家庭に存在する電話機は毎年8%程度減っており、総務省の調査によれば加入電話契約数は平成24年度末で遂に3000万台を割った。実感としても家庭の電話機で通話をすることは滅多に無いというのが一般的な感覚ではないだろうか。
資料:通信量からみた我が国の音声通信利用状況 【平成 24年度】
http://www.soumu.go.jp/main_content/000262020.pdf
スマートフォンの増加を受けて音声通話も多くの部分が携帯電話及びスマートフォンに移行しており、たまにかかってくる電話はどこからかかかってくる電話勧誘でネット回線の乗り換えやマンションの売り込みだ。国民生活センターの2012年の調査では2004年から電話勧誘による苦情や相談が増えていることがみてとれる。特に高齢者に対する電話勧誘件数は30代などと比べると圧倒的に多い。お年寄りが電話勧誘のターゲットにされていることが分かる。
資料:2012 年度の PIO-NET にみる消費生活相談の概要
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20130801_2.pdf
電子メールにおけるスパムメールのフィルターのような機能が固定電話にもキャリアのサービスとして存在するが、個々に番号を着信拒否に設定するなどの手間がかかる。そんな手間をインターネットとクラウド、そして簡単に操作を行えるデバイスを使って実現したのが「トビラフォン」だ。開発販売を行っているトビラシステムズ株式会社の明田 篤社長に話を聞いた。
トビラフォン:http://tobilaphone.com/
「利用者が自分で設定を行わなければいけない着信拒否よりも警視庁や自治体が認識している迷惑電話番号をクラウドで共有することでより簡単に迷惑電話をハジくことができます。現時点で約2万5千件の電話番号が登録されており、常にアップデートされています。また複数の加入者が拒否をした番号を集合知として学習してデータベースに登録することで未知の番号でも迷惑電話として認識するので、利用者が増えればそれだけ精度が上がることになります。認識はそれほど単純ではなく自社開発した迷惑電話番号の検知を行う技術には特許を取得しています」。(明田氏)
固定電話そのものを契約していない人もいる今日、スマートフォンに対するソリューションは無いのだろうか?「実はいまスマートフォンのアプリとして提供することを計画中です。あるセキュリティベンダーと協業してスマートフォン向けのアプリを提供しようと考えています。実際に製品化されるのは今年の後半になると思います」と明田氏は語る。
「これから日本だけではなく海外への展開も視野に入れてトビラフォンを拡げていきたいと考えています」と明田氏は今後の展開を語る。実際に人口減少が始まっている日本だけではなく人口も電話も増加の傾向にあるインドやインドネシア、中国などでもニーズはありそうだ。今年後半のスマートフォンアプリがどれだけ利用が拡がるのか、岐阜出身のベンチャーの今後に期待しよう。