会期は10月6日~11月4日までの1ヵ月間
「覚悟」ができたら六本木ヒルズへ
「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」が10月6日~11月4日、東京・森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)で開催される。説明するまでもないが、漫画家・荒木飛呂彦先生による現在進行形の最高傑作「ジョジョの奇妙な冒険」の原画展だ。
東京は巡回展で、初回は7月28日~8月14日には宮城県仙台市せんだいメディアテークで開催された。ジョジョ第4部に登場する『S市杜王町』をモチーフに「ジョジョ祭り」状態になったという(ジョジョは登場人物の世代とともに「第何部」と章を代える構成)。
美しい原画は200点以上
「魔少年ビーティー」から「ジョジョリオン」まで
展示の構成は、1982年から2012年まで、荒木先生の30年間を振り返るもの。
入口では「魔少年ビーティー」「ゴージャス☆アイリン」といった初期の作品群が迎えてくれる。壁にかけられた石仮面、冒頭写真の巨大な単行本オブジェから、ジョジョパートのはじまりだ。「覚悟はいいか? オレはできてる」と足を踏み入れよう。
原画はカラーを中心に200点以上。ジョジョ展のために荒木先生が描き下ろした、「ジョジョ日本八景」という連作8枚もあって見逃せない(「こけしとジョセフ・ジョースター」「はやぶさとジョルノ一行」「東京タワーとジャイロ&ジョニィ」etc)。
第6部ならグリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所など、各章をモチーフにした展示形式も「GOODッ!」。第4部、岸辺露伴の仕事場(机上には描きかけの漫画「ピンクダークの少年」)、荒木先生の仕事場を再現したコーナーは、見比べるとより楽しめる。
iPadアプリで「オラオラオラオラオラ」「無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
原画以外にも、「こっこれは~っ!」と叫んでしまう展示はたくさんある。まずは等身大フィギュアだ。第2部・メキシコ遺跡で発見された“柱の男”、第4部・東方仗助、第5部・ブチャラティ。スタンド「スティッキー・フィンガーズ」のジッパーをくぐるギミックに胸が高鳴る。テンションが上がりすぎてしまったら、『素数』を数えて落ちつこう。
ジョジョとディオの等身大フィギュアは、iPad公式アプリをかざすとスタンドが出現し、「ビシッ!バシッ!ビシッ!バシッ!」と轟音を立てながら殴りあうという「ARオラオラ体験」機能つき。シュトロハイムは眉をしかめるだろうが、日本の科学力もバカにはできない。
ほかにARを取り入れたものとしては、第4部の展示がある。会場中央のテーブル「杜王町マップ」にiPadアプリをかざすと、主人公・東方仗助や、スタンド使いのシェフ、トニオ・トラサルディーなど、登場人物のエピソードが読めるようになっている。
きさま! 見ているなッ!
遠隔操作系スタンド「リモートロマンス」
AR「オラオラ体験」ができるのは東京だけ。おなじく東京だけに登場するのが、荒木先生の監修のもと制作されたオリジナルスタンド「リモートロマンス」だ。
Google+のハングアウト機能を使った遠隔操作系のスタンドで、公式ページ「ジョジョ+」からログインすれば、誰でもスタンド使いになれる(4分間だけ)。スタンド使いは会場にいるリモートロマンスを操作し、彼の目に映る風景を『遠隔視聴』できる。ちなみにリモートロマンスの顔は、Webカメラに写ったスタンド使いの顔になる。
リモートロマンスのスタンド能力が発動するのは、会期中、毎週火曜日・水曜日の22時半~24時までの30分間だけ。火曜日に第1部~第4部、水曜日に第5部~第8部のスペースを移動する。人は誰もが『能力』を持っているが、それをスタンドにできる人間は限られている。スタンド使いの気持ちを知っておくのも悪くないだろう。
自分のスタンドが分かる「ジョジョの奇妙なスタンド体験」
ジョジョ展はフィナーレまで飽きさせない。出口付近には「ジョジョの奇妙なスタンド体験」という記念撮影コーナーが設置されている。
Webカメラの前に立つと、自分がアプリ「漫画カメラ」のように『漫画化』されて、画面に入り込む。画面の自分は「矢」に射抜かれ、スタンド能力を目ざめさせられる。「スタープラチナ・ザ・ワールド!」の声とともに決めポーズをとり、カシャッと記念撮影できる。もちろん「ジョジョ立ち」推奨だ。筆者のようにgdgdポーズにならないよう、予習をして臨もう。
スタンドは全17種類。荒木先生のスタンドは岸辺露伴の「ヘブンズ・ドア」だったようで、さすがだ。撮影した写真は公式サイト「ジョジョ+」にアップロードされる。家に帰ったら膨大な写真の中から、頑張って自分を探すべし。
☆
そんな「ジョジョ展」は、当たり前だが、絵がほんとうに素晴らしい。ディ・モールト、ディ・モールト(非常に、非常に)素晴らしい。原画展の感想で「生で見ると違いますね」という声をよく耳にする。そんなおだやかなものではない。肉体の美しさ、ポーズの躍動感、構図、色彩のバランス、そのすべてがシリーズを追うごとに洗練されていくのが分かる。
とくに好きだったのが第8部「ジョジョリオン」の東方定助(ウルトラジャンプ6月号表紙)。ピンクの背景に、少し見上げる角度で定助のバストアップ。画面の緊張感と、定助の表情のバランスが見事で、額装し、家のいちばん広い部屋に飾っておきたくなる。荒木先生も好きだと話す、フランス象徴派(ナビ派)の画家、モーリス・ドニを思い出した。
「ジョジョ展」は、ポップアート展であり、美術展であり、遊べるスペースもあり、とても素晴らしいエンターテイメントだ。ジョジョ好きの友だちや、ジョジョの絵が怖いとおっしゃる女子にもぜひ声をかけ、ズキュゥゥゥンと楽しんできてほしい。
荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展
会期 10月6日(土)~11月4日(日)
開館時間 10:00~22:00(入館21:00まで)
場所 森アーツセンターギャラリー
(東京・六本木ヒルズ森タワー52階)
チケット(カッコ内当日券)
一般1800円(2000円)、中高生1300円(1500円)、小学生600円(800円)
Lコード 土日祝日指定券 31888、平日日時指定券 31999
(C)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
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