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ソフトバンクは5000億円の利益を計上

時価総額25兆円 中国の怪物アリババとは

2014年09月22日 16時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 中国最大のネット通販事業者アリババが19日、米NY証券取引所でIPOを果たした。ロイターによれば同社株主が4800万株を追加で売り出し(関係筋)、IPO規模は史上最大の約250億ドル(約2.7兆円)となった。時価総額は19日終値93.89ドル計算で約2300億ドル(約25兆円)までふくれあがった。

 ソフトバンクは同社株式の3割を保有しており、今回8兆円あまりの含み益を得る。20日には、2014年4~9月期連結決算に5000億円(暫定)の持ち分変動利益を計上すると発表した。(なおソフトバンク株そのものは材料出尽くしの観測から売りが集まり、一時期は前週末比4.4%安まで値を下げている)

 2000年、アリババのジャック・マー会長に2000万ドルの投資を持ちかけたのがソフトバンク孫正義会長だ。

 「孫会長とマー会長が会ったとき、わずか15分間で投資が決まった」「2000万ドル以上を出そうとしたがマー会長が『そこまでは必要ない』と断った」というエピソードも関係者間の伝説としてささやかれている。

 アリババの基盤事業は企業間取引プラットホームだ。

 いまではグループ内に大きく7つの事業体を持ち、対法人、対個人、対法人対個人といった形でセグメントされているが、対個人メインの楽天やアマゾンとはビジネスモデルが異なる。理由は中国の国情だ。日本や米国と異なり物流が弱いため、中国国内で個人向けの取引はいまだに発達途上。アリババ創業者ジャック・マーCEOがアリババ創設前に手がけていたのも、オンライン版イエローページのようなサービスだった。

 一方、アリババの競合・京東(JDドットコム)は対個人向けのEC事業者だ。自社倉庫や流通網を抱え、海賊版・コピー品対策を施し、中国アイリサーチによれば売り上げシェアはアリババの30~50%程度。

 競合対策として、ジャック・マー会長は2013年にアリババを引退し、アリババ合弁の物流企業・菜鳥(ツァイニャオ)を開始した。中国の主要商圏で24時間配送を実現する物流網を構築するとともに、中国国内にクラウドコンピューティングの基盤を作る計画で、総投資額は3000億元(約5兆3000億円)にのぼる見通し。

 今回の上場には米国・欧州での展開にはずみをつけ、世界規模で株主を募る狙いがあるとみられるが、アリババはアマゾン同様、利益を出さずに設備投資を続けるキャッシュフロー型経営を続けてきたため「投資家から警戒されていたのは間違いない」(消息筋)。まずは中国国内での動きに注目が集まっている。


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