャース会長兼CEOは、「バーチャストリームでは、全世界17カ所のデータセンターを活用してサービスを提供しているが、日本においてはCTCと連携してサービスを提供することになる。SAPをクラウドに乗せるうえでは、当社の技術は他社の追随を許さないと自負している」と自信を覗かせた。

 「かつては、SAPをクラウドに乗せるというと『クレイジーだ』と言われたものだが、当社は2010年にマルチテナントで、Fortune 500企業へのクラウド提供を開始している。ここにきて、クラウド市場はエンタープライズ利用が促進され、アプリケーションが主役になることでビジネス変革を促すなど『第2フェーズ』へと入ってきている。日本におけるビジネスチャンスは大きいと考えている」(ロジャース氏)

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