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ディ・モールト素晴らしいッ!ジョジョ展、東京で明日から

2012年10月05日 17時00分更新

文● 盛田諒/ASCII.jp編集部

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会期は10月6日~11月4日までの1ヵ月間
「覚悟」ができたら六本木ヒルズへ

 「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」が10月6日~11月4日、東京・森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)で開催される。説明するまでもないが、漫画家・荒木飛呂彦先生による現在進行形の最高傑作「ジョジョの奇妙な冒険」の原画展だ。

 東京は巡回展で、初回は7月28日~8月14日には宮城県仙台市せんだいメディアテークで開催された。ジョジョ第4部に登場する『S市杜王町』をモチーフに「ジョジョ祭り」状態になったという(ジョジョは登場人物の世代とともに「第何部」と章を代える構成)。


美しい原画は200点以上
「魔少年ビーティー」から「ジョジョリオン」まで

 展示の構成は、1982年から2012年まで、荒木先生の30年間を振り返るもの。

 入口では「魔少年ビーティー」「ゴージャス☆アイリン」といった初期の作品群が迎えてくれる。壁にかけられた石仮面、冒頭写真の巨大な単行本オブジェから、ジョジョパートのはじまりだ。「覚悟はいいか? オレはできてる」と足を踏み入れよう。

 原画はカラーを中心に200点以上。ジョジョ展のために荒木先生が描き下ろした、「ジョジョ日本八景」という連作8枚もあって見逃せない(「こけしとジョセフ・ジョースター」「はやぶさとジョルノ一行」「東京タワーとジャイロ&ジョニィ」etc)。

 第6部ならグリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所など、各章をモチーフにした展示形式も「GOODッ!」。第4部、岸辺露伴の仕事場(机上には描きかけの漫画「ピンクダークの少年」)、荒木先生の仕事場を再現したコーナーは、見比べるとより楽しめる。

岸辺露伴の美学があらわれた素晴らしい作業机。「この岸辺露伴が金やチヤホヤされるためにマンガを描いてると思っていたのかァーッ!!」も頷ける。描きかけの原稿はもちろん「ピンクダークの少年」


iPadアプリで「オラオラオラオラオラ」「無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

 原画以外にも、「こっこれは~っ!」と叫んでしまう展示はたくさんある。まずは等身大フィギュアだ。第2部・メキシコ遺跡で発見された“柱の男”、第4部・東方仗助、第5部・ブチャラティ。スタンド「スティッキー・フィンガーズ」のジッパーをくぐるギミックに胸が高鳴る。テンションが上がりすぎてしまったら、『素数』を数えて落ちつこう。

 ジョジョとディオの等身大フィギュアは、iPad公式アプリをかざすとスタンドが出現し、「ビシッ!バシッ!ビシッ!バシッ!」と轟音を立てながら殴りあうという「ARオラオラ体験」機能つき。シュトロハイムは眉をしかめるだろうが、日本の科学力もバカにはできない。

 ほかにARを取り入れたものとしては、第4部の展示がある。会場中央のテーブル「杜王町マップ」にiPadアプリをかざすと、主人公・東方仗助や、スタンド使いのシェフ、トニオ・トラサルディーなど、登場人物のエピソードが読めるようになっている。

ジョジョとディオの等身大フィギュアにiPadをかざすと、ARでスタンド能力が発動する。AR系テクノロジーは大日本印刷の開発によるもの。日本の科学力もなかなかですよね、シュトロハイムさん


きさま! 見ているなッ!
遠隔操作系スタンド「リモートロマンス」

 AR「オラオラ体験」ができるのは東京だけ。おなじく東京だけに登場するのが、荒木先生の監修のもと制作されたオリジナルスタンド「リモートロマンス」だ。

 Google+のハングアウト機能を使った遠隔操作系のスタンドで、公式ページ「ジョジョ+」からログインすれば、誰でもスタンド使いになれる(4分間だけ)。スタンド使いは会場にいるリモートロマンスを操作し、彼の目に映る風景を『遠隔視聴』できる。ちなみにリモートロマンスの顔は、Webカメラに写ったスタンド使いの顔になる。

 リモートロマンスのスタンド能力が発動するのは、会期中、毎週火曜日・水曜日の22時半~24時までの30分間だけ。火曜日に第1部~第4部、水曜日に第5部~第8部のスペースを移動する。人は誰もが『能力』を持っているが、それをスタンドにできる人間は限られている。スタンド使いの気持ちを知っておくのも悪くないだろう。

東京会場に登場するスタンド『リモートロマンス』。Google+にアクセスすれば誰でもスタンド使いになれる、ソーシャル時代のスタンド能力だ。攻撃力は皆無、できることは『見るだけ』という象徴的な能力


自分のスタンドが分かる「ジョジョの奇妙なスタンド体験」

 ジョジョ展はフィナーレまで飽きさせない。出口付近には「ジョジョの奇妙なスタンド体験」という記念撮影コーナーが設置されている。

 Webカメラの前に立つと、自分がアプリ「漫画カメラ」のように『漫画化』されて、画面に入り込む。画面の自分は「矢」に射抜かれ、スタンド能力を目ざめさせられる。「スタープラチナ・ザ・ワールド!」の声とともに決めポーズをとり、カシャッと記念撮影できる。もちろん「ジョジョ立ち」推奨だ。筆者のようにgdgdポーズにならないよう、予習をして臨もう。

 スタンドは全17種類。荒木先生のスタンドは岸辺露伴の「ヘブンズ・ドア」だったようで、さすがだ。撮影した写真は公式サイト「ジョジョ+」にアップロードされる。家に帰ったら膨大な写真の中から、頑張って自分を探すべし。

自分のスタンド能力が発現する「ジョジョの奇妙なスタンド体験」。記念撮影をすると、Google+の公式サイト「ジョジョ+」に画像がアップされる。筆者は第5部「キング・クリムゾン」。『結果』だけだ!この世には『結果』だけ残る!!

 そんな「ジョジョ展」は、当たり前だが、絵がほんとうに素晴らしい。ディ・モールト、ディ・モールト(非常に、非常に)素晴らしい。原画展の感想で「生で見ると違いますね」という声をよく耳にする。そんなおだやかなものではない。肉体の美しさ、ポーズの躍動感、構図、色彩のバランス、そのすべてがシリーズを追うごとに洗練されていくのが分かる。

 とくに好きだったのが第8部「ジョジョリオン」の東方定助(ウルトラジャンプ6月号表紙)。ピンクの背景に、少し見上げる角度で定助のバストアップ。画面の緊張感と、定助の表情のバランスが見事で、額装し、家のいちばん広い部屋に飾っておきたくなる。荒木先生も好きだと話す、フランス象徴派(ナビ派)の画家、モーリス・ドニを思い出した。

 「ジョジョ展」は、ポップアート展であり、美術展であり、遊べるスペースもあり、とても素晴らしいエンターテイメントだ。ジョジョ好きの友だちや、ジョジョの絵が怖いとおっしゃる女子にもぜひ声をかけ、ズキュゥゥゥンと楽しんできてほしい。


荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展

会期 10月6日(土)~11月4日(日)
開館時間 10:00~22:00(入館21:00まで)
場所 森アーツセンターギャラリー
(東京・六本木ヒルズ森タワー52階)
チケット(カッコ内当日券)
一般1800円(2000円)、中高生1300円(1500円)、小学生600円(800円)
Lコード 土日祝日指定券 31888、平日日時指定券 31999

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