この夏、見るべき展覧会は何だろうか。庵野秀明監督が手がけた特撮博物館は絶対に行きたい。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の初日も出たし、手塚治虫記念館で開催されるエヴァ展も見ておくべきだ。だが今回紹介したい展示は特撮よりエヴァよりクールで、リアルで、SF好きにはたまらない。なにせ展示物が元素そのものなのだから。
展覧会はその名も「元素のふしぎ展」。上野・国立科学博物館で7月21日(土)から開催されている。入場料は一般1300円だ。昨年1月には文科省が「一家に1枚周期表」を発表し、レアアースや原発問題などで元素への関心は高まった。だが本で読むだけではいまいちピンと来ない。それなら実物を見てもらおうということで企画されたのがこの展示だ。
というわけで、ときめきをおさえきれない記者がさっそく行ってきた。
惑星イトカワには太陽ができたころの元素が残っている
まず入り口には、おなじみ元素の周期表がどーん! 今年5月に正式名称が決定したばかりの元素114番(フレロビウム)&116番(リバモリウム)も入った最新版だ。
第1会場は宇宙の話からはじまる。137億年前、ビッグバンで宇宙が誕生したときに生成された元素は水素とヘリウムだった。時代は過ぎて太陽が生まれ、そしてさまざまな元素を含む宇宙のチリが集まってこの地球が生まれた。
この会場を象徴していたのが、「はやぶさ」で名前を知られた惑星イトカワの模型。イトカワには太陽系ができたころのチリや微粒子がついていて、いまの太陽系ができるまでの46億年間にどんな歴史があったのかをそこから知ることができる。生物はおろか地球さえも生まれていない時代、その誕生の手がかりがこれなのかと思うと胸が熱くなる。
第2会場では、錬金術師時代から、17世紀の化学者ロバート・ボイルにはじまった元素の歴史をじっくりひもといていく。日本人が発見した幻の元素「ニッポニウム」(現レニウム)の話、原子核のまわりを不規則にまわる電子の振る舞いをあらわす「電子雲」の模型など、初めて見るもの・聞くものも多くてテンションがじわじわ上がってくる。