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デスクトップ仮想化とクラウドでITはどう変わるか?

シトリックスが描く7つの近未来予想図

2010年11月09日 09時30分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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11月8日、シトリックス・システムズ・ジャパンは本国から招いた3人のエグゼクティブがデスクトップ仮想化とクラウドの未来を語るイベントを開催した。実際は未来というより、すでに実現されつつあるソリューションのメリットをアピールするのが狙いのようだ。

デスクトップ仮想化とクラウドで何が起こる?

 イベント前半のプレゼンテーションにおいて、米シトリックスのシニアバイスプレジデント兼最高マーケティング責任者ウェス・ワッソン氏、データセンターおよびクラウド部門 最高技術責任者(CTO)のサイモン・クロスビー氏が、デスクトップ仮想化とクラウドに関して、以下の7つのトピックについて説明。あわせて同社の製品戦略や導入メリットについて言及した。

米シトリックス データセンターおよびクラウド部門 最高技術責任者(CTO)サイモン・クロスビー氏(左)、シニアバイスプレジデント兼最高マーケティング責任者ウェス ワッソン氏(右)

1、2012年、新入社員の半分以上はアプリケーションとデスクトップをサービスとして利用する
ガートナーやゴールドマンサックスの調査報告を引き合いに、今後のデスクトップ仮想化の隆盛を予想した。XenDesktopを用いることで、アプリケーションやデスクトップを集中管理でき、あらゆるデバイスに対してサービスとして配信できるという。特にユーザーのエクスペリエンスを損なわないHD対応の高解像度配信技術が強調された。
2、デスクトップ仮想化はセキュリティ、事業継続性、コスト削減という点でゲームのやり方を変える
XenDesktopのビジネス面でのメリットとして、セキュリティやコンプライアンス(法令遵守)、サポートコストやダウンタイムの削減、そして従業員の生産性向上などが得られると説明。
3、2011年にはコンシューマ機器が業務用端末としていち早く成長する
アップルのiPad/iPhoneやスマートフォンなどのコンシューマデバイスがオフィスに氾濫しつつある。こうしたコンシューマデバイスにCitrix Receiverを用いることで、デスクトップやアプリケーションを配信できる。これにより、場所やデバイス、時間を問わず、業務を遂行することが可能になる。
4、主要なハードウェアベンダーはデスクトップ仮想化を組み込んだ製品を出す
富士通、シスコ、デル、WIPRO、IBM、NECなどのベンダーを引き合いに、デスクトップ仮想化が組み込まれたハードウェアが導入されている。

ゼンソースの創業者でもあるサイモン・クロスビー氏

5、2011年、クラウドインフラに占めるデスクトップ仮想化の割合は4倍に成長する
デスクトップ仮想化の増加により、クラウドが成長するという相関関係を提示した。ここではバックエンドを支える「XenServer」がフォーカスされ、フォーチュン500のうち半分で採用があること、5万以上の製品に組み込まれていること、1日1000サーバーずつ増加してることなどがアピールされた。
6、セキュリティ前提のITエンタープライズアーキテクチャが必須になる
CPUの処理能力の向上がウイルスなどの大幅な増加を引き起こしているという皮肉がテーマ。処理能力が向上したことで亜種や自己変異型のウイルスが増加し、すでに悪いプログラムを排除するブラックリストではなく、許可されたプログラムのみ使うというホワイトリスト的な発想ではないと脅威は防御できないと指摘。Xenではハイパーバイザーの設計やAPI自体がセキュアで、ホワイトリスト的なセキュリティを実現する機構を持つという。

セキュリティの高いXenのアーキテクチャ

7、クラウドの移行を進めるにあたってハイブリッド型が主流になる
異なるパブリッククラウド、あるいは自社のオンプレミスのシステムとの連携が今後ますます重要になる。これに対して、同社はインフラの連携や統合管理を実現するVmLogicの買収やシングルサインオン、プロビジョニング技術の開発、ネットワークの透過性の向上などを進めているという。

XenServerの無償化はシェアに大きなインパクト

 後半の質疑応答においては、仮想デスクトップ導入の障壁やXenServerのコスト対効果についても説明された。

 まず、デスクトップ仮想化の導入を促進・阻害する要素について、デスクトップ部門プロダクトマーケティング担当 バイスプレジデント スミット・ダーワン氏は「米国ではビジネスの柔軟性を確保するという点が大きいが、日本ではITをコントロールできるというメリットが訴求しているようだ。ただ地域によって違いはあるが、デスクトップ仮想化の技術はエンドユーザーとIT管理者が、両方とも勝ち組になれる技術だ」と述べた。デスクトップ仮想化においては、セキュリティ面での懸念も大きいが、「スマートアクセス」という技術を用いることで、屋外や在宅でのアクセスもしっかりIT部門がコントロールできるという。

 また、昨今パブリッククラウドの事業者では、仮想化ソフトウェア自体のコスト削減についてもかなり真剣に取り組んでいるが、これに関しては、「2年前からコスト削減に関する検討をはじめ、いまでは管理ツールも含めてXenServerも無償で提供している。XenServerもゼンソース時代は3%程度のシェアしかなかったが、年末には20%近いシェアに達する。これには洗練されている機能だけではなく、コスト面での魅力が大きく貢献している」と語った。

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