インテルは9月26日、同社の最新モバイル向けCPU「Atom Z3700」シリーズについての発表会を実施した。
グラフィックパフォーマンスが従来比1.2倍、普及価格帯に注力
Cステッピングとして提供されている最新のAtom Z3700シリーズ「BayTrail Refresh(開発コード)」は、最大で従来比3倍の性能アップと、同一性能において約1/5の消費電力の実現をうたう。同社クライアント事業開発部 事業開発マネージャーの山中徹氏は、「あらゆるタブレットの価格帯をカバーできる製品」であると自信を見せる。
BayTrail Refreshの大きな特徴の1つは、従来比約1.2倍のグラフィックパフォーマンスの向上だ。CステッピングのZ3745と従来品であるBステッピングのZ3740を「GFXBench 3.0」により比較した結果、スコアに約1.2倍の差がついたとしている。これについて山中氏は「ステッピングの変更だけでこれほどの性能向上はなかなかない」とコメントした。
また、普及価格帯を狙ったSKUの豊富さも挙げられる。75~150ドル程度のエントリーモデルとして位置づけられているZ3735には、D/E/F/Gの4モデルを用意するなど、幅広いラインアップでタブレットに最適なモデルを選ぶことが可能だとしている。加えて、64bit版Windowsに対応するモデルを用意し、Androidではすべてのモデルで64bitに対応していることもアピールした。
モバイルならではの高速復帰を実現した電力ステート「S0ix」とは?
モバイル&コミュニケーション事業部 カスタマー・テクノロジー・ソリューション プラットフォーム・ハードウェア・エンジニアの平井友和氏は、Z3700シリーズの省電力テクノロジーについて言及。省電力化の主な技術として紹介されたのが、デスクトップPCよりも画面のオン/オフが頻繁で、高速なスリープ状態からの復帰を求められるタブレットの特性上追加された「S0ixステート」だ。これはWindowsタブレットの「InstantGo」やAndroidの電力制御APIを内部的にサポートする技術で、S0i1~3の3段階で消費電力を制御し、かつデスクトップPCを上回る高速なS0(動作状態)復帰を実現するというもの。
S0i1は音楽を再生する際に必要なデバイスだけを動作させる電力ステートで、消費電力約130~350mWを実現。S0i2は現在のところ利用されておらず、将来的に活用が見込まれている。S0i3は従来のスリープ状態にあたる電力ステートで、S3(スリープ状態)に近い消費電力約30~100mWながら、およそ300~500ミリ秒での高速復帰を可能にしているという。平井氏は「わずかな消費電力の増加で、ネットワークコネクティビティを維持しつつ高速な復帰を実現しているのが特徴だ」とした。
同日発表のZ3700シリーズ搭載タブレットも展示
会場では、同日発表となったZ3700シリーズ搭載タブレットも展示。マウスコンピューターの8型タブレット「WN801」、ジェネシスホールディングスの7型タブレット「WDP-71」、プラスワンマーケティングの10型タブレット「freetel Gaia」の3製品に加え、参考展示としてジェネシスホールディングスの10型タブレットの姿も見ることができた。