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出版物の電子化を支援! 出版デジタル機構の設立を発表

2012年03月29日 19時00分更新

文● 矢島詩子

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産業革新機構が150億円出資
5年後に電子出版物を100万タイトルへ

現在の出版デジタル機構(仮称)のホームページ

 29日、出版デジタル機構は「株式会社出版デジタル機構」(サービス名:パブリッジ)の設立を発表し、記者会見を行なった。設立予定日は2012年4月2日、代表取締役に植村八潮(東京電機大学出版局局長)が就任。その他取締役に野間省伸氏(講談社代表取締役社長)、堀内丸恵氏(集英社代表取締役社長)、相賀昌宏氏(小学館代表取締役社長)、監査役に菊池明郎(筑摩書房代表取締役会長)氏が就任している。

 同社は出版社が持つコンテンツの電子化制作支援、配信支援を行なっていくのが主な目的であり、コンテンツの不足やジャンルの偏りを解消していくことにより、電子書籍の普及が促進されると考えているという。
 ただし、同社が直接的に一般の読者に向けたBtoCビジネスは行なわない。電子化を行なった後の販売は出版社側に任されており「販売については出版社はいいコンテンツで競争してほしい。電子出版を行なうコストや人的負担が大きいが、良質なコンテンツを持っている中小出版社や、1人出版社が参入できる環境を作りたい」(植村氏)としている。

 出版物の電子化支援サービス名は「パブリッジ」。これは出版社、スマートフォンなどの電子書籍端末、書店の架け橋になりたいとの思いを込めているという。5年後までに電子出版を100万タイトルまで増やし、電子出版物の普及を促進するとともに2000億円市場を目指し「電子出版のコンテンツがあることで紙の本も売れるという市場にしていきたい」(植村代表取締役)と話す。

 同社に対しては、産業革新機構が150億円を出資することが決定している。産業革新機構CEOの能見公一氏によれば、同社への支援を検討したのは2011年9月頃からで「5年から7年の投資を設定している。(出資により電子書籍の)コンテンツが足らないという問題が解消され、中長期的な視野で資金投入は合理性があると判断した」(能見氏)と、出資を決定した経緯を説明した。

 近々、米国の書店が電子書籍市場へ参入すると言われていることについて、植村代表取締役は「(出版デジタル機構は)すべての書店に開かれているものなので、国内・国外を問われるものではない。契約慣行の違いを解決する場として機能させたい」と話した。

 設立後の直近の事業としては、経産省が被災地支援として行なう「コンテンツ緊急電子化事業」を日本出版インフラセンターが受けているが、同社も連携して事業を行なうことになっており、この事業での今年度の目標として6万点が掲げられているのでそれを目指していくという。

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