グーグルは10月27日、Google アートプロジェクトに東京国立近代美術館、三渓園など国内の美術館や施設19館が加わり、1288点の作品を閲覧できるようになったと発表した。
同時に、グーグルが70億画素で撮影し、詳細なタッチまで拡大して見ることができるギガピクセルに、国立西洋美術館所蔵 クロード・モネ作「睡蓮」、大原美術館所蔵 ポール・ゴーギャン作「かぐわしき大地」が、加わった。
近づくとわかる、モネの大胆な絵の具使い
今回の記者会見は、モネの睡蓮を所蔵する国立西洋美術館で実施された。国立西洋美術館 副館長兼学芸課長の村上博哉氏は「美術館は、一般的に展覧会が注目されがちですが、本プロジェクトは所蔵品を楽しむことができる。所蔵品を一般の方に紹介する機会はなかなかない(美術館が所蔵する大量の作品は展覧会などの企画にあわせて披露される)ので、美術館にとってもありがたい機会です。展覧会で見るのと、近寄ってディテールを見るのでは作品の楽しみ方が変わってきます。今回、ギガピクセルに参加した睡蓮を近くで見ると、大胆な絵の具の使い方が見てとれます。」と話した。
日本の美術館では、作品の前にロープやテープを張って作品に触らないように制限をしているが、ギガピクセルで提供されている作品ならば、自分の好きな時間、好きな場所で肉薄しながら作品を鑑賞できる。
世界中のアートを好きな時間、場所で楽しめる
Google アートプロジェクトは2011年に9カ国でスタートし、現在では60カ国以上、500以上の財団、美術館、資料館が参加が参加している。その作品群の中から、ユーザーが任意の作品を選んでアートプロジェクト上にマイギャラリーとして保存することができる。これはインターネット上で、ユーザーがキュレーションしたデジタルエキシビジョンを開催するのと同じだ。
プロジェクトリーダーのAmit Sood氏は、世界中に点在している作品をウェブ上で俯瞰することの魅力を逸話とともに披露した。2年前、Sood氏の元にサンフランシスコ在住のとある母親が「アートプロジェクトについて娘と会って欲しい」と、メールを寄せた。面識がない女性だったが、公にしていない自分のメールを知っているぐらいだからと、約束を取り付け実際に会ってみたところ20歳ぐらいの女性だと思っていた娘の年齢は、8歳! 小学校で活用しているという彼女から「アートプロジェクトに付け加えてほしい10の要望」を受け取り、アートプロジェクトを利用している年齢層の広さに驚いたという。
また館内をストリートビューのように360度のパノラマで見ることができる「ミュージアムビュー」に、国立西洋美術館、大原美術館を始め13の施設が加わったことも、あわせて発表された。