進化を続けるPND(ポータブル・ナビ・デバイス)の中で、ひときわ異彩を放っているモデルがある。それがクラリオン社の「Clarion MiND」だ。
MiNDは「Mobile Internet Navigation Device」の略で、インターネットに接続してナビをしてくれるというもの。さらにナビだけでなく、YouTubeが見られたり、MySpaceに接続出来たりと、その機能は多彩だ。
昨年11月に北米で、今年1月には欧州でも発売されたが、いまだ日本国内での発売時期は発表されず、期待だけが高まっている。MiNDとは一体ナニモノで、どんなことが出来るのだろうか。インタビューと試用レポートを通じてその全貌を紹介したい。
「もともとカーナビにするつもりじゃなかった」
「同じものを作って、真っ向から勝負してもダメ。PNDの一歩先を行くものを考えなければと思ったんですね」
そう語るのは、クラリオン マーケティング本部 商品企画部 モバイル商品企画グループ GLマネージャーの岡田元己氏。今回の「MiND」シリーズを担当している。
岡田氏によれば、日本では多少ブームを後追いする形となっているが、世界のPND市場は今や大手の寡占状態となり、価格競争の時代に入っている。クリスマスシーズンともなれば、100ドル足らずのモデルも登場してくるほど。そんな中、カーナビメーカーとしてどう差別化していくかを考えていたところ、インテルがAtomプロセッサーを発表した。それを見て、これだと導入を決めたのだという。
「AtomにはNetbook以外にも『Mobile Internet Device』(MID)があり、私たちはそこに協調したんです。だから初めはPNDを作るつもりじゃなかったんですよ。それをナビに振り分けたというだけだったんです」
日本国内でもクルマをインターネットにつなげようという流れは出来つつあった。カーウイングス(日産)やG-BOOK(トヨタ)などの例があったが、まだユーザーの欲しがるコンテンツを作れていなかった。便利に使えるサービスにまで行っていないのが現状だった。
それが北米ではすでにGoogleを経由して実装されはじめていた。Googleマップに『ケータイに送る』以外に『GPS(ナビ)に送る』という項目がある。こちらからGoogleを検索することもできれば、パソコンから情報をカーナビに送ることもできる。
Googleのサービスを使うために自社のサーバーも開発した。Google IDを使用しない代わりに、ナビにサーバ―から独自のIDを割り振っている。これでGoogleとナビをやりとりしつつ、ナビ1台ごとの情報をためこんでいる。「これも壮大な話ですよね。お金も壮大に使わせていただいています」と岡田氏は笑ってみせた。
通信は現在、Wi-FiとBluetoothのみの対応だ。ケータイとBluetooth接続すればDUN(Dial-up Networking Profile)を使ってネットにつなげることも出来るが、ポピュラーな方法とはいえない。
PNDの先駆、TomTom社は2.5GのGPRS接続を使用しているが、やはり遅い。そこで現在、MiNDシリーズではWiMAX接続が可能なモデルを試作機として開発しているところだ。
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