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Citrix Synergy 2010特別インタビュー

オープンソースであることがVMwareとの違い

2010年10月13日 06時00分更新

文● 渡邉利和

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10月6~8日の3日間に渡り、EU圏で初となるCitrix Synergyが開催された。会期中、基調講演では概要しか紹介されなかったXenServerのバージョンアップのポイントについて、担当者から話を聞く機会があったので紹介しよう。

デスクトップ向け/サーバー向けのそれぞれの新機能

 Citrix Synergy 2010の会場となった独ベルリンで、CitrixのSenior Director, Solutions Marketingのジョン・ハンフリーズ(John Humphreys)氏に話を聞いた。同氏はワールドワイドでのXenServerのプロダクト・マーケティング担当だ。

CitrixのSenior Director, Solutions Marketingのジョン・ハンフリーズ(John Humphreys)氏

──今回発表のXenServerのバージョンアップのポイントは?

ハンフリーズ氏 今回発表したのはXenServerの新バージョンで、無償版およびプレミアム・エディション両方に新機能が追加された。

 1つは“IntelliCache”で、XenDesktop環境向けに実装された機能となる。IntelliCacheでは、ページファイルやWindowsレジストリのデータをストレージネットワーク側ではなく、クライアントPC上のローカルストレージに保存(キャッシュ)するものだ。これにより、XenDesktopを利用する際のメンテナンスコストを下げることができ、投資回収を早めるため、ユーザーにとってはXenDesktopがますます導入しやすいソリューションとなる。

 2つめの新機能は、“Distributed Virtual Switch”。これは“Open Virtual Switch”と“Controller”からなる。Open Virtual Switchは無償版XenServerにも含まれる機能で、セキュリティを向上し、トラフィックの分離も実現できる。また、仮想サーバーのライブマイグレーションを行なった場合にも、ネットワークポリシーを移動先のサーバー上でも従来通りに適用できるようになる点も大きな特徴だ。

 一方、Controllerは有償版(Advanced Edition、Enterprise Edition、Platinum Edition)でのみ提供される。これは、Virtual Switchを管理するネットワーク管理者のための管理ツールとなり、詳細なトラフィック分析やトラフィックシェーピング、ネットワークポリシーの策定と適用といった作業が可能だ。

 これ以外にも、一部の管理権限を委譲されたシステム管理者が使うためのWebベースの管理機能の実装や、仮想マシンのバックアップ/リカバリを自動化するためのスケジューラの追加も行なわれているが、おもなポイントは先の2つの新機能となる。

──Distributed Virtual SwitchとVMware vNetwork Distributed Switchフレームワーク+Cisco Nexus 1000Vスイッチと同じコンセプトか?

ハンフリーズ氏 コンセプトは同じといってよいが、実装のアプローチが違っている。シトリックスはオープンソースコミュニティの一員なので、Virtul Switchもオープンソースとして公開される。さらに、オープンソースとして開発されている新しいプロトコル“OpenFlow”をサポートしている。狙いはVMware/Ciscoの取り組みと同じだが、Citrixはオープンな実装を行なっている点が違うわけだ。

──Virtual Switchに関してネットワークベンダーとのアライアンスの可能性は?

ハンフリーズ氏 現時点で正式に公表できる情報は何もない。シスコとはCisco UCSとXenDesktopに関するパートナーシップが存在しているが、Virtual Switchに関して現時点で発表できることはない。付け加えると、シスコとの関係に関しての質問はいい着眼点だと思う(笑)。

──IntelliCacheが有効なのはXenDesktopのみなのか?

ハンフリーズ氏 基本的には、XenDesktop向けの機能だ。調査によれば、クライアント上で実行されるディスク書き込みの80%は「一時的なデータ」(Temporary Data)だが、サーバ上ではこの比率が逆転し、実行されるディスク書き込みのうち一時的なデータは10%に留まる。

 IntelliCacheによるローカルキャッシングは、ローカルマシン上でデータを保持することで効率を上げる技術であり、最終的にはネットワークストレージ上に永続的に保存される必要のないデータを無駄にネットワークストレージに送ることを避けることを意図したものだ。クライアントでIntelliCacheを使った場合は80%のディスク書き込みを対象とできるため、効果が大きい。しかし、サーバーの場合は90%のディスク書き込みはネットワークストレージに対して書き込まなければならないため、ローカルキャッシュの効果はほとんど期待できない。その意味もあって、XenDesktop向けの機能と位置づけている。

──XenServerとXenDesktopでハイパーバイザ自体が異なる進化を遂げる可能性は?

ハンフリーズ氏 XenServerもXenDesktopも、ハイパーバイザとしてはまったく同じものだ。もちろん、サーバー向けとクライアント向けでは異なる機能が要求される部分もあるため、XenServerはサーバー向けの技術革新に、XenDesktopではクライアント向けの技術革新に、それぞれ取り組んでいく計画だ。ただし、両者がそれぞれ別のハイパーバイザとして分岐していくとは考えておらず、ハイパーバイザ部分は今後とも共通であり続けるだろう。

 今回のバージョンアップでは、IntelliCacheはクライアント向けの機能で、Virtual Switchはサーバー向けの機能だと位置づけられる。一方、デスクトップとサーバーがそれぞれ必要とする機能の違いはあくまでもチューニングのレベルで実現でき、コアのハイパーバイザは共通のままで大丈夫だと考えている。

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