最新版Xeon E7搭載でRAS機能を強化した「DL580 Gen8」など3モデル
「x86サーバーは“コア事業”」HPがProLiant Gen8新モデル発表
2014年04月01日 06時00分更新
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は3月27日、エンタープライズ向け4ソケットx86サーバーの新製品として、「HP ProLiant DL580 Gen8」「同 DL560 Gen8」「同 BL660c Gen8」の3モデルを発表した。いずれも最新版のXeon E7/E5プロセッサーを搭載している。
“自働サーバ”を目指し、RAS機能をさらに強化
ProLiant DL580 Gen8は、4Uサイズのラックマウント筐体に「Xeon E7-4800 v2」を最大4つ(最大60コア)搭載するサーバー。メモリは現時点で最大3TB、将来的には最大6TBまでの拡張をサポートする予定だ。また、現行製品のDL560 Gen8(2Uラックマウント)やBL660c Gen8(ブレードサーバ)にも、最新のXeon E5-4600 v2搭載モデルが追加される。
新サーバーでは、運用管理性や障害検知など“RAS機能”の強化に重点が置かれた。まずは、主にプロセッサーの機能強化による「内蔵機能の強化」で、Xeon E7-4800 v2を搭載したハイエンドモデル(DL580 Gen8など)の信頼性を向上するもの。もう1つが「外部連携機能の強化」で、こちらはハイエンド製品に限らず広くProLiant製品全般で標準実装していく。ここには、組み込みの管理プロセッサ(iLO)の機能強化や、HPが提供するオンラインサービスの強化によって実現される機能が含まれる。
こうした強化により、HPでは「導入から監視、運用、保守までライフサイクル全般でサーバー運用の“自働化”を実現する」という。
ハードウェア事業を重視、R&D強化で独自技術を育成と明言
同日の発表会で概要説明を行った同社 HPサーバー製品統括本部 プロダクトマーケティング本部 本部長の宮本 義敬氏は、新サーバー投入の背景として「HPテクノロジーへの回帰」を挙げた。同氏は、IBMのレノボへのx86サーバ事業売却やデルの株式非公開化といった業界動向を示しつつ、HPはこうした企業とは異なる戦略を採ると明言した。
「HPはx86サーバー事業を“コア事業”だと考えている。新CEOの戦略は“ハードウェアをHPのコア事業とする”というものであり、R&Dに回帰し、買収や合併といった手段で他社製品を買ってきて事業を強化するのではなく、R&Dに投資し、自社のIPを使って事業を成長させていく」(宮本氏)
x86ハードウェアのコモディティ化が語られるようになって久しいが、「信頼の置けるメーカーの製品を使いたい」という市場のニーズがなくなったわけではない。HPが、これからも継続的にこうした顧客の期待に応えていく意向を表明したことは、選択肢の確保という観点からも重要な意味を持つと言えるだろう。
DL580 Gen8では、Xeon E7-4800 v2が備える機能を活用することにより「HP Advanced Error Recovery」「HP Memory Quarantine」「HP Advanced Fault Resiliency」「HP Advanced Error Containment」といった、メインフレームやUNIXサーバーで実装されているような高度な高可用性機能が実現されている。
また、サーバー内蔵のシステム管理プロセッサ(iLO)の機能強化とオンラインサービス強化の組み合わせにより、自動通報機能の使い勝手も向上している。「HP Insight Onlineダイレクトコネクト」では、従来はユーザーのLAN内に別途中継サーバを設置する必要があったが、今回から直接HPサイトへの通報が可能になっている。そのため、特に小規模拠点におけるサーバー運用負荷が軽減される。また、「iLO連携(iLO Federation)」では、複数サーバーのiLOどうしが通信して情報共有を行うことで、管理マネージャなしで複数サーバーの情報が参照できるようになった。ハードウェアの機能強化と運用管理機能の強化の両面で“サーバの自働化”をサポートしていく取り組みとなる。
希望小売価格(税抜)は、ProLiant DL580 Gen8が226万2000円から、DL560 Gen8が91万6000円から、BL660c Gen8は151万円から。いずれも販売開始は3月27日より。