ありそうでなかったグループウェアのアプライアンス
一方で、情報系システムの代表的なアプリケーションであるグループウェアに関しては、今までアプライアンス製品があまりなかった。
この理由はいくつかある。そもそもグループウェアのインストールや設定が容易だったこと、ハードウェアを必要としないSaaS・ASPなどが以前から提供されていたこと、価格が安いため、まとめることによるコストメリットが小さかったことなどが挙げられるだろう。
もちろん、単にLAN内でグループウェアを動作させるだけであれば、それほど面倒なことはない。しかし、昨今ではグループウェアの役割が重要視されるようになり、たとえば外出先でも手軽に利用できるような環境が必要になっている。こうなると、導入のハードルは一気に高くなる。外部からアクセスするためのインターネット接続回線はともかく、安全にリモートアクセスするための仕組みを構築する必要がある。また、端末もPCだけではなく、携帯電話やiPhoneのような端末を想定しなければならない。
このようにグループウェアを社内と社外で同じように利用するためにお勧めなのが、ターボリナックスとネオジャパンの「どこでもオフィスアプライアンスモデル」である。どこでもオフィスアプライアンスモデルは、富士通の小型サーバ「PRIMERGY TX120」に、サーバOSの「Turbolinux Appliance Server」、グループウェアの「desknet’s」を搭載し、設置後すぐに利用可能にした製品だ。
どこでもオフィスアプライアンスモデルで採用されているTurbolinux Appliance Serverはデータセンターでも採用されている信頼性の高いLinuxディストリビューション。Webやメール、DNSなどのサーバも搭載し、WebブラウザのGUIから容易に操作できる。コスト面でもWindowsに比べて大きなアドバンテージがあるという。一方、desknet’sは国内で高いシェアを誇るWebグループウェアで、「スケジュール」「インフォメーション」「設備予約」「回覧・レポート」「文書管理」「ワークフロー」など、全23機能を標準で提供する。携帯電話やiPhoneなどモバイルデバイスへの対応も早く、PCとほぼ同じ機能が簡単に利用できる。
どこでもオフィスアプライアンスモデルは、単にOSとグループウェアをサーバにプレインストールしただけという製品ではない。まず「どこでもオフィス」を名乗るだけあり、インターネット経由での利用を前提に、PCや携帯電話はもちろん、iPhone用のアクセスを可能にするライセンスが最初から付属する。また、サイバートラストのSSLサーバ証明書「Turbolinux Cybertrust SSL」3年分があらかじめ用意されている。つまり、SSLを介して、外部からでも安全にアクセスする環境が最初から整っているわけだ。
一方、アプライアンスで不安なのが、障害時の対応だ。インストールの手間がない分、ハードウェア構成を意識しないので、いざ障害が起こった場合は、対応できないことも多い。また、価格を抑えるため、データ保護やバックアップを意識しない構成になっているアプライアンスもある。その点、どこでもオフィスアプライアンスモデルで採用されている富士通のPRIMERGY TX120では、ECCメモリを採用しつつ、HDDがきちんとRAID5で構成済み。さらに3年間のオンサイト保守サービスまで付属しているため、ハードウェア障害があっても安心だ。
(次ページ、「21世紀のコバルトキューブを目指す」)
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