古河電気工業などは7月27日、電源を必要としない光ファイバーを用いた送電で動作する海洋観測システムの実証実験に成功したと発表した。
これは古河電工、東日本電信電話(NTT東日本)、日本コムシス、エコニクスによる共同研究で、函館市国際水産・海洋総合研究センターにて実証実験を行なったもの。
遠距離の監視・観測に用いるセンサーシステムは、信号ケーブルと同時にセンサー用の電力線も必要だが、海中の電力線は腐食しやすいという問題があった。古河電工が開発した光給電システムは、光ファイバーを通したレーザー光を太陽電池を用いて電気に変換するというもので、敷設するのは光ファイバーだけで済む。ただし、1回線で送れる電力は75mWと微量であるためそのままではセンサーを駆動できず、電力を蓄えて一定間隔でセンサーや光モデムに給電するという工夫を行なっている。
実証実験では、海水温に加えて海中の水素イオン濃度、溶存酸素量、塩分などの水質観測を遠隔地から連続的に監視できたという。古河電工では、水産養殖施設や港湾施設への導入により、効率的な漁業、防災への利用が期待できるとしている。
なお、古河電工ではすでに同種の光ファイバーを用いた送電で監視カメラを動作させるのにも成功しており、遠距離監視・観測などへの利点は大きいと考えられる。